労働安全衛生委員会とは?概要や役割などをわかりやすくご説明

安全衛生委員会の設置は、一定の規模の事業場において義務づけられたもので、従業員の健康や安全を守るために必要なものです。しかし、どのような決まりがあるのかわからない方も少なくないでしょう。

そこで本記事では、安全衛生委員会の概要や役割、設置基準や構成メンバーについて詳しく解説していきます。

安全衛生委員会とは?概要をわかりやすく

安全衛生委員会とは、労働安全衛生法で定められている一定の規模に該当する事業場において設置しなければならない委員会のことです。安全衛生委員会は、「安全委員会」と「衛生委員会」を統合したものを指します。

それぞれを独立させて設置しているところもありますが、統合して設置するパターンが多い傾向です。それぞれの委員会は、常時使用する労働者の数や業種によって設置の有無が異なります。対象となっている企業は定められた委員会を設置し、適切に運営しなければなりません。

なお、安全衛生委員会には以下の決まりがあります。

  • 委員会は毎月1回以上開催する
  • 委員会の内容を従業員に周知する
  • 議事録を作成し、3年間保存する

安全衛生委員会の役割・目的は?

安全衛生委員会の役割・目的は、「労働者」と「使用者」が一体となり、従業員の危険や健康障害を防止することです。そのため、委員会では労働災害の原因・再発防止対策などの重要事項について、従業員の意見を反映させつつ、十分な調査審議を行わなければなりません。

日本社会において労働災害が増えてきたことを背景に、それを防止するための労働安全衛生法が昭和47年に制定されました。この法律の中には、安全衛生委員会についての項目も掲載されています。

※労働安全衛生法:「職場における労働者の安全と健康確保」「快適な職場環境を形成促進」を目的とした法律

安全衛生委員会の設置基準は?

安全衛生委員会の設置基準は、以下の通りです。

業種常時使用する労働者数安全委員会衛生委員会
林業、鉱業、建設業、製造業の一部(木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業、輸送用機械器具製造業)、運送業の一部(道路貨物運送業、港湾運送業)、自動車整備業、機械修理業、清掃業50人以上

上記以外の製造業・運送業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、 燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業
100人以上
50人以上100人未満×
それ以外の業種50人以上×

(参照:厚生労働省「安全委員会、衛生委員会について教えてください。 」

※労働者が50人未満の企業は安全衛生委員会を設置しなくてもよいことになっています。しかし、安全または衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けなければなりません。

安全衛生委員会は何をする?何を話す?

安全衛生委員会で話す内容は、特に決められているわけではありません。しかし、調査審議内容については、厚生労働省の「安全委員会、衛生委員会について教えてください。 」に詳細な記載があります。

安全委員会では従業員の危険防止や安全に関する事項を、衛生委員会では従業員の健康や衛生に関する事項について審議します。安全衛生委員会であれば、そのどちらの内容も取り扱うことになるでしょう。

安全衛生委員会では、「産業医による職場巡視の報告」「以前の指摘項目について、職場環境の改善状況」「労災の発生状況」については毎回話した方が良いでしょう。健康診断やストレスチェックなど、毎年実施されなければならない事項についても話す必要があります。

また、季節ごとの健康ネタ(インフルエンザや熱中症)やニュースで話題になった労災などを取り扱う、または、健康講和を行うのもおすすめです。

安全衛生委員会のメンバー構成は?

安全衛生委員会のメンバー構成は、「衛生委員会」と「安全委員会」とで異なります。

安全委員会の構成は以下の通りです。

  1. 総括安全衛生管理者又は事業の実施を統括管理する者若しくはこれに準ずる者(1名)
  2. 安全管理者
  3. 安全に関し経験を有する労働者

衛生委員会の構成は以下の通りです。

  1. 総括安全衛生管理者又は事業の実施を統括管理する者若しくはこれに準ずる者
  2. 衛生管理者
  3. 産業医
  4. 衛生に関し経験を有する労働者

議長は「1」の委員が務めます。法律上、委員長(議長)以外の人数の定めはありませんが、衛生委員会についての一般的な最少人数は、議長以外の労使同数の7名、衛生管理者が人事担当者の場合は5名とされています。

産業医

産業医は専門的な立場から事業主に意見を述べることが可能です。委員会への出席は義務ではありませんが、出席してもらうのが望ましいでしょう。産業医には職場巡回などをする中で、異常を感じたことなどについて報告してもらいます。

統括安全衛生管理者

統括安全衛生管理者は司会進行をする議長を務めます。議長は司会進行をしなければならないため、委員会の中でも重要なポジションといえます。主に人事部長や総務部長、支店長が指名されることが多い傾向です。

安全管理者

安全管理者の資格を持つ人を選任します。なお、安全管理者は厚生労働大臣が定める安全管理者選任時研修を修了していなければなりません。特定の場合には、指定された人数分の安全管理者を配置する必要があります。

衛生管理者

業種によって定められている資格を保有する者を選任します。衛生管理者は産業医やストレスチェック実務事業者などとやり取りする機会が多いため、職場の状況が把握している人物を選ぶと良いでしょう。

労働者

従業員の中から労働者を選任します。安全や衛生に関する経験を持っており、会社の環境や現場のようす、労働状況についてよく理解している人、また、きちんと発言できる人物が良いでしょう。委員会後には、決定事項を現場で報告する役割も担います。

安全衛生委員会の進め方は?わかりやすく例を挙げて解説

安全衛生委員会の進め方は法的に決められているわけではないため、どのように進めても良いでしょう。基本的には、前回の委員会で話し合った議事についての振り返りを行った後、産業医の業務に基づいた職場の労働環境や衛生環境などの報告を受けます。また、年間で必ず実施する健康診断などについて報告しましょう。

健康経営のための独自施策をしているなら、それについても報告します。報告が終わったら今月のテーマについて審議したり、次回の議題を検討したりすることも大事です。安全衛生委員会では、産業医による健康講話もよく実施されています。

従業員の健康を支援するなら「HELPO」の導入がおすすめ

安全衛生委員会を定期的に行うことにより、従業員が健康に、かつ労災が防げる環境が維持できます。定められた委員を選任し、安全衛生委員会を実施しましょう。

安全衛生委員会以外でも従業員の健康をサポートしたい場合におすすめなのが、ヘルスケアアプリ「HELPO(ヘルポ)」です。「HELPO」では、専任の医療チームが24時間365日対応しており、体調や健康などの悩みについて相談できます。産業医がいない時などは、代わりに「HELPO」のチャットでいつでも相談可能です。職場におけるハラスメントの問題など、従業員が職場の人間に相談しにくい労働環境についても気軽に相談できるため、結果として職場の安全衛生環境の改善にも役立ちます。

安全衛生に気を使うなら、ぜひ「HELPO」の利用を検討してみてください。

安全衛生委員会とは何かわかりやすく解説しました

安全衛生委員会を設置することにより、従業員の安全や健康が守られます。従業員が安全でかつ健康でなければ、会社の成長は難しくなってしまうかもしれません。規定に沿った安全衛生委員会を設置し、定期的に議論をしていきましょう。

ヘルスケアアプリ「HELPO」は安全衛生委員会のサポートにも利用できます。いつでも対応してもらえるため、産業医がいない時でも安心です。従業員の健康を守りたい、福利厚生を充実させたいと考えているのであればぜひ、「HELPO」を利用してみてください。

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