産業医の職務と役割とは?医師との違いや選任の義務についても解説
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産業医の職務と役割とは?医師との違いや選任の義務についても解説

HELPO マガジン

「産業医を選任したけれど、そもそも産業医の役割がわからない」
「産業医の職務について知りたい」
「産業医は医師と同じではないの?」

産業医について上記の疑問を持つ方もいるでしょう。この記事では産業医について以下の内容を解説していきます。

■産業医と医師との違い
■産業医の職務内容や役割
■産業医に期待すること

産業医の職務内容や役割、産業医が企業にとって必要な理由が把握できる内容になっていますので、ぜひ参考にしてみてください。

産業医とは

産業医とは事業所で従業員が健康で働けるように、専門的立場から健康管理・指導・助言を行う医師のことです。

しかし、聞きなれないことでもあるため「普通の医師とはどう違うの?」「産業医は医師免許があれば誰でもなれるの?」と疑問に感じる方もいるでしょう。

ここからは、産業医と一般的な医師との違い、産業医になるための条件について詳しくみていきます。

一般的な医師との違い

産業医と一般的な医師との大きな違いは、医療行為を行う対象・活動場所・職務・行為を規定する法令です。産業医は、企業の従業員を対象に健康管理などを事業所内で行います。

産業医の対象は従業員ですが、治療を行うわけではなく、企業で働く従業員全体の健康管理が役割です。そのため、治療を目的とした医療を受けるには、一般病院の医師の診察を受ける必要があります。

また、産業医には一般の医師にはない勧告権があります。衛生面や健康面で改善すべき問題があるときに、衛生管理者に対して指導や助言を行ったり、衛生委員会で提言したりする権利があるのです。

委員会を通して勧告を受けた事業主は勧告を尊重する義務があります。産業医から勧告を受けた場合、経営陣は内容をふまえて職場環境の改善に努めましょう。

産業医になるための条件

産業医は医師免許があれば誰でもなれるというわけではありません。労働安全衛生法第13条2項にはつぎのように規定されています。

“産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について厚生労働省令で定める要件を備えた者でなければならない。” 

引用:厚生労働省|産業医の関係法令

厚生労働省が定める要件とは、労働安全衛生法第14条2項で定められている以下の4つです。

1. 労働者の健康管理に必要な、厚生労働省が指定する医学の知識研修を修了した者
2. 産業医の養成を行う目的とする大学の課程を修了し卒業し、実習を終えた者
3. 労働衛生コンサルタント試験に合格した者(試験区分が保健衛生)
4. 大学で労働衛生に関わる科目を担当する教授・准教授・講師の職または経験者

産業医になるためには上記の要件を満たす必要があるため、険しい道のりです。しかし、働き方改革や価値観の多様性によって労働環境の見直しとともに、従業員の健康管理も求められています。今後産業医が企業に貢献する機会がますます増えていくことでしょう。そのため、産業医のやりがいは大きくなっていくといえます。

産業医の選任は義務?

産業医の選任は所定の条件を満たさない企業の場合は義務ではありません。労働安全衛生法などにもとづいて、産業医選任の義務が異なります。

ここからは、産業医の選任条件や異なる勤務形態と、産業医を選任しなかった場合のペナルティについてみていきましょう。

従業員数50人以上の事業場では選任する必要がある

従業員が50人を超える場合には1名以上の産業医を選任する必要があります。しかし、50人をカウントする条件が労働基準監督署によって異なる場合があります。多くの場合は「週20時間以上働く雇用保険の対象者」を1名としてカウントするようです。正社員やアルバイトといったカテゴリは排除して従業員数を確認してみましょう。

産業医は従業員数が50人以上になった時から、14日以内に選任して労働基準監督署に届け出る必要があります。そのため、採用時には届け出が漏れないように、従業員の総数を確認しておきましょう。

事業所の規模によって必要な人数や勤務形態が異なる

必要な産業医の人数や勤務形態は、以下の条件で異なります。

従業員数が500人~1,000人以下でも、以下の業務が発生する場合には専属産業医が必要となります

・多量の高熱物体を取扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
・多量の低温物体を取扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
・ラジウム放射線、X線その他の有害放射線にさらされる業務
・土石、獣毛等の塵埃又は粉末を著しく飛散する場所における業務
・異常気圧下における業務
・削岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務
・重量物の取扱い等重激な業務
・ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
・坑内における業務
・深夜業を含む業務
・水銀、砒素、黄燐、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、一酸化炭素、 二硫化窒素、亜硫酸、ベンゼン、アニリン、その他これらに準ずる有害物の ガス、蒸気、又は粉塵を発散する場所における業務
・病原体によって汚染のおそれが著しい業務
・その他厚生労働大臣が定める業務

参考:厚生労働省|労働安全衛生規則

従業員数が3,000人までは最低1名の産業医で規定上は問題ありません。しかし、従業員数が多ければ多いほど産業医の業務負担も大きくなってしまいます。従業員数と産業医の業務バランスに応じて適切な人数の産業医を選任しましょう。

