会社における健康診断の実施義務と健康管理システムの活用法

会社が従業員に健康診断を実施することは法律で義務付けられており、従業員の健康管理や安全確保に欠かせない取り組みです。

本記事では、健康診断を実施する理由や種類、費用負担、実施後の流れなど、企業が知っておくべきポイントと、健康診断業務の効率化に役立つ健康管理システムの活用について見ていきます。

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本記事は健康経営エキスパートアドバイザーの中島利保さんによる監修を受けています。

健康診断が会社の義務となる理由

健康診断が会社の義務となる理由を説明する医師のイメージ

事業者は労働安全衛生法などの法令により、従業員に健康診断を受けさせる義務を負っています。

会社が健康診断を実施しない場合、法的な罰則を受ける可能性があるだけでなく、従業員の健康リスクに対して責任を追及されるリスクも高まります。特に従業員が一人だけの小規模事業所であっても、企業としては同様の義務が課せられています。これを怠ると労働安全衛生法の趣旨に反し、事業者と従業員の双方に大きな不利益が生じる可能性があります。

出典:厚生労働省資料より

従業員の健康と安全を守るための必要性

健康診断を定期的に実施することで、生活習慣病や職場でのストレス要因からくる疾患を早い段階で発見できる可能性が高まります。特に業務的な負荷が大きい職場では、従業員の健康を定期的にチェックし、適切なフォローアップを行うことが重要です。こうした取り組みは職場全体の生産性を維持し、離職を防ぐ上でも大きなメリットにつながります。

労働安全衛生法など法令で定められた根拠

健康診断の実施義務は労働安全衛生法に明確に規定されており、従業員が健康診断を受診できる環境を企業が整えることが求められています。これには実際の受診手配だけでなく、受診を拒否する従業員を説得するための説明や社内周知の取り組みなども含まれます。こうした法律の背景には、企業の義務遂行だけでなく、従業員が安心して働ける職場づくりを促進する狙いがあります。

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会社が実施すべき健康診断の種類

「健康診断」のイメージ_問診票と聴診器

従業員の業務内容やリスクに応じて、実施すべき健康診断の種類が異なります。

健康診断には一般健康診断と特殊健康診断の大きく二つがあります。一般健康診断では、雇入時と定期的に行う健診が法律で定められ、主に血圧測定や血液検査、視力や聴力測定など、基本的な項目が必須です。一方、有害物質を扱う場合などは特殊健康診断が必要となり、さらに詳細な検査項目が追加されます。

また、法定外で実施される人間ドックなども従業員の健康管理には有効です。これは企業の自主的な判断となるため、福利厚生の一環として導入されることがあります。より高度な検査により疾患を早期に発見することで、医療費の抑制や従業員の長期的な健康維持につながります。

一般健康診断(定期健康診断・雇い入れ時健康診断)

一般健康診断は、雇入時健康診断と年1回以上実施する定期健康診断が主な柱となります。雇い入れ時健康診断では、新入社員の健康状態を事前に把握し、配置や業務内容を適切に決定する材料とします。定期健康診断は、働き続ける中で変化する健康課題を早期にキャッチし、必要な対応を取ることが目的です。

特殊健康診断(有害業務従事者向け)

有害物質を取り扱う現場や作業環境で働く従業員は、一般健康診断に加えて特殊健康診断を受ける義務があります。具体的には、鉛や有機溶剤などを扱う場合が該当し、該当業務に応じた追加検査項目を実施する必要があります。これにより、健康障害のリスクを抑え、重大な職業病を防ぐ効果が期待できます。

出典:厚生労働省資料より

その他の法定外健診(人間ドックなど)の扱い

人間ドックなど法定外の健診は義務ではありませんが、より詳しい検査を受けることができるため、企業が自主的に導入するケースも増えています。人間ドックなどを制度として取り入れることで、従業員の疾病リスクを早めに発見し、長期的な健康をサポートする対策を講じやすくなります。企業のイメージアップや従業員の満足度向上にもつながるため、福利厚生の充実として注目されています。

