育休後の退職を防ぐには?企業が押さえるべきポイントと対策

育休を取得していた社員の復帰に向けて準備を始めていた矢先に退職を告げられると、さまざまな調整を一からやり直すことになるため、悩まれている人事担当者も多いのではないでしょうか。

育児休業からの復職をスムーズに進めるためには、企業側が正しい知識と柔軟なサポート体制を持つことが大切です。また、実際に復職を予定していても、想定外の育児負担や保育園の状況などによって退職へと考えが変わるケースは決して少なくありません。育児と仕事の両立に不安を抱える従業員に対して、企業がどのような体制を整えておくかが重要です。

本記事では、育休後の退職を防ぐために企業が押さえるべきポイントや対策を網羅的に解説します。現場で起こりうる具体的な課題へ対処するヒントも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

本記事は健康経営エキスパートアドバイザーの中島利保さんによる監修を受けています。

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育休後の退職が意外に多い理由

「育休」のイメージ_赤ちゃんを抱っこするお母さんの手元

厚生労働省の調査データによると、「復職予定であったが、育児休業終了後に退職した者の割合」について、女性:6.8%、男性:2.7%と発表されております。労働人口が減少する中、企業としては休職後の退職は重要課題といえるでしょう。

法律的には育児休業中に退職を考えること自体は問題ありませんが、企業側と従業員との間で認識のすれ違いが生じると、円満な復職が難しくなりやすいのも事実です。特に初めて子育てをする従業員であれば、想像していた以上の育児負担に驚くこともあります。こうした環境には、職場復帰後のサポート体制や人間関係など、企業側が準備すべき多くの要素が潜んでいます。

育休後の退職は違法行為ではない

育児休業はあくまで出産や育児に専念できるよう設けられた制度であり、必ずしも復帰を強制するものではありません。本人が復職の意志を持たない場合、退職を選択しても法的な違法性は生じにくいと言えます。企業としては違法性の判断よりも、従業員が退職を考えざるを得ない背景や要因を理解し、対話を重ねることが重要となります。

育休後の退職を妨げると企業側が違法性を問われることも

もし企業が従業員の退職希望を強引に拒絶したり、復職を強要したりすると、育児休業を取得する従業員の権利を侵害する行為とみなされ、違法となる可能性があります。従業員との話し合いにおいては、経済的・時間的な事情に配慮しながら対応することが大切です。また、予期せぬトラブルの防止には、就業規則や企業の方針を徹底して周知しておく必要があります。

育児の現実は育休前には分からない

育休取得前には復職を望んでいたとしても、実際に出産を終えてみると、状況が想像していたものとは大きく異なるケースもあります。以下のような声が多く聞かれており、予測できなかったさまざまな状況下で退職を決めていることが分かるでしょう。

【育休後の退職を決めた理由】

  • 実際に育児をしてみて想像以上に大変であることが分かり、仕事との両立に自信がなくなった
  • 職場の理解がない、勤務先が遠いなど、復職に理想的な職場ではないように感じるようになった
  • 未熟児での出産や産後の体調不良など、不測の事態が起きた
  • 夫の協力が得られない、子どもが寂しがるなどの理由から、家にいて子育てを優先しようという気持ちが強くなまった

保育園問題は社会問題にも

働く親の数が増える一方で、保育園や託児所の枠が不足している地域は少なくありません。入園希望者が多い都市部では待機児童の増加が深刻化し、保育園に入れないことで仕事復帰を断念する人が後を絶ちません。こうした社会問題は企業だけでは解決が難しい部分もありますが、公的支援制度を従業員に周知するなど、情報提供のサポートを行うことで退職リスクを軽減できます。

育休について企業が知っておくべきポイント

「産休・育児休業申請書」のイメージ_書類に記載する様子

企業が正しい制度理解を持っていないと、従業員との間でトラブルが生じる原因となることがあります。まずは基本的なポイントをしっかり把握しましょう。

法的に定められている育児休業は、子どもが1歳に達するまで取得できる制度として認められており、その期間中には育児休業給付金などの公的支援を受けられます。ただし、企業独自の育児休暇制度を設けている場合もあり、内容や利用条件はそれぞれ異なります。企業側は従業員が混乱しないよう、これらの違いを明確に示すことが大切です。

また、育児休業や関連する法律の改正情報については、常に最新の情報を収集し、社内規程や就業規則に適切に反映する必要があります。事前に周知していないと、制度が変わったあとでトラブルが発生する原因になることもあるため、定期的な点検と周知資料のアップデートが欠かせません。

