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働き方改革を推進するための生産性向上のポイントと事例3選
働き方改革に向き合う上で「働き方改革を実現するためのポイントはなにか?」「どうしたら生産性が上げられるか?」といったお悩みをお持ちではないでしょうか?
働き方改革の実現に向けて取り組むことは、従業員のモチベーションアップや生産性の向上につながります。従業員のモチベーションが上がり仕事に反映されれば生産性も大きく向上していくでしょう。
この記事では、働き方改革を推進するために必要なポイントに加えて、生産性を高める施策や成功事例なども解説します。そして労働環境改善や業務効率アップのヒントが見えてくるでしょう。
目次
働き方改革とは
働き方改革とは、「一億総活躍社会」の実現に向けて政府主導で取り組まれているものです。2018年7月に働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(以下、働き方改革関連法)が成立し、2019年4月から段階的に働き方改革実現に向けて取り組まれています。
働き方改革関連法では、以下の3つの課題解決が重要視されています。
- 長時間労働の是正
- 多様で柔軟な働き方の実現
- 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保
これらの日本社会の労働環境課題に対して、企業ごとにさまざまな取り組みが行われてきました。
日本はまだ、多様化するライフスタイルに応じた柔軟な労働環境を整備している段階ですすが、課題解決が進めば、条件が合わずに仕事をあきらめていた人でも働くことができるようになります。
つまり働き方改革を実現することは、潜在的な労働力を顕在化するためにも重要な施策と言えます。
(参考:厚生労働省|働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)の概要)
働き方改革が推進される理由
働き方改革が推進される理由には、少子高齢化による労働力減少の課題があるからです。厚生労働省によれば、2040年には就業者数が約6,000万人を下回ると予測されています(2019年の就業者数は6,724万人)。
労働力の減少によって「働き手不足」「経済の停滞」が大きな問題になると危惧されています。働き手が不足すると生産性が下がり、GDP(国内総生産)も比例して減少していくでしょう。
GDPを上げるためには、労働力の増加と労働生産性を上げていくことが重要です。しかし、少子高齢化によって人口は減少しつづけていく問題があります。労働力を維持・向上させ、労働生産性を高めていくために、働き方改革が推進されているのです。
(参考:令和2年版厚生労働白書)
労働力不足への解決策
労働力不足に対して、企業には労働環境の改善による働きやすい職場づくり、生産性の向上が求められています。しかし、具体的にどのような対策をしたらよいのか分からなかったり、改善にあてられる時間や人員がなかったりという企業もあるでしょう。
ここからは、労働力不足の解決策について紹介していきます。
多様な働き手が活躍しやすい環境をつくる
男女の性別を問わず、高齢者・外国人・障碍者の方など多様な人財が活躍できる社会を目指す施策に、ダイバーシティ経営という手法があります。ダイバーシティ経営とは「多様な人財を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで価値を生み出す経営」です。
あらゆる人が活躍できる労働環境を構築することで、以下のメリットが生まれます。
- 優秀な人材が集まりやすくなる
- 新しいアイデアが生まれやすくなる
- 企業価値が向上する
個人の感性など多様性を認めることができる会社は魅力的です。さまざまな人にとって働きやすい環境が構築できれば、優秀な人財を採用しやすくなるとともに、既存従業員の離職率も下げられます。また、潜在的労働力を顕在化させるきっかけにもなるでしょう。
例えば、優秀な人でも労働条件が合わず、子育てと両立できない理由で退職せざるを得なかった人は潜在的労働力といえます。働き方改革によって子育てと両立できる労働環境を整えられたら、仕事に復帰できる可能性が高くなるのです。
多様性を認めることによって人財が増えていけば、枠にとらわれない豊かな発想が生まれることもあるでしょう。自由で新しい発想によって、企業の未来が開かれていく可能性も大いに期待できます。
労働者にとってよい職場環境ができると、外部にアピールできます。その実績が認められたら企業価値は向上していくでしょう。経済産業省には、ダイバーシティ経営を推進する企業として認定する「新・ダイバーシティ経営企業100選」や育児との両立のしくみなど女性活躍推進企業として認める「なでしこ銘柄」といった制度もあります。
