安全衛生委員会とは?目的・設置基準・構成メンバー・審議内容を解説

ここでは、安全衛生委員会について、目的や設置基準、構成メンバー、それらの役割などをわかりやすく解説します。安全衛生委員会を通じた従業員の健康増進の取り組みもあわせてご紹介します。

労働災害や健康障害を防ぐためには、経営者だけでなく現場の労働者や産業医、そして管理者が一丸となって対策を検討することが必要です。

安全衛生委員会は、こうした幅広い意見や専門知識をまとめ、その結果を具体的な施策へと結びつける大切な場でもあります。

本記事を読むことで、安全衛生委員会の基本から運営のポイントまで一通り把握でき、より安全で健康的な職場づくりに役立てられるはずです。ぜひ最後までご覧いただき、実務に活用してみてください。

ヘルスケアアプリ「HELPO」の画像

衛生委員会・安全委員会と安全衛生委員会の違い

「解決策」のイメージ_笑顔で前を向く5名の社員

安全衛生委員会とよく似たものに、安全委員会や衛生委員会があります。まずは、それぞれがどのようなものなのか、また違いは何かについて確認しておきましょう。

衛生委員会とは

「衛生委員会」とは、事業場の労働者の健康障害の防止および健康の保持増進などに関する重要事項を調査・審議し、事業者に対して意見を述べることを目的として、一定規模以上の事業場において、設置が義務付けられている組織をいいます(労働安全衛生法第18条第1項)。

委員会で扱われるテーマは、従業員の健康障害の防止、健康の保持増進です。それらを推進するための対策について、労使が一体となって調査審議を行います。

注意しなければならないのは、労使交渉の場ではない点です。調査審議の場としてできるだけ議論を尽くして、労使とも納得のできる合意点を探すことが重要です。

安全委員会とは

安全委員会」とは、事業場の労働者の危険の防止などに関する重要事項を調査・審議し、事業者に対して意見を述べることを目的として、法令で定める業種および規模に該当する事業場において、設置が義務付けられている組織をいいます(労働安全衛生法第17条第1項)

委員会で扱われるテーマは、従業員の危険防止や労災対策などです。危険を防止する対策、労働災害の原因となるに関することなどについて、労使が一体となって調査審議を行います。

安全衛生委員会は衛生委員会と安全委員会を統合したもの

安全衛生委員会は、衛生委員会と安全委員会を統合し、両面から従業員の健康と安全を保証するために活動します。多角的な視点で検討を行うことで、職場の課題を包括的にとらえやすく、効率的に改善策を進めることが可能です。単に事故防止や健康管理だけでなく、職場全体のモチベーションや生産性の向上にも寄与すると考えられています。

安全衛生委員会の目的

安全衛生委員会は、労働災害を防止し、従業員が安全かつ健康的に働ける環境をつくることを目的としています。

この委員会が効果的に機能すれば、職場での事故やトラブルを未然に防ぎ、働く人々の健康状態をより良く保つことが期待できます。経営的な観点から言うと、労働災害を減らすことはコストの軽減や企業イメージの向上にもつながり、従業員のモチベーション向上に寄与することも少なくありません。

また、安全衛生に関する責任を明確にすることで、各メンバーが役割を自覚し、主体的な取り組みを行いやすくします。従業員からの声を吸い上げて実効性の高い施策を検討するための場としても重要であり、働きやすい環境を築くための中核的な組織と位置づけられています。
出典:厚生労働省HPより

安全衛生委員会の設置基準

「安全衛生委員会」のイメージ_ヘルメットを被り、作業着を着ている女性

安全衛生委員会は、衛生委員会と安全委員会の両方を設置しなければならない場合に統合して設置するものですから、まずはそれぞれの設置基準を確認しておかなければなりません。

衛生委員会と安全委員会について設置基準を解説します。

衛生委員会の設置基準

労働安全衛生法により、常時使用されている従業員が50人以上いるすべての業種の事業場は、衛生委員会の設置が義務付けられています。従業員が50人未満の事業所であれば、設置の義務はありません。

ただし、健康に関することについて従業員に意見を聞くための機会を設けるようにしなければならないと、厚生労働省が明示しています。衛生委員会を設置しないとしても、なんらかの対応が必要です。

安全委員会の設置基準

衛生委員会は、どのような業種であっても設置しなければなりませんが、安全委員会の設置が義務付けられるのは、特定の業種の事業所に限られます。

常時使用する従業員が50人以上の場合、林業、建設業、製造業の一部、運送業の一部、自動車整備業、機械修理業、清掃業などの業種では、安全委員会の設置が義務付けられてます。また、常時使用する従業員が100人以上の場合、製造業、運送業、電気業、ガス業ほか、厚生労働省によって定められた業種では、安全委員会の設置が義務付けられてます。

