将来子どもが欲しくなるかも。卵子凍結、受精卵凍結という選択肢

最近ニュースやネット等でも話題になることが増えた「卵子凍結」という選択肢。
ここ数年で「卵子凍結」を選択する独身女性も増え、身近な選択肢のひとつになってきました。

この記事では卵子凍結を選択する時に知っておいてほしい知識や情報についてお伝えしていきます。

※本ページの記事は、病気・妊娠・出産に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

卵子は年齢ともに老化する

卵子は母親のお腹の中にいる時(胎児期)に作られて以降、新しく作られることはありません。そのため、年齢とともに卵子の数は減り、卵子そのものも老化していきます。

卵子は胎児期が一番多く、個人差はありますが、胎児期に約500万~700万個あった卵子は、出生時には約200万個、生理が始まる思春期頃には約30万個、37歳頃には約2万個まで減少していきます 。妊娠に「適齢期」という言葉があるのは、このような卵子の減少と老化というメカニズムがあるためです。

仕事やプライベートが忙しい年齢とこの妊娠の適齢期が重なってしまうという中、仕事やプライベートも充実させたいという欧米の女性を中心に増えてきたのが「卵子凍結」という選択肢です。

「卵子凍結」という選択肢

卵子凍結とは、「卵子を卵巣から採卵し凍結保存することで、採卵した時の年齢の卵子を半永久的に保存できる技術」です。

「医学的卵子凍結」と「社会的卵子凍結」

  • 「医学的卵子凍結」とは
    主に、悪性腫瘍などに罹患したがん患者が、その治療を行うことで、卵巣機能が低下する可能性がある場合に、妊孕性温存を目的に行う卵子凍結のことを言います。
    ただしがん以外が原因の早発卵巣機能不全等は現時点では「医学的卵子凍結」には適応されないため注意が必要です。
  • 「社会的卵子凍結」とは
    非医学的適応とも呼ばれ、個々の理由(パートナーがいない、仕事との兼ね合い)などで、現時点では妊娠を考えていない人が、将来の妊娠のために行う卵子凍結のことを言います。

卵子凍結の一般的な流れ

  1. 血液検査、超音波検査などを行い、今の身体の状態を確認
  2. 排卵誘発スタート
    錠剤や注射剤で7日~10日ほどかけて卵胞を複数育てていきます。排卵誘発の刺激方法には低刺激、中刺激、高刺激など複数の方法がありますが、出来るだけたくさんの卵子を採取するために中刺激から高刺激で行うことが多いです。
    排卵誘発を行っている7~10日ほどの期間に、卵胞の発育状況によって個々に違いはでますが、3回~5回程度の通院が必要になることがあります。卵胞の発育状況を確認しながら卵子を採卵する日を決めます。
  3. 採卵
    全身麻酔、もしくは局所麻酔で排卵する前の卵子を採卵します。採卵が終わればそのまま仕事に行く人、1日ゆっくりと休む人など体調には個人差があります。
  4. 冷凍保存
    採卵した卵子をマイナス200℃の液体窒素内に保管します。

結婚している場合は「受精卵凍結」という選択肢も

既に結婚している、もしくは事実婚の状況にある場合は、未受精卵ではなく精子と受精させた受精卵の状態で凍結保存することも出来ます。

事実婚も含めて結婚されている場合は「受精卵凍結」も検討してみください。

ただし、「受精卵凍結」の場合は、離婚や事実婚を解消してパートナーが変わった場合は使用することが出来ませんので、その点に関しては注意が必要です。

卵子凍結をするメリット・デメリット

卵子凍結を検討する際には、まずはメリット・デメリットを正しく理解する必要があります。ここでは、妊娠率や費用面などを中心に、メリット・デメリットを挙げていきます。

メリット

  • 凍結時の年齢で妊娠の可能性を残すことが出来る
  • 妊娠の適齢期にあまり影響されず、自分自身のキャリア設計やライフ設計がたてやすくなる
  • 早発閉経などのリスクにも対応が可能
  • 2人目、3人目を望んだ際に凍結した卵子を使用することが出来る
  • 高齢になって不妊治療をスタートするよりも費用的負担が減る場合がある(治療内容や治療回数にもよる)

デメリット

  • 卵子凍結をしても妊娠が絶対に保証されるわけではない
  • 卵子1個当たりの妊娠率は思っているほど高くない
  • 妊娠の可能性をあげるためには、30代前半でも20個程度の保管は必要
  • 年齢とともに必要保管卵子数が増える(30代後半では40個以上)
  • 助成金が出る自治体はまだ少なく、 自費診療のため費用が嵩む
  • 長期保管になると保管費用も必要になる
  • 凍結卵子を使用する際にも費用が発生する
  • 高齢の妊娠・出産にはリスクも伴う
  • 卵子の老化以外の不妊要因(着床障害・不育症・男性不妊)はカバーできない

卵子凍結は決してメリットばかりではありません。どちらか一方の意見だけを聞くのではなく、双方を正しく理解したうえで、自分にとってベストな判断をするようにしましょう。

卵子凍結の費用

卵子凍結は保険が適用されないため自費診療となります。ただ自治体や勤務先の企業によっては補助金が出ることもありますので、一度確認されてみてください。

卵子凍結にかかる費用は、個人差も大きく、クリニックによっても金額が様々です。
1回の周期で目標としている卵子数が採卵できれば良いですが、そうでなければ2回、3回と採卵が必要になり、その分費用も嵩んできます。採卵から保管までで約40万~100万程度が費用の目安になります。

また、凍結しておいた卵子を使用する際にも、受精・培養・移植の費用が必要になってきます。こちらもクリニックによって費用が変わってきますが、1回の移植で約30万~50万程度を想定しておく必要があります。また、1回の移植で必ずしも妊娠するとは限らないため、複数回費用が発生する可能性があります。

詳しい費用については受診されるクリニックでご確認ください。

卵子凍結をすれば安心?ライフプランと共に考える必要性

今はまだ妊娠・出産を考えられない女性にとって、日本でも「卵子凍結」は一般的な選択肢のひとつになるでしょう。
ただ卵子凍結にはメリットだけではなく、費用面も含めてデメリットも少なくありません。また、凍結した卵子を使用するには年齢制限を設けているクリニックがほとんどです。決して「卵子凍結をしておけば安心」というわけにはいきません。卵子凍結を選択するのであれば、その先のライフプランも一緒に考えておく必要があります。

何より凍結した卵子を使用するためには、今の日本では「パートナー」という存在が必要になります。

卵子凍結を選択する際には

  • 最終的には子どもを何人希望しているのか?
  • 何歳頃に妊娠・出産を考えているのか?
  • パートナーとはどのように出会うのか?
  • 凍結した卵子で子どもを授からなかった時はどうするのか?

このような5年後、10年後のライフプランも併せて考えるようにしてみてください。

(出典)
・日本産婦人科医会「1.妊娠適齢年令」https://www.jaog.or.jp/