産業医がいない会社が産業医を設置するメリットと探すときのポイント
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産業医がいない会社が産業医を設置するメリットと探すときのポイント

HELPO マガジン

企業内の働きやすい環境づくりにおいて、従業員の健康管理は重要な要素として挙げられます。法律によって選任が義務付けられている産業医の選定は、組織全体での健康管理に効果的です。設置基準に沿った産業医を指名することにより、従業員個人の健康促進から企業の社会的なイメージアップまで幅広い影響が期待できます。

本記事では、産業医がいない企業がこれから産業医を設置するメリットや、産業医を探す際のポイントについて詳しく解説します。

産業医の業務と役割とは?

産業医とは、従業員の健康管理を専門的な立場から行う医師を指します。1つの企業に勤務する専属産業医と、特定の出勤日のみ企業を訪問して業務を行く嘱託産業医の2種類に分けられます。

いずれの勤務形態でも、組織内の健康管理を目的とした指導やアドバイスを随時実施することが産業医の役割です。産業医の具体的な業務には、次の項目があります。

■衛生委員会への参加や衛生講話
■職場巡視・衛生環境チェック
■従業員の健康診断結果チェック・健康相談
■休職・復職面談の実施
■ストレスチェック制度の実施
■長時間労働者・高ストレス者への面接指導

企業内で従業員個人への健康指導や相談への応対を行うと同時に、組織全体の環境整備やアドバイスも実施します。医療や健康の専門知識はもちろん、衛生面や設備など幅広い情報を備え、かつ使いこなせる能力が必要なポジションです。

産業医の選定義務と罰則

規定の条件を満たしている企業には、法律によって産業医の選任が義務付けられています。産業医の選定義務があるにもかかわらず、選任しないまま事業を行っている場合、罰則が課せられる可能性があるため注意が必要です。

法的な違反により事業や社内組織に影響を及ぼさないためにも、産業医の選任義務と罰則について確認しましょう。

50人以上の事業場は選定が義務となる

産業医について、従業員が50人以上の事業場において選定義務が発生することが「労働安全衛生法(第13条)」と「労働安全衛生法施行令(5条)」で定められています。事業場とは支店や営業所のことで、オフィス単位で産業医の選任が必要です。

従業員の人数ごとに、次のように産業医の人数が定められています。

  • 従業員数が50~3,000名の事業場:1名以上の産業医を選任

  • 従業員数が3,001名以上の事業場:2名以上の産業医を選任

上記に加えて、従業員が1,000名を超える事業場では、産業医のうち「専属産業医」の選任も必要です。999名までの事業場であれば、嘱託産業医の選任で問題ありません。また、特例として、有害物質等を取り扱う対象業種では、従業員500名以上の事業場で専属産業医の選任が必須とされています。

選定義務を果たさない場合は50万以下の罰則

先述の産業医の設置義務は、条件を満たした時点から14日以内に産業医を選任、設置することとしています。万が一選任していない場合、50万円以下の罰金(労働安全衛生法第120条)が発生します。違反に該当すると企業の信頼性やイメージに影響するリスクがあり、期限内に産業医を設置することを徹底しましょう。

また、従業員の人数に合わせた産業医の設置が実施されているかも重要です。2名必要な事業場に1名しか選任されていない、専属産業医の代わりに嘱託産業医を設置していた、なども法令違反に該当します。自社の各事業場において、産業医の設置条件を確認しておくとスムーズです。

選定義務がない会社は産業医がいなくても問題ない?

選任義務のない企業では、産業医がいなくても法律上は問題ありません。従業員が50人以下の事業場では、産業医の設置は努力義務であり、選任するかどうかは自由です。産業医を選定していなくても罰則の対象とはなりません。

一方で、産業医を設置するメリットとして、従業員の健康管理やオフィス内の衛生状況における改善やマネジメントが進みやすい点が挙げられます。企業の「かかりつけの医師」的存在である産業医がいることで、個人と組織全体の両方に良い影響があり、法的な義務に関わらず産業医の設置を検討すると良いでしょう。

産業医を設置する3つのメリット


産業医の設置にはさまざまなメリットがあり、選定義務のない事業場においても産業医を選定する意義は十分あります。ここでは、産業医の設置による3つのメリットについて詳しく解説します。小規模事業所などで義務付けはないものの、産業医を採用するかどうか迷っている場合は、以下のメリットを判断材料として活用しましょう。

従業員の健康意識が高まり、不調の防止につながる

産業医のメインとなる業務は、従業員の健康維持や健康意識の向上です。ストレスチェックの実施や職場巡視などの産業医の業務を通して、従業員個人の不調を早めに察知し、症状の予防に役立ちます。

