「心の健康づくり計画」の策定は事業者の義務!その内容と助成金の要件とは

「心の健康づくり計画」はメンタルへルスケア対策推進のために企業が策定する方針です。厚生労働省による「労働者の心の健康の保持増進のための指針」において、企業は「心の健康づくり計画」を策定する必要がある旨が記されています。

職場で「心の健康づくり計画」の策定を検討中の場合など、内容や助成金について知りたいと考えている方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、「心の健康づくり計画」について紹介します。助成金の概要や申請方法についても解説するので、ぜひ参考になさってください。

「心の健康づくり計画」とは

「ミーティング」のイメージ_笑顔で話をしている4名の社員

近年、職場での業務や人間関係におけるストレスによりメンタルへルスの不調をきたす労働者は後を絶たず、心の健康の保持増進は企業にとって大きな課題です。ここでは、「心の健康づくり計画」の意義と内容について解説します。

企業が取り組むべき職場の健康対策

「心の健康づくり計画」は、企業が従業員のメンタルへルス対策を推進するために策定する基本方針です。労働安全衛生法に基づいて厚生労働省が定めた「労働者の心の健康の保持増進のための指針」において、その必要性が示されています。

労働安全衛生法第 69 条では、事業者は‟労働者に対する健康教育及び健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置を継続的かつ計画的に講ずるよう努めなければならない”と記載されており、従業員の心身の健康を保持増進するための取り組みを実施しなくてはなりません。

職場のメンタルへルス対策については、各企業が指針や体制整備、具体的な対策などについてまとめた「心の健康づくり計画」を策定し、実行することが求められています。

「心の健康づくり計画」に盛り込む7つの事項

「労働者の心の健康の保持増進のための指針」で挙げられている「心の健康づくり計画」に盛り込むべき事項は、以下の7つです。

  1. 事業者がメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨の表明に関すること
  2. 事業場における心の健康づくりの体制の整備に関すること
  3. 事業場における問題点の把握及びメンタルヘルスケアの実施に関すること
  4. メンタルヘルスケアを行うために必要な人材の確保及び事業場外資源の活用に関すること
  5. 労働者の健康情報の保護に関すること
  6. 心の健康づくり計画の実施状況の評価及び計画の見直しに関すること
  7. その他労働者の心の健康づくりに必要な措置に関すること

企業は、この7項目を盛り込んだ計画に沿って、メンタルヘルスケアを継続的に実施しなければなりません。また、「心の健康づくり計画」の策定にあたっては衛生委員会等における十分な調査審議を行うこと、ストレスチェック制度の位置づけを明確にすることが求められています。

メンタルへルスケア推進の留意ポイント

「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では、メンタルへルスケアの推進にあたって以下の点に留意することが望ましいとしています。

  • 心の健康問題の特性
    心の健康は当事者から情報を得る必要があり、個人差もあるため、プロセスが把握しにくいのが特徴です。また、当事者への評価について偏見や誤解が生じるといった問題もあります。
  • 労働者の個人情報の保護への配慮
    健康情報を含む個人情報の保護に配慮し、当事者の意思を尊重することが大切です。
  • 人事労務管理との関係
    従業員の心の健康は職場配置や人事異動などの影響が大きいため、人事労務管理との連携が必要になります。
  • 家庭・個人生活等の職場以外の問題
    心の健康には、家庭生活や個人の要因も関係している場合が少なくありません。

職場のメンタルへルスケアにおける3段階のフェーズ 

「ストレスチェック」のイメージ_ストレスチェックの実施に関する書類

メンタルへルスケアは、不調を未然に防ぐための「一次予防」、不調を早期に発見するための「二次予防」、メンタルへルス不調者の職場復帰を支援する「三次予防」の3つの段階があります。

それぞれの段階で適切な対応を行い、不調の発症を予防するとともに、発症してしまった際は早期に発見して重症化を防いだり、回復をサポートしたりすることが大切です。

不調を未然に防ぐ「一次予防」 

「一次予防」とは、ストレスチェックの活用や職場環境の改善などの施策によって、メンタルへルス不調を未然に防止することです。従業員が自分のストレスに対処したり、上司が相談に応じたり職場環境の改善に努めたりすることで、職場におけるメンタルへルス不調の発症を抑えることができます。

不調を早期に発見する「二次予防」

「二次予防」とは、メンタルへルスの不調を早期発見して対処するための取り組みを指します。メンタルへルスの不調は本人や周囲が気づかないうちに進行していることも多くあり、重症化の防止には早期発見が重要です。従業員や管理監督者の気づきを支援したり、相談窓口などの体制を整備したりすることで、早期発見を促すことができます。

職場復帰を支援する「三次予防」

 「三次予防」とは、メンタルへルスに不調をきたした従業員の治療や職場復帰を支援する取り組みです。従業員が休職することになった場合、休職中のフォローや職場復帰の支援、再発防止の取り組みなどが必要になります。その際、管理監督者や産業医が連携し、当事者の状況に合わせた無理のないサポートをすることが大切です。

