男性育休の義務化はいつから?企業は何をすればよい?法改正のポイントを解説

「改正育児・介護休業法」が2021年6月に成立したことにより、育休に関して企業側の義務化となる項目が設定されました。しかし、法改正のポイントや新しい制度についてよく理解しておかなければ、企業は適切に対応できないでしょう。

そこでこの記事では、男性育休をめぐる法改正のポイント、男性が育休を取得するメリット、企業が男性育休の取得を推進するメリット、などについて詳しく解説します。

また、男性の育休取得推進のために企業が留意すべきことについても紹介しますので、しっかりと最新情報を押さえておきましょう。

育児・介護休業法の改正とは

2021年6月に育児・介護休業法の改正が行われました。法改正の背景とともに、特に低いと言われる男性の育休取得率や、その課題に焦点をしぼって解説します。

育児・介護休業法改正の背景

「改正育児・介護休業法」が成立した背景には、次のような状況がありました。

  • 男性の育児休業取得率が低い
  • 男性の育児休業の取得期間が、女性に比べてとても短い
  • 男性で育児休業制度の利用を希望していても利用できなかった人が約4割いる
  • 男性が育児休業を取得しない理由は、業務の都合や職場の雰囲気である

これらを踏まえて利用しやすい制度に変更するとともに、育児休業を取得しやすい職場環境の整備も必要であると考えられました。

男性育休の取得率と課題

日本の男性の育児休業取得率は、2020年度で7.48%、2021年度で12.65%です。これは国際的に見ても低い水準であり、8割台で推移している女性との間にも大きな差があります。

男性育休の取得率が低いのには、次のような理由があります。

  • 育児休業制度の認知が低い
  • 職場に育休を取得した前例がない
  • 職場に取得しにくい雰囲気がある
  • 担当している仕事がある

つまり、そもそも職場全体で制度への理解が不足しており、男性は誰も育休を取得していないので相談できる人もおらず、いきなり自分が取得に踏み切ることもしにくいという職場の現状があるのです。

男性育休をめぐる法改正のポイント

育児・介護休業法改正の中には、男性育休をめぐる法改正がいくつも含まれています。特に、義務化と呼ばれているポイントがありますので、企業は何をしなければならないのか理解しておく必要があります。

また、新設された「産後パパ育休」制度の仕組みなど、男性育休をめぐる法改正のポイントについて解説します。

雇用環境整備と個別の周知・意向確認の義務化(2022年4月〜)

2022年4月1日から、「雇用環境整備と個別の周知・意向確認の義務化」が施行されました。

「雇用環境整備」とは、育児休業が取得しやすくなるように育休に関する研修を実施したり、相談窓口を設置したり、自社の育休取得者の事例を紹介したり、自社の育休取得促進に関する方針を周知したりすることです。

また、「個別の周知・意向確認の義務化」とは、配偶者の妊娠・出産を申し出た従業員に対して、企業が個別に以下のことを行わなければならないことを指します。

  • 育児休業が取得できることや育児休業の内容についての通知・説明
  • 育児休業の取得意向の確認

有期雇用労働者の育休取得要件の緩和(2022年4月〜)

2022年4月1日から、「有期雇用労働者の育休取得要件の緩和」が施行されました。

これまでは、育児休業の取得要件は以下の通りでした。
(1)引き続き雇用された期間が1年以上
(2)1歳6ヶ月までの間に契約が満了することが明らかでない

この中の(1)の要件を撤廃し、(2)のみに改正されたので、有期雇用労働者も無期雇用労働者と同様の取り扱いになりました。育児休業の申し出があった時点で、労働契約の更新がないことが確実でなければ取得することができます。

出生時育児休業(産後パパ育休)制度の創設(2022年10月〜)

2022年10月1日から、「出生時育児休業(産後パパ育休)制度」が施行されます。

「男性産休」とも通称されるもので、子どもの出生後8週間以内に、最大4週間の育休を取得できます。2回に分けて取得することも可能とされています。産後、女性が体力を回復させる大変な時期に、配偶者をサポートできる制度です。

育児休業の分割取得(2022年10月〜)

令和4年10月1日から、「育児休業の分割取得」が施行されます。改正前の育休制度においては、育休を分割して取得することは、原則できませんでした。しかし改正後は、分割して2回取得することが可能になりました。

また、配偶者と途中で交代して育児休業を開始できるようにするために、育休開始日を柔軟に設定できるように改正されます。

大企業における男性育休取得状況の公表の義務化(2023年4月〜)

2023年4月1日から、「大企業における男性育休取得状況の公表の義務化」が施行され、従業員が1001人以上の大企業では、男性の育休取得率の公表が義務化されます。これは、男性が育休を取得しやすい職場の雰囲気を作るための対策です。

育休取得率が公表されるようになると、取得率の高い企業はイメージアップすることが予想されます。求職者へのアピールにもなりますし、企業の社会的評価の向上にもつながり、投資家にも影響を与えるでしょう。

男性が育休を取得するメリット

男性が育休を取得すると、本人に発生するメリットもあります。育休取得を推進するためには、メリットを伝えていくことも有効でしょう。男性が育休を取得することによるメリットについて説明します。

