安心して育児に臨めるように新生児の特徴を知っておこう

生後28日未満の赤ちゃんのことを、新生児といいます。この時期は日数の経過に伴った身体の変化がみられやすくなっています。しかし、赤ちゃんとの生活が始まったばかりで、「体重は順調に増えているのか?」「なかなか首がすわらないな」など色々と不安になってしまうこともあるでしょう。

そこで今回は少しでも安心して育児に臨めるよう、新生児の特徴についてお伝えいたします。

身体の特徴

身長と体重

一般的に出生時の身長は約49cm、体重は約3,000gです。出生後2~3日は母乳やミルクの飲む量と比べて体から出る水分量が多いため、一時的に体重が減りますが、10日程で元の体重まで戻ります。また、授乳回数は、赤ちゃんが泣いて欲しがるタイミングで与えることが基本ですが、おおよそ数分~5時間おきに一回、1日合計8~12回程度が標準で、量は1回20g~150gくらいが目安です。母乳だと与えた量が分からず、不安になることもありますが、おしっこがきちんと出ていて、体重の増加が順調であれば問題はありませんので、健診時に確認するようにしましょう。

まだ筋肉が十分に発達していないため、重い頭を自分の首を支えることができない不安定な状態です。そのため、首がすわるようになる3〜4ヶ月までは、首に負担のかかる長時間の縦抱きや、脳が揺れてダメージを受けるおそれのある「たかいたかい」は避けましょう。また、うつ伏せで寝かせてしまうと首を自力であげることができずに窒息のおそれがあるため、絶対に避けてください。

皮膚

生後すぐの赤ちゃんの肌には、白い脂肪がついています。赤ちゃんの肌を保湿してくれているものですので、心配はいりません。肌の感覚はしっかりとあるため、寒さ、暑さ、冷たさ、痛みやかゆみも感じています。生後3〜7日頃は皮膚が黄色く染まる「生理的黄疸(おうだん)」が出るのが特徴です。これは病気ではありませんが、2週間以上続くようであれば、一度病院へ相談しましょう。

原始反射

原始反射とは、赤ちゃんが何らかの刺激に対して無意識に反応する動作のことをいいます。一部具体例を表に示します。

表1

五感について

新生児は生まれてからすぐ光や人の顔などをじっと見つめたり、動いているものを目で追ったりするようになります。

視力は成人と比較すると1/8以下ですが、生後6ヶ月頃になると成人とほぼ同じようにはっきりとものが認識できるようになります。

目が見えない分、聴覚はよく発達していて、お母さんのおなかの中にいる時から聞く能力があり、胎内で聞いた声や音を記憶しているといわれています。

音に反応しているかを確認するために、多くの場合、新生児聴覚検査を行います。

匂いに敏感で、お母さんの匂いを嗅ぎ分けられます。

新生児のライフサイクル

【新生児】のイメージ_タオルに包まれている赤ちゃん

新生児には昼夜の感覚はありません。授乳やおむつ替えの時以外はほとんど寝ていますが、眠りは浅いので些細な刺激で起きてしまいます。はっきりとした授乳や睡眠のリズムはなく、赤ちゃんによっても、また日によっても違います。この不規則なリズムに合わせないといけないため、お母さん、お父さんは大変です。家事は家族で協力し、赤ちゃんが寝ている時に合わせて短い時間でも身体を休めるようにしましょう。

1ヶ月健診で健康状態を診てもらいましょう

1ヶ月健診では、まず身長や体重などが順調に成長しているかを確認します。特に体重の増加は、母乳やミルクがしっかりと飲めているかの指標になります。加えて、手足の動き、姿勢、音や光に反応があるかを観察しながら原始反射の様子を確認します。また、1ヶ月健診は赤ちゃんだけでなく、産後のお母さんの健康をサポートする場にもなっているので、ご自身の体や育児について、気になることや不安なことがあれば些細なことでも相談するようにしましょう。

参考文献
・Usha Goswami 著, 岩男卓実, 上淵寿, 古池若葉, 富山尚子, 中島伸子 訳「子供の認知発達」.新曜社(2003)
・内山聖「標準小児科学 第8版」,p22,医学書院,2018 ・厚生労働省「授乳スタートガイド」(閲覧日:2022.7.14) ・e-Stat「人口動態調査 / 人口動態統計 確定数 出生」(閲覧日:2022.7.14)

クレジット
著作/ヘルスケアテクノロジーズ株式会社
文/医師 石山敏也(ヘルスケアテクノロジーズ株式会社所属)