職場に求められる4つのメンタルヘルスケア

「円滑なコミュニケーション」のイメージ_笑顔で話をしている3名の社員

「労働者の心の健康の保持増進のための指針」によると、職場のメンタルヘルスケアにおいては、従業員自身による「セルフケア」、管理監督者による「ラインによるケア」、産業保健医などの「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」、医療機関などの「事業場外資源によるケア」の4つのケアが必要です。ここでは、4つのケアについて解説します。

1. セルフケア

セルフケアとは、従業員自身がメンタルへルスについて正しく理解し、自らのストレスに気付き、対処することです。企業は、従業員が適切なセルフケアを行えるよう、教育研修や情報提供などを行ってサポートすることが求められます。ストレスに気付くためには、ストレスチェック制度の活用も有効です。

2. ラインによるケア

 ラインによるケアとは、部長や課長などの管理監督者が部下に対して行うメンタルヘルスケアのことです。管理監督者は部下の健康状態を把握し、職場環境の改善や部下からの相談対応、メンタルへルス不調による休職者の職場復帰支援などを行うことが求められます。

3. 産業保健医などによるケア  

 産業保健医や人事労務管理スタッフなど、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」も必要とされています。これらの担当者は、セルフケアやラインによるケアを支援するとともに、メンタルへルスケアの企画立案など「心の健康づくり計画」の実施において大切な役割を担う存在です。

4. 事業場外資源によるケア

事業場外資源とは、医療機関や地域保健機関、従業員支援プログラム(EAP)機関などを指します。職場のメンタルへルスケアにあたっては必要に応じてこれらの外部専門機関を活用して情報提供や助言を受けたり、ネットワークを形成したりするのも有効な方法です。

中小企業におすすめ「心の健康づくり計画助成金」

「申請」のイメージ_書面に判子を推している男性の手元

「心の健康づくり計画助成金」は、職場におけるメンタルへルス対策を支援するために厚生労働省が行っているものです。これから「心の健康づくり計画」を策定する事業者や策定していても助成金を受け取っていない事業者は、要件を満たせば助成が受けられる可能性があります。

「心の健康づくり計画助成金」とは 

「心の健康づくり計画助成金」は、厚生労働省の産業保健活動総合支援事業の一環として行われている助成金です。事業者がメンタルヘルス対策促進員の助言・支援に基づいて「心の健康づくり計画」を作成し、計画を踏まえたメンタルへルス対策を実施した際、一定の要件を満たせば一企業あたり1回に限り一律10万円の助成金を受け取れます。

独立行政法人労働者健康安全機構のウェブサイトにて「令和3年度版『心の健康づくり計画助成金』の手引」として助成金の最新情報が掲載されているため、チェックするとよいでしょう。

(参考: 『令和3年度版『心の健康づくり計画助成金』の手引』

対象事業と取り組みの要件

助成を受けるためには、対象事業と取り組みについて、それぞれ所定の要件を満たしてる必要があります。「令和3年度版『心の健康づくり計画助成金』の手引」に記載の要件は以下の通りです。

事業場の要件

  1. 労働者を雇用している法人・個人事業主で、当該事業場に雇用されている労働者がいる
  2. 労働保険の適用事業場である
  3. 登記上の本店または本社機能を有する事業場である(個人事業主は、開業届の届出がされている事業場である)

取り組みの要件

  1. メンタルヘルス対策促進員の訪問を受け、その助言・支援に基づき令和2年度以降新たに「心の健康づくり計画」を作成している
  2. 作成した「心の健康づくり計画」を労働者に周知している
  3. 「心の健康づくり計画」に基づき具体的なメンタルヘルス対策を実施している
  4. メンタルヘルス対策促進員から、「心の健康づくり計画」に基づき具体的なメンタルヘルス対策が実施されたことの確認を受けている

(出典:独立行政法人労働者健康安全機構「令和3年度版『心の健康づくり計画助成金』の手引」を基に要約)

助成金受給までの流れ

 「心の健康づくり計画」の策定から助成金の受け取りまでの流れは以下の通りです。

  1. メンタルヘルス対策促進員の訪問支援の申し込み
  2. 心の健康づくり計画の作成に係る助言・支援
  3. 心の健康づくり計画の作成
  4. 心の健康づくり計画の周知
  5. 心の健康づくり計画の実施
  6. メンタルヘルス対策促進員による確認
  7. 心の健康づくり計画助成金支給申請
  8. 助成金支給決定通知の受取、助成金受領

(出典:独立行政法人労働者健康安全機構「令和3年度版『心の健康づくり計画助成金』の手引」を基に要約)