育児をする時間を確保できる

育休を取得することで、子どもと一緒にいられる時間が増え、育児に積極的に携われるようになります。女性に育児を任せきりにせず、ともに子どもの成長を見守りたいと考えている男性にとっては育休を利用することで、希望を叶えることでき、会社に対する忠誠心やモチベーション向上にもつながるでしょう。

育児休業給付金の支給や社会保険料の免除がある

育休中は無給である企業が多いですが、雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。最初の6ヶ月は、休業開始時の賃金の67%、それ以降は50%の給付を受けることができます。

さらに、育休中の社会保険料は、被保険者本人負担分および事業主負担分ともに免除されます。また、育児休業給付金は非課税であるため、所得税などの負担も軽くなります。結果として、給付金は67%であっても負担も減るので、休業前の手取り月収の8割程度が手元に残ることになります。

企業が男性育休の取得を推進するメリット

企業が男性育休の取得を推進すると、企業に発生するメリットがあります。法改正があったから育休取得を推進するのではなく、長期的視点に立つと育休取得の推進は経営安定につながることを理解しておきましょう。

企業が男性育休の取得を推進する2つのメリットを紹介します。

企業イメージが向上し離職防止や人材獲得につながる

男性の育休取得を推進すると、企業のイメージアップにつながります。福利厚生が充実しており、ワークライフバランスが推進されている企業であるとして、新卒の求職者などに対しての強いアピールになります。

「くるみん」や「イクメン企業アワード」など、子育てをサポートしている企業であることを認定する公的な制度に選ばれると、認定マークを使用することができ、優秀な人材の採用につながるでしょう。また、従業員満足度が向上することによって離職防止となり、労働力不足に悩まされることも少なくなります。

両立支援等助成金が支給される

「両立支援等助成金」という職業生活と家庭の両立を支援する制度の中に、企業が男性育休の取得を推進させることを目的とした助成金として、「出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」があります。

男性の従業員が育児休業を取得しやすい職場環境作りに取り組み、実際に男性が育児休業を取得した場合に、企業に28.5万円(中小企業は57万円)以上の助成金が支給されます。

さらに、男性の育休取得を後押しする、育休取得前の個別面談などの取り組みをおこなった場合には、さらに助成金が加算される仕組みとなっています。

企業が男性育休の取得を推進するメリット

企業は男性の育休取得を推進していかなければなりませんが、その際には留意すべきことがあります。男性育休の申請を拒否してはいけないこと、従業員が育休を取得しやすい環境を整えることの2点について解説します。

男性育休の申請を拒否することは育児休業法違法となる

男性従業員が行った育休の申請を企業が拒否することは、育児休業法で禁じられています。また、企業側の上司が育休申請をしようとしている男性従業員に対して、仕事量を増やしたり減らしたり、降格させたりなどという不当な扱いをすると、マタニティハラスメントとみなされます。マタハラ防止は男女雇用機会均等法により義務付けられています。

企業は罰金を課せられたり、行政指導に従わない場合には企業名が公表されたりしますので、十分に注意しましょう。

従業員が育休を取得しやすい環境を整える

男性の育休取得推進のためには、企業は従業員が育休を取得しやすい環境を整えなければなりません。具体的には、全従業員を対象にした研修を実施するなどの対策を講じて、育休に対する職場の意識改革を行いましょう。同僚が育休を取得した際には、助け合おうという意識をお互いに持てるようにします。

特に管理職の意識改革は重要です。育休を取得する意義やメリットを理解してもらいましょう。また、意識改革に加えて、管理職の評価の中に部下の育休取得率を組み込んだり、業務負担が増える部下や同僚に手当を支給したり、業務の負担が増えないように普段からワークシェアを進めたりなど、業務上の仕組み作りも必要です。

子育てで忙しい従業員も、「HELPO」なら気軽に不調を相談できる

子育て中の従業員の健康管理におすすめなのが、ヘルスケアアプリ「HELPO」です。

医師、看護師、薬剤師などの医療専門家に、心身の不調や生活習慣の悩みなどについて、24時間365日いつでも気軽に相談ができます。スマートフォンを用いて、チャット形式でアドバイスをもらうことができるので、忙しい子育ての合間にも相談しやすい点が魅力です。

もちろん、従業員本人だけではなく、子どもの急な発熱などの家族の健康についても相談できます。子育ての強い味方としてHELPOは役立つでしょう。

従業員に生き生きと働いてもらうためには、ワークライフバランスを推進し、男性も育休を取得しやすい職場環境を作ることが重要です。「HELPO」を活用して、男性の育休取得をサポートしましょう。

まとめ

男性の育休をめぐる法改正が行われ、従業員に対する育児休業の説明と取得意向の確認が義務化されました。男性の育休取得を推進することは、企業のイメージアップにつながり、求職者への大きなアピールとなります。

スマートフォンで気軽に健康相談ができるヘルスケアアプリ「HELPO」は、従業員と家族の心と体の健康をサポートいたします。従業員の健康は、企業の経営発展の基盤です。健康対策にHELPOのご利用を考えてみてはいかがでしょうか。

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