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更年期の漢方薬 ~どうやって選べばいいの?
つらい更年期症状にはホルモン補充療法が効果的です。また、精神的な症状が強い場合には抗不安薬を使うこともありますし、漢方薬で症状を軽くすることもあります。漢方薬は副作用が少なく、体全体の調子を整えることが可能です。それにより、ホットフラッシュ(主にのぼせやほてり・発汗)だけではなく、動悸・頭痛・めまい・耳鳴り・イライラ・不安・不眠など、様々な自律神経失調症状の改善が期待できます。
(この記事では主に女性の更年期について記載しています)
このコラムでは、更年期の症状に対する効果的な『漢方薬』の選び方についてご紹介します。
※本ページの記事は、女性の健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。
どんな漢方薬があるの?
女性の症状によく使われる漢方薬として、当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)・加味逍遙散(カミショウヨウサン)・桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)が挙げられます。これらは「婦人科三大処方※」と呼ばれており、名前を聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。
これらの三剤は、長い間使われてきた伝統的な処方であり、その効果は実際の使用経験からも十分確認されています。また、婦人科専門医の集まりである学会のアドバイスからも、更年期の症状に対する重要な漢方薬として推奨されています。
さらに、この三大処方に桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)を加えた四剤で、更年期の症状のかなりの部分をカバーできると言われています。
※処方:生薬の種類や量の組み合わせ
どうやって選べばいいの?
それでは、いくつかの選択肢の中から、自分に合った漢方薬を選ぶためのコツをご紹介します。
まず、不調の原因を考え、それを手掛かりにするという方法があります。漢方医学では、人間の身体を構成する基本要素として気・血・水というものを考えます。それらは互いに関わりながら体の中を巡り、生命活動を維持しています。

このうち更年期では、特に血が不足したり、血が滞ったりすることが問題だと考えられています。そのため、トウキ・シャクヤクなどの血を補う生薬や、トウニン・ボタンピなどの血の流れを改善する生薬がよく用いられます。婦人科系の症状を得意とする四剤には、これらの生薬のうちのどれかが必ず一種類は配合されています。なお、ベースに気のトラブルがある場合は、まず気の改善に適した処方を選択することもあります。
また、普段の体力レベルと症状のパターンも、薬を選ぶ上で重要な指標になります。

図1 更年期の症状に使用する主な漢方薬
こういった点を意識しながら、まずは更年期症状によく使われる四剤の中から、ご自身に一番合ったものを選んでみることをおすすめします。
ご自身の体力の具合がどこに当てはまるか分からない場合などは、お気軽にHELPOの薬剤師相談チャットをご利用ください。
■当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
構成生薬:トウキ、シャクヤク 、センキュウ、ブクリョウ、ビャクジュツ、タクシャ

■加味逍遙散(カミショウヨウサン)
構成生薬:サイコ、ハッカ、ショウキョウ、カンゾウ、ビャクジュツ、ブクリョウ、トウキ、シャクヤク、ボタンピ、サンシシ

■桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
構成生薬:ボタンピ、トウニン、シャクヤク、ケイヒ、ブクリョウ

■桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)
構成生薬:ダイオウ、ボウショウ、カンゾウ、トウニン、ケイヒ

※赤文字:血を補う生薬(トウキ・シャクヤクなど)
※緑文字:血の流れを改善する生薬(トウニン・ボタンピなど)
もしも効かなかったら
漢方薬の使用に関しては、医師や薬剤師と相談しながら使用することをおすすめします。
漢方薬の効果は使用開始後すぐに現れることもありますが、大体は服用開始から約1ヶ月後に感じ始めることが多いです。体調が改善し、薬が効いていると感じたら、通常はそのまま服用を続けます。ただし、更年期症状などは効果の判断が難しい場合もあり、医師のアドバイスに従い3ヶ月程度試してみることもあります。
もし一定期間漢方薬を服用しても効果を感じられない場合は、まず、漢方薬の量や服用方法の調整、エキス剤から煎じ薬への切り替え、あるいは漢方薬の処方そのものの見直しを考えます。上記の四剤以外の処方への変更や、別の処方を追加することで、効果が改善する場合もあります。
これらの対策を試した上で、それでも症状が改善しない場合は、漢方薬以外の治療法を検討することも一つの選択肢となります。
漢方薬自体や選び方など興味や疑問がありましたら、お気軽にHELPO薬剤師相談チャットをご活用ください。
(参考文献)
・メディアメディック「薬がみえる vol.1 第2版」 p506-507, 医学情報科学研究所 ,2021
・藤井 知行・加藤 聖子「産科婦人科臨床6 女性ヘルスケア」p170-172, 2019
・日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科 診療ガイドライン ―婦人科外来編 2020」p190(閲覧日:2023.6.19)
(クレジット)
著作/ヘルスケアテクノロジーズ株式会社
文/薬剤師 星野 静
