パワハラは労災認定されるのか?認定要件・申請手順についてもわかりやすく解説
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パワハラは労災認定されるのか?認定要件・申請手順についてもわかりやすく解説

HELPO マガジン

職場において、ストレスによるメンタルヘルスの不調が増えてきていることを背景として、「精神障害の労災認定基準」にパワハラの項目が追加されました。

パワハラを受けた場合、どのように労災認定はなされるのでしょうか。パワハラの労災認定について正確な知識を身に付けておけば、適切に対応できるでしょう。

そこでこの記事では、パワハラの労災認定基準、労災申請のための知識や手順について詳しく説明します。

パワハラは労災認定されるのか?

職場においてパワハラを受けた人がいた場合、労災認定はされるのでしょうか。パワハラが発生する前に、あらかじめ労災について知っておくことが重要です。

そもそも労災とは何か、パワハラとは何かについて説明し、パワハラの労災認定について解説します。

労災とは

「労災」とは「労働災害」を略した言葉です。業務中・通勤中に、事故などにより従業員が負傷したり病気にかかったりすることを指します。労災保険料は事業主が負担します。

労災が発生しただけでは補償は行われません。労災申請をすると、労働基準監督署が認定を行い、認定されれば国が補償を行います。認定には基準があり、明確な雇用関係がある上で災害が発生したかどうか、業務と災害に因果関係があるかどうかが確認されます。

パワハラの定義

労働施策総合推進法では、職場におけるパワハラは、次の3つの要素を全て満たすものとして定義されています。

■優越的な関係を背景とした言動
■業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
■就業環境が害されるもの

ただし、客観的に見て業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、パワハラには該当しないとされていますので注意が必要です。

パワハラの労災認定

2020年6月に、「パワハラ防止法」とも呼ばれる改正労働施策総合推進法が施行されました。それを踏まえ、「精神障害の労災認定基準」の「業務による心理的負荷評価表」に、パワハラの項目が明記されました。

「業務による心理的負荷評価表」とは、ストレスの強度を3段階で判断するための具体例を示した表です。この表を用いて、パワハラによって受けたストレス(心理的負荷)が「強」であると評価された場合に、労災認定のための要件の1つを満たしたとされます。

労災申請に関わるパワハラについての知識

パワハラで労災申請をしようとする人がいる場合に、人事担当者として知っておかなければならないことがあります。

具体的にはどのような事例がパワハラに該当するのか、上司ではなく同僚からパワハラを受けた場合にも労災申請ができるのかについて解説します。

パワハラの種類

厚生労働省によると、具体的には次のようなことがパワハラに該当します。

■暴行・傷害などの「身体的な攻撃」
■脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言などの「精神的な攻撃」
■隔離・仲間外し・無視などの「人間関係からの切り離し」
■業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害などの「過大な要求」
■業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないことなどの「過小な要求」
■私的なことに過度に立ち入る「個の侵害」

もちろん、個別のケースによっては、パワハラに該当するのか簡単に判断できないこともありますので、悩んでいる従業員がいる場合は専門機関等に相談しましょう。

同僚によるパワハラ労災

同僚によるパワハラは、労災認定されるのでしょうか。パワハラの定義には、「優越的な関係を背景とした言動」という要素が含まれています。一般的には、上司と部下の関係を思い浮かべるかもしれません。ただし、ケースによっては、この「優越的な関係」の相手は上司とは限らず、同僚や部下が該当することもあるとされています。

また、「業務による心理的負荷評価表」の「出来事の類型」には、「パワーハラスメント」と共に「対人関係」という項目が記載されており、「同僚等から、暴行又はひどいいじめ・嫌がらせを受けた」という具体例が示されています。

つまり、「優越的な関係」がない場合の「暴行又はひどいいじめ・嫌がらせ」はパワハラとはされないものの、やはり労災に認定される可能性があるのです。

パワハラの労災認定要件とは

パワハラで労災認定を受けるためには、認定要件を満たしていなければなりません。主な認定要件は3つあります。

「精神障害の発症」「業務による強い心理的負荷」「職場以外の心理的負荷によって発病したものではないこと」それぞれがどういう定義になっているのか解説します。

精神障害の発症

パワハラによる被害の中で、労災の対象となる典型的な例が、精神障害です。パワハラで労災認定を受けるためには、パワハラによって精神障害を発症していることが要件となります。