(参考:経済産業省|ダイバーシティ経営の推進)
労働生産性の向上
労働力が減少していくなかで、労働生産性を高めていくことは企業にとって必須課題です。労働生産性を向上させていかなければ、個人の業務負担は大きくなるばかりとなってしまい、働き方改革の実現には程遠くなってしまうでしょう。
労働生産性を高めていく努力をすることで、限られた人員・時間のなかでも成果が生まれやすくなります。その成果によって、企業の利益が継続的に生み出されていくのです。
労働生産性の向上は残業抑制にもつながる
労働生産性が向上するということは、無駄な作業を減らすことともいえます。自動化できる業務を自動化したり、業務を棚卸しして不要な業務を整理したりすると、必然的に無駄な作業が減って生産性が向上していくでしょう。その結果、残業しなくてもよくなるのです。
生産性の向上の具体的なポイント
ここからは、生産性を向上させる具体的なポイントについて詳しくみていきましょう。
コア業務の見極めと環境づくり
コア業務(直接利益につながる業務)を見極めて、コア業務にあてられる時間と環境をつくることで生産性向上につながります。
従業員がコア業務に専念できる環境ができたら、利益をさらに上げられる組織がつくれるでしょう。従業員をコア業務に集中させるには、ノンコア業務(事務作業など直接利益につながらない業務)の一部を外部委託するのが効果的です。
事務作業を代行してくれるサービスやフリーランスも増えています。委託できる業務を外部に委託することで、従業員がコア業務にあたる時間が増え、生産性や利益も向上していくでしょう。
業務の効率化
業務の効率化を図るには、自動化できる業務があるかどうかを見極めていくことが重要です。WebやICT(情報通信技術)ツールの発達によって、あらゆる業務が自動化できる時代になっています。
データ処理などが自動化できれば時間短縮のみでなく、人為的ミスも削減できるでしょう。そのため、確認にかけていた時間も削減できる可能性も高くなります。
自動化による業務効率向上の例として、レッスンスクールやサロンなどで活用されているWeb予約システムが挙げられます。電話やメールで予約を受け付け、予約状況をノートやファイル入力するといった業務を完全に自動化することで、予約関連の業務負担を大幅に削減しています。
このように、WebやICTツールで自動化できる業務を見つけていくことで、業務効率を向上させていけるでしょう。
労働環境の改善
生産性を高めるための労働環境の改善には、業務に集中できる労働環境をつくっていくことが重要です。無意味な長時間労働は従業員のパフォーマンスを低下させ、その結果生産性も落ちてしまいます。
業務改善を行いながらも、有給を取得しやすい環境づくり、フレックスタイムやテレワークの導入によっても生産性向上が見込めます。有給が取得しやすくなれば、ワークライフバランスが実現しやすくなるでしょう。リフレッシュにもつながるため、仕事のパフォーマンス向上が見込めます。
フレックスタイムやテレワークを活用すると、子育てをしている方でも仕事に集中しやすい環境が構築可能です。また、時間管理を自主的に行うようになるため、タイムマネジメント力が身につき、生産性が上がりやすくなります。
多様なライフスタイルに応える労働環境をつくる上でも、フレックスタイムやテレワークは効果的です。
働き方改革による生産性向上の事例3選
働き方改革を実現している企業の事例を知ることで、自社に取り入れられることが見つかる場合も数多くあります。ここからは、働き方改革によって生産性向上を実現した3社の取り組み例をみていきましょう。
建設会社の事例
ある建設会社で行われた注目したい働き方改革には、技術革新と意識改革があります。
技術革新では、生産性を高める取り組みとして、ICTの活用とロボット化を進めました。ICTを活用することで建設情報の共有化がスムーズになったり、クラウドを活用した図面や写真などの施工管理ツールを導入したりと、技術革新を行って業務効率を高めてきたのです。その他、不要な業務の統合・廃止に加えて、工事管理ソフトの機能改善なども行っています。
また、従業員の意識改革にも注目です。大成建設株式会社では従業員に対して「目標は数値で、施策は具体的に示す」ことを行ってきました。
目標のひとつに「トリプル100」があります。内容は、全員が年間100日以上の休日取得、月100時間を超える残業の従業員数0、外勤従業員の100%が工事節目休暇を取得するといったものです。繰り返し伝達を図って取り組んだ結果、2年間で年間に取得した休日は7日間増え、月100時間以上残業した従業員は半減しています。
IT企業の事例