また、従業員数が50人以下の場合に産業医の選任義務はありません。しかし、医師などと連携して健康管理を行うべきという努力義務が労働安全衛生法によって定められています。

企業の大小や産業医の有無に関わらず、従業員が最大パフォーマンスを発揮できるように、健康管理を行う仕組み作りは、企業として必須であるといえます。

産業医の選任義務を果たさない場合は罰金も

産業医は従業員数が50人を超えた場合に加えて、欠員したとき、交代するときも14日以内に労働基準監督署に届け出なければいけません。届け出が漏れてしまうと規則違反として罰則が科せられてしまう可能性もあるため注意が必要です。

産業医の選任は、主に人事担当部署が作成して提出します。産業医選任届はオンライン申請に対応していません。書式を厚生労働省のページからダウンロードして作成し、直接労働基準監督署に届け出る必要があります。

知っておきたい!専属産業医と嘱託産業医の違い

従業員数が1,000人以下の場合の産業医は、専属でなく嘱託でも規定上問題ありません。では、嘱託の産業医と専属の産業医ではどのような違いがあるのでしょうか。ここからは専属産業医と嘱託産業医の違いについて詳しくみていきましょう。

専属産業医は企業専属の産業医

専属産業医は企業に常勤する企業専属の産業医です。専属産業医はひとつの企業内で週4日程度勤務します。専属産業医は常勤のため企業の内部を把握しやすく、従業員にも寄り添いやすいメリットがあります。そのため、社内の部署と連携も取りやすく、企業の健康経営活動や従業員のメンタルケアにも期待できるでしょう。

一方で常勤していると、従業員を見る目などあらゆるものに慣れてしまい、社内や従業員の変化に気づきにくくなってしまう可能性もあります。企業側も産業医に任せきりにするのではなく、定期的に産業医に働きかけたり、従業員と産業医の接点を増やしたりしていくと変化に気づきやすくなるでしょう。また、従業員も産業医に相談しやすくなることも期待できます。

嘱託産業医は非常勤で働く産業医

嘱託産業医とは、複数の企業と契約していたり、医師の傍ら企業の産業医として活動したりする産業医のことです。専属産業医のように常勤するわけではなく、決められた日時に訪問して勤務する非常勤形式となっています。

嘱託産業医はさまざまな現場で活動しているため、あらゆるケースに対応できる知見に期待できます。外部で得た経験や知識を自社で活かしてもらうことも可能です。また、期間を空けて訪問するため、少しの変化に気づきやすい点に期待が持てます。

従業員や社内の環境変化にいち早く気づけるかどうかで、事態の悪化を防げる場合もあります。企業に訪問する機会が限られるからこそ気づけることもあるでしょう。

一方で嘱託産業医は複数の企業を担当することもあり、なかには副業的な感覚で行う産業医もいるかもしれません。訪問日の業務内容や従業員との関わり方を確認することも大切です。

産業医の職務と期待できる6つの役割

産業医の職務は一言で表すと、企業の従業員が健康に働けるための活動です。ここからは、産業医の具体的な職務と産業医に期待できる代表的な6つの役割を解説していきます。

職場環境の改善・維持へのアドバイス

産業医は毎月1回以上職場を巡視して、作業方法・衛生状態・危険個所など問題がないか確認する必要があります。主な確認内容は以下の通りです。

・職場の照度
・換気や空調
・コンセントなどの電気系統
・ゴミの分別状況やトイレ
・非常口や非常経路
・消火器・救急用具・防災備品
・分煙状況
・安全衛生の取り組み状況

問題が発生した場合には、従業員の健康障害を防止するための措置を講じる必要があります。

企業としても上記を確認する仕組みは、職場環境改善の視点では重要です。産業医と連携しつつお互いに確認と改善に向けて取り組んでいきましょう。

ストレスチェックの実施や長時間労働者への対応

企業のメンタルヘルス対策にも産業医は貢献可能です。産業医がメンタルヘルス対策として行うことには以下の内容があります。

・ストレスチェックで高ストレスとされた従業員との面談
・長時間労働者との面談
・休業者の復職に対する面談
・メンタルヘルス不調対策の意見

産業医は従業員のストレス状況を確認し、必要に応じて面談を行います。ストレスチェックの結果を受けて職業性ストレスの要因を評価し、職場環境の改善に向けて対策を講じていくことが産業医のメンタルヘルス対策における役割です。

また、休職者が復職できるかどうかの判断や、メンタルヘルス不調の相談も受け付けます。産業医は従業員から相談を受けた場合、健康や生活状態を確認、アドバイスして改善できるよう面談を重ねます。

メンタルヘルス対策は企業側にも求められるようになってきました。企業が中心となってメンタルヘルス対策に取り組みつつ、産業医の専門的立場からアドバイスをもらうなどして協力関係を築いていくことが大切といえるでしょう。

