見えてきた今後の企業経営の在り方

企業のかじ取りがこれまで以上に難しい時代になりました。デジタル技術の発展によりビジネス環境や社会環境が急速に変化していることに加え、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、将来はだれも予測ができないほど不透明な状態です。
そうした中、働き方改革、DX、SDGs、健康経営などの動きが国の内外から押し寄せてきています。これらは今後の企業経営にどのような影響を与えるのでしょうか。また、経営者はどのように対処していくべきなのでしょうか。

働き方改革で労働者の多様なニーズに対応

「働き方改革」は、労働者の個々の事情に応じて多様な働き方を選択できる社会の実現を目指すものです。背景には生産年齢人口の減少や、時代とともに働き方のニーズが多様化してきたことなどがあります。

2019年4月1日から働き方改革関連法が順次施行されています。企業は事業規模に関わらず長時間労働や雇用形態による不平等な待遇の是正、多様な働き方の実現などに真剣に取り組まなければなりません。

「働き方改革」の推進にはデジタル技術による業務の効率化も絡むため、社内におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の後押しも重要となります。

生き残りをかけてDXに取り組む

今、日本ではDXという言葉がトレンドになっています。特に経済関連のニュースで見ない日はないと言っても過言ではありません。また、転職市場では民間企業、自治体を問わずDX関連の人材を積極的に採用する動きが見られます。人材の争奪戦が始まっているのです。

経済産業省は2018年12月に「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」を発表しました。国がDXを推進するのはIT後進国と言われてきた日本が現状のままではデジタル分野の競争で世界に取り残され、結果として国力が衰退しかねないことを危惧しているためです。

同ガイドラインではDXの定義を次のように定めています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

DX推進に当たっては、既存システムの刷新や企業文化の改革、また新たな投資が必要となります。ボトムアップによる意思決定の多い日本企業が経営層のDXに対する理解をいかに得ていくかが重要になります。

SDGsは国連が採択した国際公約

SDGs(持続可能な開発目標) は最近の日本でDXと並びよく耳にする言葉です。国連は2015年9月に貧困、差別、気候変動など、国際社会が直面する共通課題の解決を目指すためにSDGsを採択し、17の目標を定めました。

SDGsは経済成長、人権尊重、環境保護などを同時に解決することを求めており、経済成長が人権や環境の犠牲の上に成り立つものではないことを強調しています。もはや利益を追求するだけの身勝手な振る舞いは国際社会では容認されません。SDGsに後ろ向きの企業が生き残ることは今後、難しくなっていくのではなかと言われています。

日本でも多くの企業がSDGsに積極的に取り組んでいることを様々な媒体を通じてアピールし、株主、ステークホルダー、社会の理解を得ようと努力しています。

「健康経営」を国もバックアップ

「健康経営」は、従業員の健康管理を経営課題と考え、従業員の健康増進と業務の生産性向上を目指す経営手法です。結果的に業績の向上、株価の上昇、企業の社会的評価の向上などにつながることが期待されます。

「健康経営」は、もともとは民間で始まったものですが、現在は国なども積極的にバックアップしています。経済産業省は、健康経営に関わる顕彰制度として、2015年から「健康経営銘柄」の選定をスタートしました。また、2017年には新たに「健康経営優良法人認定制度」を創設しました。これらの動きは健康経営に取り組む優良な企業を「見える化」し、従業員、関係企業、金融機関などのステークホルダーから正しく評価されるための環境を整備することにあります。

世界の投資はESG重視に

SDGsとともに注目されているのがESGです。環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に配慮している企業を選別して投資を行う手法がESG投資と呼ばれ、すでに欧米を中心に広がりを見せています。日本でも公的年金基金などの機関投資家の間で浸透しつつあります。

このような投資手法が良いリターンをもたらすかは未知数ですが、世界の投資がESG重視に傾いていることはまぎれもない事実で、この流れは止めることができないでしょう。

ESG投資が将来さらに拡大すると、ESGを軽んじて利益の追求のみに走る企業は機関投資家から見放され、株式市場の中で苦しい立場に立たされるかもしれません。

経営トップは強いリーダーシップを

ここまで内外の動きを見てきましたが、日本の企業経営が進むべき道が見えてきたようです。

1)労働者の保護、人権と地球環境への配慮、コンプライアンスなどに最大限の配慮をした上で持続的な成長を図る。2)そのためにデジタル技術の積極的な導入によって業務を改革し、新しいビジネスモデルを生み出すことで国際競争に強い体質にする。

そのためには経営トップ自らがしっかりとコミットすることが重要です。下から上がってくるのを待つだけではなく、時代に合った経営戦略を打ち立て、実行するために強いリーダーシップを発揮することが求められています。

「ヘルスケアテクノロジーズ」のイメージ

ヘルスケアテクノロジーズ株式会社は、ソフトバンク株式会社がDX(デジタルトランスフォーメーション)領域でヘルスケア分野のさまざまな社会課題の解決を推進するため、2018年10月に設立された会社です。人々の健康増進や医療資源の最適化、国民皆保険の維持に貢献するため、ヘルスケアプラットフォームを提供しています。2020年7月から提供を開始した「HELPO」は、病気の予防や未病改善、健康増進に役立つ機能をワンストップで提供するヘルスケアアプリです。「HELPO」の詳細については、こちらをご覧ください。また、SB新型コロナウイルス検査センター株式会社との連携の下、2020年12月から自治体向けに唾液PCR検査業務の支援を開始し、2021年2月には個人向け唾液PCR検査サービス「HELPO PCR検査パッケージ」の提供を開始しました。

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