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非正規雇用や役員は対象?健康診断の適用範囲

疑問を表現するイメージ

正社員以外でも一定の条件を満たす場合や、役員の業務実態によっては健康診断の対象となります。

法律上、労働者としての実態が認められる人は全て健康診断を受ける義務があります。そのため、週の労働時間や日数が定める基準を超えるパート・アルバイト、さらには労働者としての業務に従事している役員も適用対象となる可能性があります。実態に合った判断を行わないと、結果的に企業側が法令違反を問われるリスクを負うことになります。

パート・アルバイトへの義務

パートやアルバイトの場合、週の所定労働時間や労働日数が正社員の4分の3以上に達するかなどの条件を満たせば、健康診断の受診義務の対象となります。
短時間労働だからといって健康リスクが低いわけではなく、職場環境や業務内容次第では正社員と同様に定期検査が重要です。安全配慮義務を果たすためにも、非正規雇用者であっても健康チェックは必須といえます。

出典: 厚生労働省資料より

役員は受診対象になるのか

一般的に役員は労働者ではありませんが、実質的に労働に従事していると判断される場合には、健康診断の受診が必要となるケースがあります。例えば、経営と現場業務を兼務し、実労働を行う社長や役員は実態に即して適宜検査を受けることが推奨されます。こうした配慮を怠ると、企業のコンプライアンス意識が問われることになりかねません。

健康診断の費用負担と福利厚生費の扱い

【POINT】のイメージ_スーツの男性が人差し指を立てている様子

健康診断の費用は原則として企業が負担し、福利厚生費として会計処理することが一般的です。

企業が健康診断費用を負担する理由は、従業員の健康を守ることが企業の社会的責務だからです。医療費の削減や離職防止といった長期的なメリットがあるため、実質的には企業にとっても効果的な投資といえます。これが企業負担の原則となる背景には、労災リスクの低減や従業員満足度の向上も含まれています。

基本検査・追加検査の費用区分

法定項目に含まれる検査費用は企業が負担し、従業員の自己負担は基本的に発生しません。一方、オプションとして追加する検査や、人間ドックのような法定外健診を希望する従業員に対しては、個人負担とする企業もあります。こうした区分を明確にしておくことで、後々のトラブルを防ぎやすくなります。

会社負担が原則となる理由

健康診断の費用を会社が負担するのは、労働安全衛生法や社会通念上の安全配慮義務からも当然とされているためです。企業としては従業員の働き方を把握し、職場環境を改善する必要がありますが、健康診断はその取り組みの大きな柱となります。従業員に経済的負担を強いないことで、健康診断の受診率を高め、結果として企業全体のコンディションを向上させる効果が期待できます。

健康診断を拒否された場合のリスクと対応策

従業員が健康診断を拒否する場合、企業としては法的リスクや職場環境維持の観点から適切な対応が必要です。

実際に健康診断を拒否する従業員は稀ですが、プライバシーや検査への抵抗感など様々な理由が考えられます。企業は法的に従業員を罰することも可能ですが、まずは状況を十分にヒアリングし、健康診断の必要性を丁寧に説明する姿勢が大切です。長期的には、社内ルールや就業規則で健康診断の意義を明文化し、従業員が理解しやすい体制づくりを図ることが望ましいでしょう。

拒否する原因を把握した上で改善策を講じる

従業員が拒否する理由としては、検査の結果が知られることへの不安や、検査そのものへの抵抗感が多く挙げられます。企業側はプライバシー保護の仕組みや検査の手順を分かりやすく周知し、懸念を払拭する取り組みを行うことが重要です。さらにそのような状況を踏まえ、希望者に対しては検査環境の配慮や産業医との相談を促すなどの柔軟な対応も有効です。