また、近年特に重要視されているメンタルヘルスに関する知識や情報の共有など、従業員への呼びかけが定期的に行われることで、健康意識の向上が見込めます。月80時間を超える長時間労働や高ストレス者には産業医の面談指導が義務付けられており、労働条件や労働環境の改善にもつながるでしょう。

以前なら治療中は休業することが多かったところ、近年は治療と労働を両立させている従業員も少なくありません。産業医が面談し、状況と治療の必要性を的確に判断できると、よりスムーズな回復と職場復帰が実現します。

生産性の向上につながる

産業医を設置することで、従業員の健康意識が高まり、不調が減ることで生産性向上につながります。労働者の健康の維持や向上が、組織の生産性向上と関係していることが論文でも発表されています。

産業医の指導やアドバイスにより、従業員の健康状態そのものが長期的に改善し、仕事へのモチベーションや集中力のアップにも役立ちます。社内で働く従業員の健康は、事業の成長や目標達成を左右する重要な要素です。産業医の業務が組織成長の一部を担うと言っても、過言ではないでしょう。

参考:「健康状態と労働生産性」

企業のイメージアップにつながる

産業医の選任義務がない事業場に産業医を設置することは、企業のイメージアップにつながります。従業員の心身の健康への配慮や取り組みを通して、従業員を大切に扱っている企業であることのアピールとしても有効です。

近年、法外な長時間労働や強制的な残業、ハラスメントなど精神的な疾患を引き起こす要因が社会問題として取り上げられています。「健康的な労働環境」は、企業のブランド価値を高めると言われることもあるほど重要な要素です。

コンプライアンスの遵守を前提とし、加えて従業員の心身の健康に配慮している企業は、採用においても有利です。ブラック企業ではなく中長期的に選ばれる企業として認知されることで、最適な人材を確保できる確率もアップするでしょう。

上記以外にも、従業員が役職などを問わずにやめにくくなったり、健康診断、人間ドックなどの結果に対する相談ハードルが下がることで、思わぬ疾病の早期発見や早期対応ができたり、メリットは多いのです。

さらに、メンタル関連の相談に対しては丁寧な応対ができるため企業が最近頭を悩ませる、ハラスメント訴訟などのトラブルの回避もできます。

コロナ渦においては、出社判断や各情報収集提供をサポートし、職場内のクラスター発生を未然に防ぐことにつながったり、ワクチン接種機会の提供や正しいワクチンに関する知識の提供を通じてワクチン接種率を増やすことができたりします。

産業医を設置する3つのデメリット

一方で、産業医を設置するにあたりデメリットも存在します。ここからは、産業医を設置するに当たり、考えられる3つのデメリットを具体的に紹介します。設置義務の対象ではない小規模な事業場にも産業医の選定と設置を検討している場合は、メリットとデメリット両方を押さえた上で、選定を行いましょう。

産業医の費用がかかる

産業医を設置する際は、当然産業医へ報酬を支払う必要があります。嘱託産業医の報酬相場は、事業場の従業員の人数にもよりますが、月1回の企業訪問で約6〜15万円です。また、100名以下の事業場では約6〜8万円ほどとされています。

中小企業にとっては、月数万円の出費でも負担になる場合があります。産業医を設置する場合は、予算の確保が必要です。ただ、産業医の導入にあたり、助成金制度を利用できる場合があります。中小企業向け、小規模事業場向けの助成金が、国や自治体から用意されているので調べてみると良いでしょう。助成金制度の種類については、後ほど詳しく解説します。

業務が増える

産業医の選定や設置に伴って業務が発生するため、担当者の負担が増える可能性も考えられます。産業医探しから、設置後のアドバイスに沿った衛生管理体制の構築など、幅広い規模の業務をこなすことが求められます。

そもそも労働環境の改善を要するような企業は、設立まもなく事業が不安定など人材が足りていないケースが少なくありません。規模が小さい事業場では、特に担当者の負担が大きくなりがちです。「健康経営」を目指すために産業医を設置することで逆に仕事が忙しくなるなど、理想の状態からより遠ざかってしまう可能性も否めません。

名ばかり産業医になる可能性がある

産業医を設置する際に気をつけたいのが、「名ばかり産業医」と化してしまうことです。選定した医師が多忙などの理由で本来の業務を果たさない、いわゆる名貸しの状態では産業医を設置した意味がありません。また、職場巡視をせずやりたい業務だけ取り組む、衛生委員会を休むなども問題です。

法律で決められているから、という理由でしかたなく選定するという発想では意味がありません。また、産業医を設置すれば自動的に健康管理が順調になり、メリットが得られるとは言い切れないでしょう。名ばかり産業医の状況を避け、企業側も産業医の役割を理解した上で、積極的に関わっていく必要があります。