従業員が50人未満の事業所や、上記の条件に当てはまらない事業所であれば、安全委員会の設置義務はありません。ただし、安全に関することについて従業員に意見を聞くための機会を設けるようにしなければならないと、厚生労働省が明示しています。

ヘルスケアアプリ「HELPO」の画像

安全衛生委員会の構成

「構成」のイメージ_真剣に話をしている様子の3名の社員

安全衛生委員会は、衛生委員会と安全委員会を設置しなければならない場合に統合して設置するものですから、まずは両者の構成メンバーとなる委員を確認しておかなければなりません。

衛生委員会と安全委員会それぞれの構成メンバーについて解説します。

衛生委員会の構成メンバー

衛生委員会を構成するメンバーの人数には決まりはありませんが、法律により以下のように規定されています。

  • 総括安全衛生管理者、または事業の実施を統括管理する者など(議長)(1名)
  • 衛生管理者
  • 産業医
  • 衛生に関し経験を有する労働者

議長以外の構成メンバーは事業者が指名します。ただし、メンバーの半数は、企業の過半数を占める労働組合の推薦に基づいて指名することが必要です。労働組合がない場合には、従業員の過半数を代表する人の推薦に基づいて指名することとなっています。一般的には労使同数とします。

安全委員会の構成メンバー

安全委員会を構成するメンバーの人数には決まりはありませんが、法律により以下のように規定されています。

  • 総括安全衛生管理者、または事業の実施を統括管理する者など(議長)(1名)
  • 安全管理者
  • 安全に関し経験を有する労働者

衛生委員会と同様に、議長以外の構成メンバーは事業者が指名します。ただし、メンバーの半数は、企業の過半数を占める労働組合の推薦に基づいて指名することが必要です。労働組合がない場合には、従業員の過半数を代表する人の推薦に基づいて指名することとなっています。一般的には労使同数とします。

安全衛生委員会の構成メンバーの役割

「役割」のイメージ_話をする男性と女性の手元

安全衛生委員会を構成する委員は、総括安全衛生管理者、または事業の実施を統括管理する者など(議長)(1名)、安全管理者、衛生管理者 (両方の資格を持っている人が兼務することも可)、産業医、安全に関し経験を有する労働者です。

それぞれの構成メンバーの役割について解説します。

議長の役割と資格

議長は司会進行役であり、安全衛生委員会の中でも最も重要な役割を担います。委員会を円滑に進行させ、メンバーから意見を引き出してまとめ、結論を導き出し問題解決につなげなければなりません。

総括安全衛生管理者がいる場合には議長として指名されますが、会社の規模によっては総括安全衛生管理者がいないケースもあります。その際には、人事部長や工場長などが議長として指名されます。

産業医の役割

産業医の役割は、従業員の健康状態を医学的観点から把握し、職場環境の改善や健康管理に関する専門的な助言を行います。また、過重労働対策やストレスチェックの実効性を高める方法などについて、専門的な意見を求められます。

事業者側のメンバーですが、専門家としての客観性を保ちながら、安全衛生委員会で求められる役割を果たさなければなりません。委員会に出席できない場合でも、事前に議題についての意見を伝えるなどして、委員会の活性化に貢献することが可能です。

こちらの記事もおすすめ:産業医とは?簡単に概要や資格、選ぶ際のポイントなどをご紹介 – HELPOマガジン

安全管理者・衛生管理者の役割

安全管理者は、設備や作業手順の安全性について深い知識を持ち、具体的な改善案を提示します。衛生管理者は労働衛生の知識を生かして、職場環境の測定や快適化に取り組みます。両者は法定資格を持つ専門家であり、それぞれの専門領域から委員会をサポートしながら、労働者の安全衛生水準を底上げしていきます。

労働者の役割

現場の最前線で働く労働者代表は、実際の作業状況や危険箇所の把握において非常に重要です。経営者や管理者には見えにくい問題点を指摘し、改善策を提案することで、安全衛生委員会の実効性を高めます。職場全体の協力体制を築くためにも、労働者の参画は欠かせない存在と言えるでしょう。