「心の健康づくり計画」の策定にあたっては、まず各都道府県の産業保健総合支援センターに、メンタルヘルス対策促進員の訪問支援の申し込みをすることが必要です。その後、メンタルヘルス対策促進員からの助言や支援をもとに「心の健康づくり計画」を作成して従業員に周知し、計画に沿った対策を実施します。

計画の実施については、メンタルヘルス対策促進員による確認を受けなくてはなりません。確認が済んだら、必要書類を添えて労働者健康安全機構へ支給申請を行います。

助成金の申請期間・申請方法

「令和3年度版『心の健康づくり計画助成金』の手引」によると、実施期間が令和3年4月11日から令和4年3月31日までの取り組みについては以下の期間・方法で申請できます。

  • 申請期間
    令和3年5月18日から令和4年6月30日まで(消印有効)
  • 申請方法
    以下の提出物を用意し、事業者の代表者が労働者健康安全機構の勤労者医療・産業保健部 産業保健業務指導課宛てに提出します。
  1. 「心の健康づくり計画助成金支給申請書」(様式第1号)
  2. 事業場の概要が確認できる書類(法人の場合は登記事項証明書(商業・法人登記)、個人の場合は開業届(写))
  3. 「メンタルヘルス対策促進員企業訪問報告書」(様式第2号)
  4. 「心の健康づくり計画」
  5. 事業場の労働保険概算・確定保険料申告書(写)
  6. 労働保険料一括納付に係る証明書(該当事業場のみ)
  7. 振込先の通帳(写)
  8. 支給要件確認申立書(様式第3号)
  9. 「心の健康づくり計画助成金支給申請チェックリスト兼同意書」(様式第 4 号)
  10. 事業場宛ての返信用封筒(長形3号封筒に 84 円切手貼付)

(出典:独立行政法人労働者健康安全機構「令和3年度版『心の健康づくり計画助成金』の手引」を基に要約)

企業向けその他の健康に関する助成金   

労働者健康安全機構ではさまざまな助成金で労働者の心身の健康維持・増進対策を推進しています。これらの助成により企業の負担が軽減できるため、可能な場合は活用するとよいでしょう。

令和3年度の産業保健関係助成金は、「心の健康づくり計画助成金」のほかに以下の6つがあります。

ストレスチェック助成金

従業員数50人未満の事業場がストレスチェックと面接指導などを実施した場合に助成を受けられる。

職場環境改善計画助成金

「事業場コース」と「建設現場コース」がある。事業者がストレスチェックを実施し、専門家の指導に基づき職場環境改善計画を作成して改善を実施した場合に助成を受けられる。

小規模事業場産業医活動助成金

「産業医コース」と「保健師コース」「直接健康相談環境整備コース」がある。小規模事業者が産業医や保健師と契約を締結して実際に産業医活動や産業保健活動が行われた場合や、契約において労働者が直接健康相談できる環境を整備した条項を含めた場合に助成を受けられる。

治療と仕事の両立支援助成金

「環境整備コース」と「制度活用コース」がある。事業者が両立支援コーディネーターの配置・両立支援制度の導入を行った場合や、コーディネーターを活用し、制度を用いた措置を労働者に適用した場合に助成を受けられる。

副業・兼業労働者の健康診断助成金

事業者が副業・兼業労働者に対して一般健康診断を実施した場合に、助成を受けられる。

事業場における労働者の健康保持増進計画助成金

事業者が「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」の基本事項に沿った取り組みを実施した場合に助成を受けられる。

運用管理もラクラク!職場の健康管理ならHELPO 

従業員の心の健康の保持増進のためには、企業が「心の健康づくり計画」を策定してメンタルへルス対策に努めることが大切です。また、メンタルへルスの不調は当事者や周囲が気づかない間に進行していることもあるため、従業員一人ひとりが日頃からセルフケアを心掛けるのが望ましいでしょう。

ヘルスケアアプリ「HELPO」を利用すれば、従業員自身が医師・看護師・薬剤師ら専門家からなる医療専門チームに24時間365日相談することが可能です。チャット形式のため気軽に相談でき、メンタルへルス不調の早期発見にもつながるでしょう。「HELPO」は企業の運用管理の負担を抑えながら、職場における効果的な健康管理を実現します。

まとめ

「リフレッシュ」のイメージ_カフェで伸びをしている女性

「心の健康づくり計画」は職場のメンタルへルス対策を推進するために企業が作る基本方針です。所定の条件に基づいて「心の健康づくり計画」を作成し、メンタルへルス対策を実施した事業者は「心の健康づくり計画助成金」を受給できるため、まだ受給していない事業者は申請を検討するとよいでしょう。

ヘルスケアテクノロジーズの「HELPO」は、手軽に従業員の健康管理ができるアプリです。企業の負担を抑えながら、職場のメンタルへルスケアを強力にサポートします。従業員の心の健康づくりをより効果的に推進したいとお考えの企業様は、ぜひお問い合わせください。

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