健康診断とその結果に基づくフォロー

産業医は従業員の健康診断結果を、業務や職場環境と検査数値を照らし合わせて確認します。結果を確認して悪化しているところはないか、改善するべきことはないかを産業医は判断します。

健康診断の結果を確認したあとは、産業医からの意見聴取と就業上措置の決定が必要です。診断結果によっては、従業員が仕事をできるかどうかの判定が必要になることもあります。この判定は企業側で判断するのは難しいため、産業医に判定してもらいましょう。

診断結果を受けて問題がある場合は、改善に向けた措置が必要です。産業医は従業員の健康と安全を守るため、休職や部署の変更など必要な措置を決定します。その際に対象となる従業員の意見を丁寧に聞き判断していきます。

また、定期健康診断結果報告書を労働基準監督署に提出する際に産業医の確認が必要です。2020年7月以降に押印は不要になりましたが、産業医が確認した証拠を残すために、データとして残しておくとよいでしょう。

ほかにも、健康診断で異常と判断されなくても、数値の変化で改善措置が必要になる場合もあります。企業でも異常のあり、なしだけで判断せずに、産業医と協力して重大な変化を見落とさないようにしていくことが大切といえるでしょう。

健康情報の管理

社内の健康情報は産業医も管理します。産業医が管理する企業の健康情報は以下のものです。

・健康診断結果
・健康診断後の措置の記録
・産業医との面談記録
・保健指導の記録
・医療機関からの診断書など

これらの情報を産業医がプライバシーに配慮した上で管理することが重要です。産業医は健康情報を企業内で開示する必要がある場合、必ず従業員本人の同意を得てから医療情報を適切な内容に加工して人事や上司に説明します。

また、産業医だけでなく企業でも、情報の保護や管理の仕組みを確認することが重要です。たとえば以下のような方法があります。

・健康診断の結果を上司経由で提出せず産業医や衛生管理者に直接提出する
・健康情報のデータにはアクセス権限を設定する
・健康診断の結果などは必ず施錠できる場所へ保管する

健康情報は個人情報の1つです。従業員のプライバシーという認識で大切に扱いましょう。

治療と仕事の両立支援

病気やケガを負った従業員がいた場合、休職して治療に専念することが難しい従業員もいるでしょう。こうした場合、まず産業医と面談を行います。

産業医は専門的な視点から、仕事を続けていけるのかどうか、治療と仕事の両立のできる部署はあるかといったアドバイスをします。病気やケガの種類によっては、仕事を続けることで悪化してしまう場合もあるでしょう。

企業側では産業医の見解を尊重し、休職の許可や部署変更の承認など柔軟に対応していく必要があります。

衛生委員会への参加

従業員が50人を超える場合、産業医の選任だけでなく衛生委員会を開く必要があります。産業医は衛生委員会への参加は必須ではありませんが、衛生委員会の目的達成のためには必要です。衛生委員会のメンバー構成は以下のようになります。

・議長(部長など実務を統括する立場の従業員)
・産業医
・衛生管理者
・労働衛生業務の経験者

衛生委員会における産業医の役割は、衛生委員会で審議される以下のような内容について進言することです。

・従業員の健康障害を防止するための対策
・従業員の健康保持促進のための対策
・産業医との面談状況や結果の報告
・定期健康診断の結果
・定期巡視結果の報告

働き方改革の推進が企業でも重要なことから、産業医の専門的視点からアドバイスを得ることは重要になっています。衛生委員会で産業医に発言の権限を与えていくことも企業にとって重要といえるでしょう。

産業医面談や衛生委員会などはオンラインでも実施可能

テレワークの普及や産業医面談の課題から、オンラインでも産業医面談や衛生委員会が実施できるようになりつつあります。産業医面談では、嘱託産業医を選任した企業の場合、面談を申請したいときに産業医がいないといった課題がありました。

オンライン面談が可能になれば、悩みを抱える従業員も面談を申請しやすくなります。産業医にとっても面談の受付がしやすいこともメリットといえるでしょう。

また、産業医がオンライン面談など遠隔で業務を実施する際には、衛生委員会などで審議が必要です。その上で労働者に周知する必要があります。

オンラインで衛生委員会や産業医面談が可能になれば、業務効率を向上させつつメンタルヘルス対策の実現に期待できるでしょう。実現に向けて議題に挙げ、取り組んでいくことも検討する価値があるといえます。

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まとめ

ここまで産業医について解説してきました。従業員の健康は生産性を高める上でも重要なファクターです。従業員がいきいきと充実して働ける職場環境に導くためにも、産業医の視点やアドバイスは重要だといえます。

職場内で従業員に産業医の認知を高めつつ、産業医に対して権限を与えて健康経営に関わってもらうことで企業価値も向上していくでしょう。

しかし、産業医も24時間働けません。従業員の健康状態の変化に対して即座に対応するのは困難です。いつでも気軽に相談できる「HELPO」を併用していけば、従業員の健康管理に大いに役立ちます。福利厚生の充実にも有効なツールとなるため、「HELPO」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。


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