個人向け
他人事ではない!ストレスの蓄積には要注意!
目次
〜メンタルヘルス不調を感じる前に知っていただきたいこと〜
社会問題になっている「過労死」「ハラスメント」に加え、昨今コロナ禍により人と対面する機会が減り、メンタル面での不調を訴えている人が増加しています。
働きすぎや、知らず知らずのうちに蓄積したストレスなどがこころの症状となって現れます。
今回から全3回に渡って、メンタルヘルス「こころの健康」について一緒に考えていきましょう。
心の健康について考えたことありますか?
「メンタルヘルス」つまり「こころの健康」が維持できなくなってしまった状態をメンタルヘルス不調といいますが、このメンタルヘルス不調は、こころの弱い人がなるから自分には関係ないと思っている人も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
メンタルヘルス不調はうつ病や適応障害など精神疾患だけでなく、ストレスや強い悩み、不安といった病名が付かない精神状態も含まれます。
これは社会で働く人、誰もがなる可能性があり、気づかないうちになっているということも十分あり得えますので、働くすべての人の身近にあるものといえます。
そもそも「ストレス」とは何でしょうか。
「ストレス」と聞くと嫌なことやつらいことなどを想像する方が多いかもしれません。よく聞いたり、言葉にしたりする「ストレス」とはそもそもどういうことを指すのでしょうか。
ストレスの原因
ストレスとは、外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のことです。
外部からの刺激には、コロナ禍や天候、騒音などの環境的要因、病気や睡眠不足などの身体的要因、不安や悩みなど心理的要因、そして人間関係がうまくいかない、仕事が忙しいなどの社会的要因があります。つまり、日常の中で起こる様々な変化が、ストレスの原因になるのです。
たとえば、進学や就職、結婚、出産といった喜ばしい出来事でも、変化であり刺激ですから、実はストレスの原因になります。
ストレスといっても全てが悪影響を及ぼすわけではありません。適度なストレスは心を引き締めて、仕事の効率をあげたり、適度な興奮や緊張を与えてくれたりします。
しかし、その興奮や緊張が度を超えてしまうと、心や身体が適応しきれなくなり(過剰適応)ダメージを与えるため、過度にストレスを抱えずに適度に付き合うことが必要です。
自分のストレスサインって?
ストレスを受けている状態では、眠れない、お腹が痛くなる、怒りっぽくなるなど、何かしらストレスサインが出ているものです。こうしたサインが出ているからといって、こころの病気というわけではありませんが、気づかないままストレスを受け続けると、さらに調子をくずしてしまうことがあります。
特に働く方にとって、ストレスを抱えた状態での仕事はご本人はもちろん、会社にとっても労働問題など様々な影響につながりかねません。
働く人のメンタルヘルス
仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合は、令和2年(2020)年の調査結果で54.2%※1であり、半数を超えています。
「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる」とした人のうち、その内容をみると、「仕事の量」(42.5%)が最も多く、次いで、「仕事の失敗、責任の発生等」(35.0%)、「仕事の質」(30.9%)となっています。※2
このように、仕事や社会生活においてストレスを感じ、気づかないうちに蓄積することでメンタルヘルス不調として現れることは、誰にでも起こり得ることだといえます。
ストレスを溜めないために
ストレスを過度にためず、適度なストレスとうまく付き合っていくコツのひとつは、「自分のストレスに気づく」ことです。
ここでは、ストレスへの気づきのポイントについて大きく2つご紹介します。
まず1つ目は、メンタルヘルス不調としてのストレスサインへの気づきです。
以下のようなサインを放置していると、うつ病や不安障害、適応障害などの精神疾患につながる可能性もあります。サインに気づいたときは、早めの対処が大切です。
こころの面
- 悲しみ、憂うつ感
- 不安感、イライラ感、緊張感
- 無力感、やる気が出ない
体の面
- 食欲がなくなる、やせてきた
- 寝つきが悪い、朝早く目が覚める
- 動悸がする、血圧が上がる、手や足の裏に汗をかく
行動の面
- 消極的になる、周囲との交流をさけるようになる
- 飲酒、喫煙量がふえる
- 身だしなみがだらしなくなる、落ち着きがない
続いて2つ目は、ストレスのきっかけとなる出来事への気づきです。
メンタルヘルス不調には、そのきっかけとなる出来事やストレスの原因が背後に潜んでいることがあります。そのようなきっかけや出来事が複数重なった場合や、長く続いた場合など、メンタルヘルス不調につながることがあります。
ストレスの原因となりうる要因として、自分がどのような出来事を体験しているのかに気づくことは、とても大切なことです。
以下、ストレスの原因になりやすい出来事の例です。
生活上の出来事
- 自分や家族の誰かが病気・怪我・災害などの被災体験をした・子どもの進学、夫婦や親子の不和など、家庭内の人間関係に問題があった・ローンや借金、収入の減少などの金銭問題があった
- 引越しや騒音などの住環境の変化があった
職場での出来事
- 仕事での失敗やミスがあり、責任を問われた
- 仕事の量や質、勤務時間などが変化した
- 上司や同僚、部下などと人間関係でのトラブルがあった
- 昇進や配置転換、転勤など役割、身分の変化があった
「メンタルヘルス」つまり「こころの健康」を維持するためには、まずは自分のストレスに早期に気づくことから始めます。
自分のストレスサインと、きっかけになる出来事がないか、日常生活の中で当てはまる内容がないか、少し自分自身で振り返って、どのような時にどんなサインが出ているのか記録に残してみましょう。
相談窓口としてのHELPOの活用について
HELPOに寄せられているこころの相談
HELPOには様々な相談が寄せられていますが、中でもストレスやこころの不調を感じ、ご相談される方は全体の11%にのぼります。
【相談例】
- 転職してからこころの調子が悪いように思えます、どうにかしたいです。
- 最近、ストレスからなのか体調不良が続いています。 夜眠れなくて、変な時間に眠ってしまったり倦怠感があったり、頭痛が酷かったりします。
- 子育てや仕事の事、自分自身の事を考えると涙が止まりません。
回復するまでには、気になる症状が続いたり、生活に支障が出たり、あるいはつらい状態が長引く場合もあります。そのような時は、自己判断せずに、周囲の人や専門機関に相談することが大切です。相談することで、気持ちが楽になったり、違った考え方が生まれたり、症状回復の第一歩となります。
HELPOでは医師、看護師、薬剤師のチームで可能な範囲でお話を伺い、対処法の提示や必要時には受診の案内、専門窓口への案内を実施しております。文字にすることで、気持ちの整理などにもつながるかもしれません。いつでもお気軽にご利用ください。
※1,2 厚生労働省「令和2年労働安全衛生調査(実態調査)