ストレスチェックは50人未満の事業場でも義務化?最新動向と対策

近年、職場のメンタルヘルス対策の重要性が高まる中、労働安全衛生法に基づきストレスチェックが義務化されています。これまでは50人以上の事業場が義務化の対象でしたが、改正労働安全衛生法は2025年5月に公布され、これまで努力義務にとどまっていた50人未満の事業場についても、ストレスチェックの実施が義務となることが明文化されました。公布後3年以内に政令で定める日から施行される予定です。

本記事では、ストレスチェック制度の基礎知識から小規模事業場への義務化拡大、実施手順や違反時の罰則など、最新動向を含めてわかりやすく解説します。法改正の背景や、企業が押さえておくべきメリットと課題についても詳しく解説し、実務におけるポイントを整理していきます。

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本記事は健康経営エキスパートアドバイザーの中島利保さんによる監修を受けています。

ストレスチェック制度とは?背景と目的

まずはストレスチェック制度の背景や目的を整理し、導入のメリットを確認しておきましょう。

ストレスチェック制度は、労働安全衛生法の改正により2015年から本格的に導入されました。従業員が抱える心理的な負担を見える化し、早期介入や職場環境の改善を図ることを目的としています。厚生労働省が提供する標準的な質問票を活用するなど、現場での運用を支援する仕組みも整備されており、多くの企業でメンタルヘルス対策の中核として実践されています。

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ストレスチェックが法令で定められた背景

労働安全衛生法が改正された背景には、長時間労働の増加や職場における心理的負荷が問題視されたことが挙げられます。特に総合的なメンタルヘルス対策を行う企業が少なく、ストレスによる休職や退職が社会問題化していました。こうした状況を改善するため、国は企業に対してストレスチェック制度の導入を義務づけ、定期的なチェックと早期の対応を促進する方針を打ち出したのです。

ストレスチェックの目的と得られるメリット

ストレスチェックの主な目的は、従業員一人ひとりの心理的負担を把握し、職場環境を改善することにあります。早期発見ができれば、メンタルヘルス不調のリスクを低減し、従業員が働きやすい環境を整備するきっかけとなります。また、企業としても休職や離職といったリスクを減らし、人材定着率や生産性の向上につなげる効果が期待できるでしょう。

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ストレスチェック制度の義務化はいつから始まった?

ストレスチェック制度が法律で定められ、企業に義務付けられた時期を振り返りながら、背景にある狙いを確認します。 ストレスチェック制度は、労働安全衛生法の改正によって2015年12月から常時50人以上の事業所に対して義務化が始まりました。改正当初は大企業が主な対象でしたが、制度施行後のメンタルヘルス問題の深刻化や労災認定数の増加を踏まえ、国は小規模事業所への制度適用範囲の見直しを進め、法改正に向けた動きが本格化しました。

制度運用の中で顕在化してきた課題としては、従業員が結果を事業者に知られたくないと考え、回答を拒んでしまうケースや、産業医との連携不足でストレスチェックの結果を活かしきれていないケースなどが挙げられました。これらの課題に対応するべく、国はさらなる改善やを見直しを継続しています。

ストレスチェック制度導入の狙いとしては、単なるチェックで終わらず、その結果を活用したメンタルヘルス対策を事業所全体で行うことが重要視されています。結果を本人に通知し、必要に応じて専門家との面談につなげることで、早期発見・早期対応を促し、深刻なメンタル不調が発生する前にケアを行うことを目指しているのです。

出典:ストレスチェック制度関係法令等|厚生労働省

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ストレスチェック制度義務化の背景

精神疾患による労災認定数が増えるなど、メンタルヘルス問題が深刻化している社会状況から、制度が導入・強化されるに至った経緯を見ていきます。

ストレスチェック制度が導入される背景には、労働者の精神疾患の増加が大きく影響しています。特にうつ病などの疾患が社会問題化しており、長期療養や再発リスクによる離職は企業の経営面にも少なからず影響を及ぼします。早めの対策を整えなければ、労災認定や訴訟リスクを伴うケースも増加しかねません。

日本国内では、働き方改革や人口減少といった環境変化もあいまって、従業員一人ひとりのメンタルヘルス保全がますます重要になっています。労働力確保の面からも、従業員が安心して働ける職場づくりが企業の存続に欠かせない要素とみなされるようになりました。

さらに、ストレスチェック制度の普及は、国の健康経営推進策とも紐づいています。メンタルヘルスは事業所の生産性やイメージアップに大きく関わるため、早期に問題を見つけ出し、原因となる職場環境を改善していく取り組みが推奨され続けているのです。

50人未満の事業場にも義務化は拡大する?最新動向をチェック

常時50人以上の事業所では、ストレスチェックの実施がすでに義務付けられていますが、50人未満の小規模事業所についても、法的な義務化が正式に決定されました。

2025年5月8日、衆議院本会議にて「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」が可決・成立しました。これにより、これまで努力義務にとどまっていた50人未満の事業場についても、ストレスチェックの実施が義務となることが明文化されました。

