気になる子どもの発達 子どもに合わせた支援の大切さ

2歳を過ぎてくると少しずつ社会性が身についてきます。その経過で、「子どもの発達が気になる」「子どもの様子で気になることがある」と思うことがあるかもしれません。

そうした中で「発達障がい」という言葉を耳にする方も多いかもしれませんが、実のところよく分からない、といったことはありませんか。今回は、人とのコミュニケーションが得意ではないと言われている発達障がいのひとつ、「ASD(自閉スペクトラム症)」について主にご紹介します。

※本ページの記事は、妊娠・出産・子育てに関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

発達障がいは育て方が原因ではありません!

発達障がいの原因は正確には分かっていませんが、生まれつきの脳の機能障害が原因とされており、それにより発達や得意不得意に凸凹がある、いわば個性や特性のようなものです。発達障がいは、ASD(自閉スペクトラム症)の他にも、集中力が続かずじっとしているのが難しいADHD(注意欠如・多動症)や計算や読み書きなどの学習に困難があるLD(学習障害)などが挙げられます。そして、これらは育て方や愛情のかけ方の問題ではありません。根本的な要因をなくす事はまだできませんが、子どもに合わせた関わりをしてあげることで、本人の良さを引き出していくことができます。

ASDの特徴は?

これまで自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害など様々な呼称がありましたが、現在はASD(自閉スペクトラム症)とまとめて呼ばれるようになりました。

特徴として社会的なコミュニケーションや人との関わりが苦手、興味や行動の偏り・こだわりなどが挙げられます。具体的には、おうむ返しや独特な言い回し(自分が帰宅した時に「おかえり」と言うなど)、特定の遊びに没頭する、同じ方法や状態に固執する、興味のあるなしが極端、人の感情や空気を読み取るのが苦手、特定の感覚が過敏になる、または反対に鈍感になるなどです。こだわりが強く大変だという側面もありますが、決められたことは脇目も振らずに遂行できるとも言えます。

早期に発見して子どもにあったサポートを

【子育て】のイメージ_滑り台で遊ぶ子ども

ASDの特徴でもあるコミュニケーションの課題は、社会性の育ってくる幼児期から目立ってきます。もちろん、成長発達には大きな個人差があり、前述したような特徴があったとしても必ずしもASDだとは限らず、成長とともにその特徴がいつの間にか目立たなくなることもあります。

一方で、子どもがその特性によって、過ごしにくさを感じているのであれば、外部の専門機関を含めたサポートの体制を整えることは大切です。また、自宅では、①写真や絵など視覚的なコミュニケーションを取り入れる、②短くわかりやすい言葉で伝える(きちんと、ちゃんと、などは通じない)、③現在の興味をきっかけに、興味の幅を広げられる関わりを持つ、などを心がけると良いでしょう。

子どもの苦手なことをサポートし、早めに支援を開始することによって、得意なことを伸ばすことができます。それによって子どもの「できた」と思える体験を増やしていくこともできるでしょう。それは、保護者にとっても同じです。

不安なことや気になることがあれば、まずは医師に相談してみましょう。かかりつけ医であれば、子どもの生育歴も把握しています。あるいは、乳幼児健診のときに相談することもできます。その他にも、児童相談所や各自治体の窓口を活用する方法もあります。きっと良いアドバイス、ヒントに出会えるはずです。

参考文献
・日本小児神経学会「Q.80自閉症について教えてください」(閲覧日2022年6月30日)
・厚生労働省 eヘルスネット「ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について」(閲覧日2022年6月30日)
・南山堂「改訂第4版ベッドサイドの小児神経・発達の診かた」桃井眞里子, 宮尾益知, 水口雅 2017

クレジット
著作/ヘルスケアテクノロジーズ株式会社
文/小児救急看護認定看護師 松尾 祐吾(ヘルスケアテクノロジーズ株式会社所属)