育児休業と育児休暇の違い

一般的に、法律で定められた無給の育児休業と、企業独自で有給化している育児休暇は区別が必要です。誤って両者を混同すると、従業員が期待する待遇と実際の制度内容にギャップを生みやすくなります。従業員には、申請手続きや給付金の有無など、具体的な制度内容を分かりやすく説明することが求められます。

「育児休業」とは、原則1歳未満のこどもを養育するための休業で、育児・介護休業法という法律に定められています。
「育児休暇」とは各企業が独自に認めた休みのことです。子育てと仕事の両立を支援するため、ユニークなアイデアや斬新な取り組みがなされることも少なくありません。

法律で定められた「育児休業」に企業の支援策である「育児休暇」をプラスすることで、復職しやすい環境を作るだけでなく、育児に対する企業の理解度を見せることもできるでしょう。

育児休業給付金とは

育児休業給付金とは、育児休業中に給与が一定以上支払われなくなった場合に、加入している雇用保険から給付金が支給される制度のことです。多くの場合、給付金の申請は企業を通して行われます。

子どもが1歳(特別な理由がある場合は1歳6ヶ月)になるまで受給可能です。育児休業の開始から6ヶ月までは休業開始前の賃金の67%、7ヶ月目から職場復帰までは賃金の50%となります。支給限度額は以下の通りです。

【支給限度額】
(給付率67%)支給上限額 315,369円 支給下限額 57,666円
(給付率50%)支給上限額 235,350円 支給下限額 43,035円

育児休業給付金の申請には、「育児休業給付金支給申請書」、「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」「育児休業給付受給資格確認票」に加え、賃金台帳または出勤簿、母子健康手帳など育児を行っている事実や書類の記載内容が確認できる書類の提出が必要です。

育児休業は本来、子どもが1歳になるまでを対象とした休業制度ですが、育児休業中の従業員に、「子どもが保育園に入れない」や「養育する予定だった配偶者の疾病や死亡、離婚」など特別な事情がある場合、育児休業給付金の支給期間は最大で子どもが2歳になるまで延長が可能です。

参照:厚生労働省 育児休業等給付の内容と支給申請手続

育児・介護休業法の改正

近年は育児・介護休業法の改正により、従業員がより柔軟に制度を利用できるよう配慮が進められています。例えば、男性の育児休業取得促進や、保護対象となる子どもの年齢範囲の変更などが挙げられます。企業はこうした改正を踏まえ、就業規則の見直しや管理職への研修などを行うことで、利用しやすい制度設計を整えることが大切です。

2025年4月1日施行の育児・介護休業法の改正では、子の看護休暇の見直しや所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大、育児のためのテレワーク導入の努力義務化などがあります。

参照:育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法の2024(令和6)年改正ポイント|育児休業制度特設サイト|厚生労働省

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育休後の退職を防ぐ6つの対策

「子育て」のイメージ_保育園で絵本を読んでもらっている子供

優秀な人材の離職を防ぐためには、実践的かつ柔軟なサポートが欠かせません。企業が主導してできる工夫をまとめます。

企業が育休取得者に対して行う支援は、多岐にわたる取り組みの総合力が大切です。法的整備や制度導入だけではなく、組織のトップや管理職、同僚が育児に理解を示しあう文化をつくることで、復職しやすい環境を整えられます。さらに、トラブル発生時には迅速に動けるよう、担当窓口の明確化や関係部署との連携体制も整える必要があります。

また、家庭の状況は人それぞれ異なり、子どもの年齢や健康状態、家庭内のサポート体制などによって必要な支援も変わってきます。企業側はこうした個々の事情を汲み取りながら、個別の相談に応じられる柔軟な姿勢を持つことが望ましいでしょう。結果として、人材の長期育成と、職場内のモチベーション向上にも寄与します。

育児に理解のある、働きやすい職場環境作り

子育て支援の制度を作るだけでなく、企業全体で育児に対する理解を深めていかなければ、子育てとの両立に不安を抱える女性にとっては「復職しにくい職場」と認識されてしまいます。

育休制度や育児に関する知識、育休後の復職が企業にどのようなメリットがあるのかを、教育・周知していくことが役立ちます。特に管理監督者の理解は不可欠です。

まずは企業文化として、子育て家庭への理解が根付くことが不可欠です。上司や同僚が育児中の従業員に対して積極的に声をかけたり、業務量の配慮を行ったりすることで、従業員は安心して働くことができます。その結果、離職率の低減や職場全体の生産性向上にも繋がるはずです。

