ストレスチェックの義務化はいつから始まった?罰則や努力義務など解説

労働安全衛生法の改正により、ストレスチェックの実施が義務付けられています。ストレスチェックを実施すれば従業員のストレス状態が把握できるため、メンタルヘルス不調の未然防止に役立ちます。また、ストレスチェックの結果により、従業員にとって働きやすい職場環境を作ることも可能です。しかし、「ストレスチェックはいつから義務化されたのか」「ストレスチェックを実施しないとどうなるか」など、疑問に思う方もいるでしょう。

そこで本記事では、ストレスチェック制度がいつから義務化されたのか、報告書を提出しなかった場合の罰則、努力義務などを解説します。

ストレスチェック制度とは?目的は?

ストレスチェック制度とは、労働安全衛生法(第66条の10)に基づき、特定の事業場で義務付けられている、従業員のストレス度をチェックする検査のことです。ストレスチェックは事業者が従業員に対して行うもので、「医師や保健師、その他厚生労働省令で定める者」が実施します。

従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぐことが、メンタルヘルスチェックの最大の目的です。ストレスチェックの結果を従業員にフィードバックし、自身が抱えるストレスに気付ければ、自分で対処ができます。ストレスが高いと判断される場合は、医師の面接により適切な指導を受け、メンタルヘルス不調を防ぐことが可能です。また、ストレス状況の把握により、職場環境を改善することも目的の一つです。

ストレスチェック制度の義務化はいつから始まった?

2014年6月に交付された「労働安全衛生法の一部を改正する法律」により、2015年12月からストレスチェック制度が義務化されました。義務化の対象業者は、年1回以上ストレスチェックを定期的に行わなければならず、義務化開始の2015年12月1日から1年以内(2016年11月末まで)に、1回目の実施が必要になりました。

ストレスチェック制度は現在、全事業場において義務化されているわけではありません。しかし、今後は全事業場に対して義務化される可能性も十分にあります。

ストレスチェック制度義務化の背景

1984年2月、男性(当時31歳)の自殺が過労によるものとして、日本で初めて労災認定されました。ストレスチェック制度の義務化は、この出来事がきっかけとなっています。初めての過労自殺労災認定を受け、労働安全衛生法が改正されました。

改正法に基づき「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」を公表(1988年)し、事業者が講ずるよう努めるべき措置の一つとして「労働者のメンタルヘルスケアに取り組むこと」が掲げられました。さらに、近年では精神障害の認定件数が増加したことも義務化の背景に挙げられます。

厚生労働省の「表2-1 精神障害の労災補償状況」によると、2008年の精神障害に対する労災請求件数は927件であるのに対し、2012年は1257件まで増加していました。こういった背景もあり、労働災害予防のための各種法改正が進められ、2015年12月にストレスチェック制度の義務化が示された「労働安全衛生法の一部を改正する法律」が施行されることになりました。

ストレスチェック制度の義務化は50人未満かどうかが大きな判断基準

常時雇用している労働者が50人以上の事業場はストレスチェック義務の対象になりますが、それ以外は努力義務(当面の間とされている)です。ストレスチェックは、「常時雇用する労働者」に対して実施する必要があるとされています。「常時雇用する労働者」は正社員だけでなく、契約社員やパート、アルバイトなども含めた、通常の事業運営のために雇用している労働者を指します。

また、常時50人以上とは企業全体ではなく、たとえば、支店や営業所、工場などの事業所単位の人数のことです。ただし、契約期間が1年未満の労働者や通常の労働者が働く時間の4分の3である労働者は対象外です。

ストレスチェックの流れ

最初にストレス制度の準備として、従業員に対してストレスチェックの実施を表明します。その後、ストレスチェックをいつ実施するかや高ストレス者の選定基準、面接指導の実施者は誰にするかなどを決定します。その後、行うのがストレスチェックの実施です。

ストレスチェックのデータを集計し、結果の評価と高ストレス者の選定を行います。ストレスチェックの結果を従業員に直接通知し、高ストレス者に対して面接指導を実施します。最後に結果を分析したら、労働基準書に結果を報告しなければなりません。その後、医師から意見を聴取するなどして労働時間の短縮や作業内容の変更など、職場環境の改善措置を実施します。

ストレスチェック制度の実施報告は義務。いつまでに提出する?

ストレスチェックはその目的を果たせば終わりというわけなく、どのように実施されたのかを報告書にまとめて所轄の労働基準監督署に提出しなければなりません。ストレスチェックは実施だけでなく、報告書の提出までが義務となっています。

厚生労働省の「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度 実施マニュアル」によれば、報告書の提出は独自で設定して問題ないと書かれています。つまり、提出の締め切りは設けられていないということです。1年に1回、ストレスチェックを実施した後に報告書を提出すれば良いでしょう。所轄の労働基準監督署に提出する他の報告書と一緒に、ストレスチェックの報告書を提出する企業も多くみられます。

ストレスチェック制度の義務を無視すると罰則はある?

労働安全衛生法第120条によると、ストレスチェック実施後に報告書を提出しなかった場合、50万円以下の罰金が発生します。また、内容に虚偽があった場合も罰金の対象になります。

このように、ストレスチェックの報告書を提出しない場合は罰則が科されるため、報告書の提出を忘れないよう注意しましょう。

努力義務の場合、ストレスチェックをやらないとどうなる?

努力義務とは、「~するよう努めなければならない」「~努めるものとする」と規定される条項のことです。労働者が50人以下の企業にはストレスチェックを積極的に努力することが義務付けられますが、法的拘束力や罰則がないため、どの程度対応するかは企業ごとの裁量に委ねられます。

つまり、50人以下の事業場はストレスチェックを実施しなくても問題ないことになりますが、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぐためにもメンタルヘルスケアを実施することをおすすめします。

メンタルヘルスケアに「HELPO」

ストレスチェックは1年に1回行われるため、その時点での従業員のストレス度がチェックできます。しかし、次回実施までの間にストレスが溜まり、メンタルヘルス不調に陥ってしまう恐れもあります。そのような事態を防ぐためにおすすめなのが、ヘルスケアアプリ「HELPO(ヘルポ)」です。

「HELPO」は、24時間365日、いつでも従業員自身が医療専門チームに相談できるスマホアプリです。医療専門チームには医師や看護師、薬剤師がいるため、専門知識に基づいたアドバイスがもらえます。「HELPO」の利用により日頃から相談できる環境を作っておけば、メンタルヘルス不調を未然に防げる可能性が高まります。従業員のメンタルヘルスケアを考えている方は、ぜひ「HELPO」の導入を検討してみてください。

ストレスチェック制度の義務化はいつからか覚えましょう

2015年12月からストレスチェック制度は義務化されています。常時雇用している労働者が50人以上の事業場はストレスチェック義務の対象となり、報告書を提出しなければなりません。提出しなかった場合は50万円以下の罰金が科されます。また、労働者が50人以下の事業場は努力義務となり、ストレスチェックは原則、行わなくても罰則などはありません。

労働者50人以下の事業場でストレスチェックが実施されず、いつのまにかメンタルヘルス不調に陥ってしまう人もいるでしょう。また、ストレスチェックを実施したとしても、従業員の中には面接を拒否する人もいます。そのような場合、従業員のメンタルヘルス不調を防げない恐れがあります。従業員の健康サポートとして、ぜひ「HELPO」の導入を検討してみてください。

「サービス紹介をみる」バナー
「アプリを利用する」バナー
「問い合わせする」バナー