法人向け
申請を意識したデータ整理~利益流出を止めるための経営整備~
なぜ「申請データの整理」が必要なのか

健康経営優良法人の認定には、「申請」が必要です。
この申請では、自社の取り組み状況だけでなく、さまざまなデータの提出が求められます。
しかし実際には、
「どのようなデータが必要なのか」
「そのデータが何を意味するのか」
まで理解されているケースは多くありません。
その結果、いざ申請準備を始めると、次のような課題に直面します。
「必要な数字がすぐ出ない」
「担当者しか分からない」
「何を集計すべきか曖昧」
これは単なる準備不足ではなく、
自社の状態を数値で把握できていない状態を意味します。
人材不足、採用難、離職、メンタル不調など、数字が整理されていないこと自体が経営リスクです。リスクを把握するためにも、どのようなデータ整理が必要かみていきましょう。
申請で求められるデータとは何か

中小規模法人部門で実際に求められるのは、主に次の領域です。
- 従業員数・雇用区分
- 離職率
- 月平均残業時間
- 有給取得率
- 健診受診率・再検査受診状況
- ストレスチェック実施状況
- 面談や相談体制の有無
- 改善施策の実施と振り返り
一見すると単なるチェック項目に見えますが、これらはすべて企業の状態を把握するための大切な指標です。
離職率|人材の定着状況
離職率が高い状態が続くと、採用・教育コストが増えるだけでなく、現場の生産性低下にもつながります。
残業時間|業務負荷・人員配置
残業時間の増加は、業務量や人員配置に課題があるサインかもしれません。長時間労働は、パフォーマンス低下や離職などのリスクにもつながります。
有給取得率|休みやすい職場環境
取得率が低い場合、十分な休息が取れていない可能性があり、疲労の蓄積やエンゲージメント低下につながります。
健診受診率|従業員の健康管理状況
未受診者が多いと、疾病の早期発見が遅れ、長期離脱などのリスクが高まります。
ストレスチェック|メンタルヘルスの状況
従業員のストレス状態を把握し、早めの対策につなげるための指標です。高ストレス状態を放置すると、休職や離職につながる可能性があります。
このように、申請で扱うデータは単なる提出用の数字ではありません。
「人材」「健康」「生産性」のどこに課題があるのかを可視化し、会社の損失リスクに気づくための経営指標としても活用できます。
申請をきっかけに整備すべきデータ
実は、必要なデータの多くはすでに社内にあります。
特に整理しておきたいのは、次の2点です。
①実施率・フォローの記録
- 定期健康診断やストレスチェックの受診率や実施率
- 有所見者の再検査や保健指導の実施率、高負荷者への対応履歴 など
②改善施策の履歴
- 何を実施したか
- 誰が対象か
- どう改善したか
こうした記録が不足していると、取り組みを実施していても、PDCAが適切に回っていることを示しにくくなります。
とはいえ、データ整理は決して難しいものではありません。
まずは、次の4つのステップで進めてみましょう。
STEP 1|既存データを棚卸しする
まずは、人事・労務などで管理しているデータを洗い出し、「何があるのか」を一覧にします。
STEP 2|データの基準をそろえる
離職率や残業時間など、集計するデータの算出方法や対象期間を統一します。
STEP 3|足りない記録を補う
面談記録のフォーマットや施策履歴の管理表など、不足しているものを整備します。
STEP 4|定期的に振り返る
前月や前年と比較し、数字に変化があれば「なぜ変化したのか」まで確認・記録します。
ポイントは、新しい業務を増やすことではなく、すでにあるデータを「整理・統一・継続」すること。
まずは社内にどのようなデータがあるのか、棚卸しするところから始めてみましょう。
申請対応にとどまらない「データ整理の本当の価値」

これらを整理することで、例えば次のようなことが見えてきます。
- 離職率は高いが、特定の部署に偏っている
- 残業時間が増えているが、原因は一部業務に集中している
- 健診受診率は高いが、再検査のフォローができていない
このように、どこに優先的に手を打つべきかが明確になります。
また逆に、
- 有給取得率が高い
- 面談やフォロー体制が機能している
といった自社の強みが見えることもあります。
これは単なる申請対応ではなく、経営判断の材料を整える作業です。
データを意識して整理することで、
- 感覚ではなく根拠で判断できる
- 問題の優先順位がつけられる
- 改善の効果を検証できる
状態になります。 つまり、申請はきっかけに過ぎず、本質は「会社の状態を正しく把握し、打ち手を明確にすること」にあります。
申請はゴールではなく、経営判断の入口
健康経営優良法人の申請で求められるデータは、企業の状態を一定の基準で可視化するためのものです。
これらを単なる提出資料として扱うのか、経営指標として活用するのかで、得られる価値は大きく変わります。
見えないまま進んでいた離職や生産性低下は、気づかないうちに利益を削り続けます。
重要なのは、状態を正しく把握することです。
申請をきっかけに整えたデータは、そのまま経営判断の材料となり、会社を守る基盤になります。
データを「整理する」だけでなく、健康経営の取り組みにつなげる
健康経営優良法人の申請に向けてデータを整理すると、従業員の健康状態や自社が抱える課題が見えやすくなります。
大切なのは、データを集めて終わりにせず、把握した課題を具体的な取り組みにつなげることです。
CareConは、従業員の健康管理をサポートする法人向けサービスです。
チャット形式で医療従事者に気軽に相談できる環境を整えられるほか、ストレスチェックにも対応。身体と心の両面から従業員の健康を支える体制づくりに活用できます。
健康経営優良法人の申請をきっかけに、「データを整理する」「課題を把握する」「改善につなげる」という健康経営のサイクルをつくることが重要です。
申請のためだけではなく、従業員が安心して働き続けられる環境づくりに向けて、健康管理の体制そのものを見直してみてはいかがでしょうか。
この記事の執筆者:健康経営エキスパートアドバイザー 栗原 知里