また、安全衛生委員会で決定した内容を所属部署に持ち帰り説明するという、重要な役割も担うことになります。

安全衛生委員会の審議内容

「審議」のイメージ_説明している男性の手元と話を聞く複数名の女性

安全衛生委員会においては、実際にどのようなことが審議されるのでしょうか。具体的な内容について理解しておきましょう。

安全衛生委員会では、安全委員会の審議内容と、衛生委員会の審議内容について扱われるので、それぞれの審議内容について解説します。

安全委員会の審議内容

安全委員会では、作業場のレイアウト変更や設備の新設・更新時の安全評価、さらに作業手順書の見直しなどが主な議題となります。審議内容は次のとおりです。

  • 従業員の危険防止対策
  • 労働災害の原因及び再発防止対策(安全面)
  • 安全に関する規程の作成
  • 危険性・有害性等の調査、その結果に基づく対策(安全面)
  • 安全衛生に関する計画の作成、実施、評価、改善(安全面)
  • 安全教育の実施計画の作成
  • 関係機関から従業員の危険防止に関して受けた命令、指示、勧告、指導

衛生委員会の審議内容

衛生委員会では、健康診断の結果や産業医の所見を踏まえた健康指導、職場環境測定の結果に基づく改善提案などが審議の中心です。審議内容は次のとおりです。

  • 従業員の健康障害防止対策
  • 従業員の健康の保持増進対策
  • 労働災害の原因及び再発防止対策(衛生面)
  • 衛生に関する規程の作成
  • 危険性・有害性等の調査、その結果に基づく対策(衛生面)
  • 安全衛生に関する計画の作成、実施、評価、改善(衛生面)
  • 衛生教育の実施計画の作成
  • 化学物質の有害性の調査、結果に対する対策
  • 作業環境測定の結果、結果の評価に基づく対策
  • 定期健康診断等の結果、結果に対する対策
  • 従業員の健康の保持増進を図る実施計画の作成
  • 長時間労働による従業員の健康障害の防止対策
  • 従業員の精神的健康の保持増進対策
  • 関係機関から従業員の健康障害に関して受けた命令、指示、勧告、指導

こちらの記事もおすすめ:健康管理システム導入で業務効率化と健康経営を両立する方法

安全衛生委員会の議事録の保管期間

安全衛生委員会の議事録は、労働安全衛生法によって3年間の保管が義務付けられています。保管期間内は労働者が閲覧できるように公開することも求められます。

議事録には会議での意見交換や決まった取り組み方針などが記録されるため、後からの振り返りや責任の所在を明確にするうえで重要な役割を担います。必要に応じて、安全管理者や衛生管理者、産業医が実行状況を確認し、評価や是正措置をとれるようにすることが大切です。

ヘルスケアを通じて従業員の健康を増進させる「HELPO」

安全衛生委員会がきちんと機能すると、労使が協力して従業員の危険や健康被害を防止し、労働災害を防ぐことができます。規定に基づき安全衛生委員会を設置し、適切な委員を選定し、実行的な議論の場とし、職場の環境整備に努めましょう。

従業員の健康を増進させ、安全衛生委員会の役割をサポートすることができるのが、ヘルスケアアプリ「HELPO」です。体調不良、健康について気になること、生活習慣の悩みなどについて、24時間365日、医師・看護師・薬剤師の医療専門チームに気軽に健康医療相談ができます。チャット形式でいつでもアドバイスをもらうことができるので安心です。

心身が健康であることは、労働災害を防ぎ、安全に元気に働くための基盤です。HELPOを活用して、従業員の健康を増進させましょう。

ヘルスケアアプリ「HELPO」の画像

まとめ

「考える」のイメージ_真剣な表情で前を向く男性

安全衛生委員会の設置や運営は、従業員の安全と健康を守るために欠かせない取り組みです。適切な運営体制を整え、みんなで職場の環境をより良くしていきましょう。
労働安全衛生法に基づく設置基準を満たすだけでなく、委員会の内容や構成を自社の状況に合わせて最適化することが大切です。産業医や管理者、労働者代表それぞれが自分の専門性や経験を活かし、実効性のある安全・衛生対策を進めることで、職場全体の安全文化を高めることができます。

ヘルスケアアプリ「HELPO」を通じて、従業員の健康管理をサポートいたします。従業員の健康対策を充実させたい、福利厚生を充実させたい、ヘルスケアサポートに興味を持っている、企業様からのお問い合わせをお待ちしております。


この記事の監修者:健康経営エキスパートアドバイザー 中島 利保

略歴:看護師および上級心理カウンセラーの資格を持ち、企業での健康管理とメンタルヘルス支援に従事。現在、HELPOの健康相談も担当し、働く人の心身の健康づくりに取り組んでいる。


「サービス紹介をみる」バナー
「アプリを利用する」バナー
「問い合わせする」バナー