緊急時にも休みやすい環境作り

子どもの急な発熱や体調不良はいつ起こるか分かりません。その際に柔軟に休みを取れる仕組みがあると、従業員の不安が大幅に減少します。代替要員の配置や業務マニュアルの整備などを進め、誰が抜けても業務が滞りにくい組織作りが重要となります。

育休中にも定期的にコンタクトを取る

育休中にはさまざまな不安や悩みに襲われるものです。育休中にも密に連絡を取っていれば、復職への不安を解消することもできるでしょう。育休中の社内の様子などを定期的に知らせることでチーム意識を維持できれば、復職への意欲も高まります。

復職に対する不安や要望などをヒアリングすることも大切です。活用できるサービスを説明することで安心できたり、企業の取り組みに反映させることでより良い職場作りに生かせたりと、復職につなげられます。必要であれば部署内で情報を共有し、復職に向けた体制作りや迎える従業員の心構えなどに生かすこともできるでしょう。

短時間勤務制度を活用する

子どもの保育園の送迎や家庭内でのケアなどでフルタイムが難しい従業員にとって、短時間勤務制度は強い味方となります。出勤・退勤の時間を柔軟に調整できることで、育児の負担を考慮しながら職場復帰しやすくなるでしょう。制度を導入する際は、周囲のメンバーへの影響も含めた業務配分の見直しが必要です。

フレックスタイム制の導入

フレックスタイム制とは、あらかじめ定められた総労働時間の範囲内で、日々の始業・終業時刻や働く時間を従業員自身が自由に決められる制度です。

フレックスタイム制により、育児と仕事の両立が簡単になるケースも多いです。通勤ラッシュを避けられるだけでなく、朝早く勤務を開始して早めに出勤するなど、多彩な働き方が可能となります。特に家庭の事情に合わせてスケジュールを組めるのは、従業員のストレス軽減に効果的です。

育児と仕事の両立を支援するサービスを導入

社内託児所の設置やベビーシッター補助制度といったサービスも、育児との両立を強力にサポートします。設備投資や運用コストは発生しますが、優秀な人材を確保・定着させるメリットは大きいでしょう。従業員が仕事に専念しやすい環境を整えることは、企業のブランドイメージ向上にも繋がります。

【企業が独自に実施する子育て支援例】

  • 時間差出勤制度を導入し、保育園への送り迎えや子どもの登下校時間に合わせた出勤を可能にする
  • 退勤の時間調整を可能にする
  • 企業内に託児所を設けたり、ベビーシッターの利用費を企業が負担したりといった福利厚生サービスを提供する
  • 健康相談やお惣菜の宅配、家事代行など、育児と仕事の両立をサポートする外部サービスを福利厚生の一環として利用する

スマホひとつで健康相談できる「HELPO」で働く女性を応援!

「HELPO」のイメージ_笑顔でスマホを見ている赤ちゃんと母親

子育てする従業員のサポートにおすすめなのが、ヘルスケアアプリの「HELPO(へルポ)」です。HELPOはスマホひとつで、24時間365日いつでもどこからでも、医療者にチャットで気軽に健康医療相談ができます。育児と仕事、そして家事に追われる忙しい方であっても、不調の小さなサインの段階で相談できるのがHELPOの魅力です。子どもを寝かしつけた深夜や通勤中など、隙間時間ですぐに相談できます。

対応するのは、医師や看護師、薬剤師などの医療の専門家なので安心です。家族の相談も可能なので、従業員本人だけでなく子どもの体調不良にも、症状が軽いうちに対処できます。

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まとめ

「男性育休」のイメージ_笑顔で料理をしている親子

育休は復職を前提として取得する制度です。しかし、さまざまな理由から育休後に退職するケースがあり、無理に引き止めることはできません。育休後の退職を減らすためには、復職しやすい職場環境を作り、子育てを支援する制度やサービスを導入することが必要です。

スマホひとつで健康医療相談ができるヘルスケアアプリ「HELPO 」は、子育て支援サービスとしても活用できます。従業員だけでなく子どもの相談にも利用できるため、安心して復職するための魅力的な子育て支援対策になるでしょう。是非検討いてみては如何でしょうか。


この記事の監修者:健康経営エキスパートアドバイザー 中島 利保

略歴:看護師および上級心理カウンセラーの資格を持ち、企業での健康管理とメンタルヘルス支援に従事。現在、HELPOの健康相談も担当し、働く人の心身の健康づくりに取り組んでいる。


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