法律の附則では、「小規模事業場の負担に配慮し、施行までの十分な準備期間を確保する」とされており、施行日は公布から3年以内に政令で定める日とされています。現時点では、2028年4月ごろの施行が見込まれています。

企業としては、義務化に備え、体制構築・予算確保・外部委託の検討などを段階的に進めていく必要があります。特に中小企業では、外部サービスや助成金の活用を視野に入れながら、無理のない導入計画を立てることが重要です。

ストレスチェック実施の手順:準備から事後対応まで

ストレスチェックの流れを事前準備から事後の措置まで、ポイントを整理して解説します。

ストレスチェックを正しく運用するには、適切な準備と透明性の高い実施手順が欠かせません。実施した後も結果を生かした職場環境改善や、高ストレス者へのフォロー体制の構築が重要となります。ここでは、具体的な段取りや注意点を一通り確認していきましょう。

事前準備:実施体制の確認と従業員への周知

まずは産業医や衛生管理者などの専門家と相談し、ストレスチェックの実施体制を整えます。チェックの目的や方法、個人情報の取り扱いなどを従業員に十分に説明し、安心して受検できる環境を作ることが大切です。特に中小規模の事業場では外部委託を利用するケースも多く、その場合は情報管理の責任範囲を明確にする必要があります。

ストレスチェックの実施方法とチェック項目

ストレスチェックの多くは、厚生労働省が推奨する職業性ストレス簡易調査票などを用いて行われます。これらは紙ベースでもウェブベースでも実施可能で、自社の状況に合わせて柔軟に選択できます。業種や職種ごとにストレスの原因は異なるため、必要に応じて外部専門家と連携しながら質問票を選定・カスタマイズすることが望ましいでしょう。

結果通知・高ストレス者への配慮と面接指導

ストレスチェックの結果は、個人情報として厳重に取り扱う必要があります。高ストレスと判定された従業員への事後フォローでは、産業医や管理者の面接指導が鍵となり、業務負荷の調整や相談体制の確保が求められます。本人の同意を得ずに企業が結果を把握することは認められていないため、従業員のプライバシーには十分配慮しましょう。

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集団分析・環境改善と報告義務のポイント

個別結果の分析だけでなく、全体を対象とした集団分析も重要です。集団分析の結果を踏まえた職場環境改善策を検討し、長時間労働の是正やコミュニケーション環境の向上などを進めることで、メンタルヘルス不調の発生を予防できます。また、50人以上の事業場では、ストレスチェックの実施状況を所轄の労働基準監督署へ報告する義務があり、その手続きも忘れずに行う必要があります。

義務化違反や実施漏れに対する罰則と注意点

ストレスチェック制度を円滑に運用するために、違反時のリスクや従業員のプライバシー保護についても理解しておきましょう。

法令遵守は企業としての責務であり、メンタルヘルス対策の観点でも重要です。違反や実施漏れがあると、従業員の心理的負担を見逃すリスクが高まるだけでなく、企業の信頼性も損なわれかねません。ここでは、労働基準監督署への報告と罰則リスク、さらに従業員の拒否対応におけるポイントを確認します。

労働基準監督署への報告と罰金リスク

ストレスチェックを実施した企業は、その実施状況を労働基準監督署に報告する義務があります。ストレスチェックの実施自体に直接的な罰則はありませんが、労働基準監督署への実施報告を怠った場合、労働安全衛生法第120条に基づき50万円以下の罰金が科される可能性があります。法令遵守と従業員の健康管理という点からも、適切な手続きを行うことが望まれます。

プライバシー保護・従業員の拒否対応はどうする?

ストレスチェックの回答は個人情報に当たるため、本人の同意なく企業が閲覧・管理することは禁じられています。従業員がチェックを拒否した場合は、無理に受検を強要するのではなく、ストレスチェックの意義とメリットを丁寧に説明し、理解を促すことが基本的な対応になります。従業員のプライバシーをしっかり守ることで、制度への信頼が高まり、協力が得やすくなるでしょう。

まとめ:ストレスチェック義務化拡大に備え対策を

法改正によるストレスチェック義務化拡大に向けて、早めに準備が必要です。従業員のメンタルケアを支えるサービスとして、ヘルスケアテクノロジーズが提供している「Well-Gate(ウェルゲート)」、「HELPO(へルポ)」を紹介します。

「Well-Gate」は定期健康診断結果やストレスチェック、勤怠情報など従業員のあらゆる健康データを一元管理することが可能な健康管理システムです。

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ストレスチェック結果は、その結果に対してどうフォローアップするかが非常に重要なポイントです。従業員が面談を希望しない場合でも、気軽に心の悩みを聞いてもらえる手段があることで、安心感を得られると同時に早期のケアにつながりやすくなります。特に中小企業では、産業医の配置が難しいケースもあるため、外部リソースを活用することに大きな意味があります。ぜひこの機会に、導入を検討してみてください。

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この記事の監修者:健康経営エキスパートアドバイザー 中島 利保

略歴:看護師および上級心理カウンセラーの資格を持ち、企業での健康管理とメンタルヘルス支援に従事。現在、HELPOの健康相談も担当し、働く人の心身の健康づくりに取り組んでいる。


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