法的対応とデメリットを理解して従業員に周知する

企業として健康診断を受診するよう指示しているにもかかわらず、従業員が正当な理由なく拒否し続ける場合には、就業規則の範囲で懲戒処分を検討することも可能です。ただし、懲戒を行うだけでは従業員との信頼関係を損なう可能性があるため、まずは必要性や法的リスクをしっかりと説明し、本人の理解を得るプロセスが不可欠になります。

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健康診断実施後の流れと社内体制づくり

健康診断後の流れを説明するイメージ

健康診断を実施した後に、結果の保管や必要なフォローアップを行う体制を整えることが重要です。受けて終わりではなく、結果を活かして従業員の健康管理を継続的に行うことが求められます。特に異常値が見られた従業員には再検査や産業医との面談を促し、必要に応じた職場環境の改善や配置転換などを検討することも有効です。社内での情報共有やプライバシーへの配慮を徹底しながら、効率的な管理体制を整備することが、企業の責任を果たすために不可欠となります。

結果の保存義務と労働基準監督署への報告

企業は健康診断の結果を5年間保管する義務がありますが、これによって従業員の健康状態の推移を把握しやすくなります。また、一定規模以上の事業所では、定められた様式で労働基準監督署に定期健康診断結果報告書として報告する必要がある場合があります。定期健康診断結果報告書は、労働安全衛生法第66条および労働安全衛生規則第52条の4に基づき、労働者の健康状況の把握・管理を目的として提出が義務付けられています。

また、令和7年(2025年)1月1日からは、この定期健康診断結果報告書の電子申請が義務化されたため、企業側も対応が求められています。

再検査や産業医面談の必要性

健康診断の結果が要観察や要再検査と判定された従業員は、早期に詳細な検査や産業医との面談を実施することが望まれます。労働時間や業務内容を調整しながら健康管理を行うことで、従業員の治療の遅れを防ぎ、症状の悪化を未然に防ぐことができます。これにより企業は、職場の安全と生産性の維持という双方のメリットを得られます。

健康診断の結果は、システム導入や外注による業務軽減

すべての従業員の健康診断の結果を一元的に管理するには、専用のシステムの導入や診断業務を外部の専門機関に委託する方法があります。これにより、企業の人事担当者の負担を軽減し、専門家によるフォローアップが可能となります。データのデジタル化を進めることで、分析や個別フォローがしやすくなり、より精度の高い健康管理を実現することができます。

健康管理システム「Well-Gate」で従業員の健康サポート

健康診断の実施義務を守ることは、単なる法律遵守だけでなく、従業員との信頼関係を築くうえでも大変重要です。さらに、健康診断結果の活用とフォローアップを適切に行うことで、生産性の向上や離職防止など多くのメリットを得ることができるでしょう。

一方、健康診断に関連する業務は膨大であり、業務効率化には健康管理システムの導入がおすすめです。健康管理システムは、従業員の健康管理を通じて、企業全体の生産性と従業員の健康増進に貢献します。

自社で健康管理システムの導入を進めていきたいとお考えの方には、「Well-Gate(ウェルゲート)」がおすすめです。「Well-Gate」は定期健康診断結果やストレスチェック、勤怠情報など従業員のあらゆる健康データを一元管理することが可能です。これにより企業の人事労務担当者の業務効率化を図りながら休職リスクのある従業員を可視化し、早期に適切なフォローアップにつなげることができます。ぜひこの機会に、導入を検討してみてください。

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まとめ

健康診断を適切に実施し、従業員の健康と安全に配慮した職場環境を整えることは、企業の社会的責任を果たすうえで欠かせません。業務効率化が期待できる健康管理システムを上手に活用しながら、大切な従業員の健康を守りましょう。

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この記事の監修者:健康経営エキスパートアドバイザー 中島 利保

略歴:看護師および上級心理カウンセラーの資格を持ち、企業での健康管理とメンタルヘルス支援に従事。現在、HELPOの健康相談も担当し、働く人の心身の健康づくりに取り組んでいる。


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