あるIT企業で行われた注目すべき働き方改革は、テレワーク環境改善による場所や時間にとらわれない働き方の実現です。
この企業ではICTサービスを提供している強みを活かして、テレワークとICTの融合が進められています。テレワークでも業務時間の把握が可能なツールを活用し「生産性=労働時間×労働の質」を体現すべく、さまざまな取り組みが進行中です。そのなかで実施されている2つのポイントに注目してみていきましょう。
1つめは働き方の見える化による分析です。働き方が見える化されることで、業務プロセスの課題が見えてきます。課題を分析することで、長時間労働の是正や生産性向上を図っているのです。
2つめは業務プロセス改革です。AIを活用して問い合わせ対応の自動化をしたことで、定型業務を省き、人員と時間の有効活用を実現しました。
このような改善によって業務効率を高め、ワークライフバランスの取れたテレワーク環境の実現ができています。
自動車メーカーの事例
自動車メーカーで行われた注目すべき取り組みは、メンタルヘルスケアです。
安全と健康はブランドそのものであるという考えのもとで2つの取り組みを実施しています。注目したい取り組み内容は「げんき診断」と「職場ドック」です。
げんき診断は、従業員のストレス診断ともいえるもので、ストレスに関する質問票に記載された内容を分析し、職場環境の改善に役立てられています。診断結果をふまえて業務改善に取り組み、次年度のげんき診断の結果向上につなげています。
職場ドックは、全員参加型の職場環境改善とコミュニケーション活動の総称です。活動内容は、幅広い視点で職場環境を確認し、できるところから改善して好事例を共有するという内容です。また、優秀な好事例は表彰されるため、職場環境改善に自主的に取り組めるきっかけにもなっています。
働き方改革推進のポイント
働き方改革は、さまざまな視点で職場環境や業務を捉えていく必要があるため、なにをポイントに進めていけばよいか迷いやすいともいえます。ここからは、働き方改革を推進していくにあたって意識する3つのポイントをみていきましょう。
コンセプトを決める
働き方改革を迷わず推進するためには「企業をどのように成長させていきたいのか」「どういった目的で働き方改革を進めるのか」といったコンセプトを決めることが重要です。働き方改革の主軸を定めることによって、取り組み内容がぶれなくなります。
目的の共有化
働き方改革を進める上で、従業員が意欲的に協力してもらえるかは重要です。そのために欠かせないのが「目的の共有化」となっていきます。
会社がどういった目的で働き方改革を行うか、働き方改革によって会社・従業員にどのような未来をもたらすのかを共有しましょう。働き方改革の目的と、どのような未来がもたらされるかを理解できれば、従業員の取り組みに対する意欲も変化します。
従業員のモチベーションを優先する
働き方改革を進めるために従業員のモチベーションは重要です。その理由は従業員のモチベーションが会社にもたらすメリットにあるといえます。そのメリットとは、従業員のモチベーションが高い職場は「帰属意識が高い」「主体性がある従業員に恵まれている」ことです。
働き方改革の施策を実施する上で、従業員の協力は欠かせません。従業員のモチベーションが高まる制度の導入など、働き方改革に積極的に参加したくなるようなアプローチをしてみましょう。
従業員の健康意識を改革~「HELPO」を生産性向上に活用
長時間労働は従業員の健康状態を著しく悪化させ、生産性の低下も招いてしまいます。すでに長時間労働で自身の体調が悪化している従業員もいるかもしれません。しかし、忙しさのあまり、病院に行く時間が取れずにいる従業員もいるのではないでしょうか。
そんな悩みには、24時間相談できるオンライン診療サービスをはじめ、薬の通販にも対応する健康医療相談アプリ「HELPO」がおすすめです。従業員の健康を守り、仕事のパフォーマンスやモチベーションアップのために検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
ここまで、働き方改革によって生産性を高めるために必要なことを解説してきました。働き方改革で生産性を向上させるためには以下のポイントが重要であるといえます。
- 働き方改革の目的と未来の共有
- 労働環境の改善
- 業務の効率化・自動化
- 従業員のモチベーション管理
目的の定まった働き方改革を推進することで、会社・従業員双方にとってメリットが生まれます。そして、働き方改革を推進するためには従業員の協力が必要不可欠です。従業員がモチベーション高く働ける環境をつくるには、従業員の健康が重要といえるでしょう。
従業員の労働環境と健康状態をよくしていくためにHELPOは有効なツールとなります。HELPOの導入もぜひ検討してみてはいかがでしょうか。