代表的な例は、うつ病・適応障害・急性ストレス反応などです。パワハラによってもたらされたストレスが許容範囲を超えると、精神障害発症の1つの要因になると考えられています。

業務による強い心理的負荷

発症前の約6か月間に、業務による強い心理的負荷が認められることも認定要件です。職場で起きた出来事を、「業務による心理的負荷評価表」を用いて評価します。

労働基準監督署の調査に基づいて判断され、出来事の心理的負荷が「強」に該当すると評価されると、認定要件を満たしたことになります。例えば、「上司等から、治療を要する程度の暴行等の身体的攻撃を受けた場合」などが「強」と判断される具体的な例です。

職場以外の心理的負荷によって発病したものではない

職場以外での個人的な問題による心理的負荷によって、精神障害を発病した場合には、労災認定は受けられません。そのため、精神障害の発症と業務との因果関係があるかどうかが判断されます。

労働基準監督署が客観的証拠をもとに、「業務による心理的負荷評価表」と「業務以外の心理的負荷評価表」を用いて確認し、因果関係があると認められれば、認定要件を満たしたことになります。

パワハラで労災申請をするための手順

実際にパワハラで労災申請をしようとする時には、どのような手順で行えばいいのでしょうか。

医療機関の受診から始まり、申請書を作成して提出し、労働基準監督署の調査を経て、決定通知書が届くまでの一連の流れについて解説します。

医療機関の受診

心身の不調を感じた従業員がいたら、医療機関を受診し、定期的な診察・治療を受けてもらいましょう。その時点では従業員に労災申請を行う意思がなくてもかまいません。まずは、治療に専念してもらってください。

後に従業員が労災の申請をしようと決めた場合には、医師に診断を確定してもらうことや、治療期間中に記録されたカルテなどが必要となってきます。医療機関を受診しなければ、精神障害の発症を確認することができないので、労災申請の認定要件を満たすことはできないのです。

申請書の作成・提出

労災の申請を希望する従業員には、申請書を労働基準監督署などで手に入れるか、厚生労働省のWebサイトからダウンロードしてもらいましょう。その上で、人事担当者は会社欄の書類記載をします。

医療機関に提出する用紙と、労働基準監督署に提出する用紙がありますので、間違わないように注意が必要です。

労働基準監督署の調査

労災申請書が受理されると、労働基準監督署による調査が行われます。申請者と会社関係者、担当主治医などからの事情聴取が行われ、その内容が記録されます。

また、申請者、会社関係者、担当主治医から資料を提供してもらい、事情聴取とあわせて調査が進められます。

決定通知書が届く

労働基準監督署の調査が終わると、労災支給決定の通知書、もしくは労災不支給決定の通知書が従業員に送付されます。労災不支給と決定された場合、従業員は納得ができなかったら、労働基準監督署の上級機関に対して、「審査請求」という不服申し立てを行うことができます。

さらに「審査請求」の決定にも納得できない場合には、「再審査請求」という2度目の不服申し立てを行うこともできます。また、「再審査請求」の採決にも納得がいかなければ、国を被告として、最初の決定に対する「取消訴訟」ができます。

従業員のメンタルヘルスケアをサポートするアプリ「HELPO」

パワハラは従業員だけでなく、企業にも大きな影響を与えるものです。パワハラがメンタル不調につながることを防ぐためにも、メンタルヘルスケアが重要となります。

メンタルヘルスケアには、ヘルスケアアプリ「HELPO(へルポ)」をぜひご活用ください。HELPOでは、医師・看護師・薬剤師の医療専門チームにチャット形式で健康医療相談ができます。24時間365日体制で受け付けているため、時間を気にせずに相談可能です。

メンタルの不調だけでなく、生活習慣の悩み、健康について気になること、ちょっとした身体の不安などについても相談できますので、健康管理にも役立つでしょう。

まとめ

職場におけるパワハラは、「精神障害の労災認定基準」に、パワハラの項目が追加されたこともあり、認定要件を満たせば労災認定されます。ただし、精神障害を発症しない方が、従業員本人にとっても、企業にとっても良いことなのはいうまでもありません。

ヘルスケアテクノロジーズは、ヘルスケアアプリ「HELPO」を通じて、従業員の健康管理をサポートいたします。従業員の心身の健康を守りたい、ヘルスケアサポートに興味を持っている、企業様からのお問い合わせをお待ちしております。


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