知っておきたい!産業医を探すときの3つのポイント

ここからは、産業医を実際に探す際のポイントを説明していきます。理想的な産業医の条件として、産業医の業務を理解した上で適切に遂行できることが挙げられます。また、名ばかり産業医のリスクを回避するためにも人選は重要です。自社に適した医師に産業医として業務を依頼するために、以下3つのポイントを押さえておくと良いでしょう。

産業医を設置する目的を明確にする

まず、産業医を設置する目的を明確にしましょう。産業医のメリットを活かすためには、産業医を選任する目的が重要です。

従業員個人の健康管理や労働環境における衛生管理といった産業医の業務を通して、業績アップや生産性向上などの達成が目標として挙げられます。また、社内環境が改善することで従業員の定着率が高まるでしょう。

感染症予防や健康経営対策を見据えた最新の対策や、テレワークなど勤務形態に応じた心身の健康管理対策のニーズも高まっています。今抱えている問題を解決し、人事と協調して取り組んでいける産業医が求められています。将来的な目標達成のためにも、自社の目的に合った産業医を探すことが大切です。

さまざまなリソースを活用する

産業医は、さまざまなリソースを活用して検索しましょう。産業医選びの方法として、次が挙げられます。

  • 公的機関に相談する

  • 紹介サービスや仲介業者​​を利用する

  • 医師の人脈内でお願いする

  • 知り合いに紹介してもらう

医師会や医療機関などの公的機関では、実績や経験といった判断材料となる情報を入手しやすいでしょう。また、地域産業保健センターでは、労働安全衛生法に定められた保健指導などの産業保健サービスを提供しており、従業員の数が50人未満であれば無料で利用できます。

産業医専門の紹介サービスは、産業医探しの代行も可能で、産業医としての実績や経験が豊富な医師を見つけやすい方法です。仲介業者を使う場合、仲介料は発生しますが、希望条件に沿った人材を比較検討して選べます。複数のリソースを併用して、最適な産業医を見つけましょう。

自社のニーズに合う産業医を選ぶ

自社のニーズに合った産業医を選ぶことも大切です。健康に関するすべての項目が産業医の管轄といえますが、具体的な改善点や効果的な施策は企業や事業場ごとに異なります。また、同じ産業医でも得意分野は一人ひとり違います。

自社の現状に対して的確な判断と改善策の提案ができる産業医が理想的です。特に注力してほしい項目や求める能力などを明確にしておきましょう。先述した産業医選任の目的と、見つかった候補者の実績や経験を確認した上で、複数の候補者を比較検討するとスムーズです。

助成金の利用も検討してみよう

「産業医を設置したいがコストが負担だ」という場合は、助成金の利用を検討しましょう。国は企業のメンタルヘルス対策の必要性を特に重視しており、中小企業向けの助成金制度を複数用意しています。

厚生労働省の「小規模事業場産業医活動助成金(産業医コース)」では、従業員が50人未満の事業場など条件を満たした場合、1事業場当たり上限10万円の助成を2回まで受けられます。

また、厚生労働省所管の独立行政法人「労働者健康安全機構」でも、下記の助成金を設けています。

  • 職場環境改善計画助成金

  • 心の健康づくり計画助成金

  • ストレスチェック助成金

従業員の健康管理のために、産業医が適切に業務を遂行できる状況を整えることは重要です。条件に合った助成金を活用しましょう。

産業医がいないなら24時間365日相談可能な「HELPO」があります

事業場の規模によっては産業医を設置する義務がない場合でも、選定することで従業員の健康管理や衛生環境の改善といったメリットが見込めます。ただ、健康管理という視点では、産業医だけではなく気軽に相談できる窓口を作ることも大切です。そこで、ちょっとした体調不良も気軽に相談できる「HELPO」が役立ちます。

「HELPO」は、医師や看護師、薬剤師にオンラインで相談できるチャットサービスです。寝不足や二日酔い解消法、ストレス対策、病院にかかるほどではない不調や気になる状態などをスマホで質問できます。健康管理のツールとして「HELPO」の導入もぜひご検討ください。

まとめ

産業医は、法律での選任条件を満たしている場合、選定義務が発生します。事業場で設置していない場合、罰則の対象となるので注意が必要です。義務がなくても、産業医がいることで従業員の健康管理や衛生環境の改善などのメリットがあり、設置する意義は十分にあります。産業医導入コストの負担を軽減するために、国の助成金制度も複数用意されているため、検討してみましょう。

「HELPO」は、24時間365日オンラインで医師や看護師、薬剤師に気軽に相談できるチャットサービスです。今すぐ産業医の設置が難しい場合にも、従業員の体調管理をサポートできます。

健康管理に力を入れたい企業は、「HELPO」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。


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