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従業員が鬱病で休職する際の職場側の対応・気を付けるべきことは?
鬱病による休職が増えている現代社会では、企業にとって従業員のメンタルヘルスケア対応がより重要になっています。厚生労働省の「令和5年労働安全衛生調査(実態調査 」によると、メンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休業した・退職した従業員がいた事業所の割合は13.5%でした。
鬱病などの精神障害で従業員が休職する場合、就業規則や給付金の手続きなど、企業および従業員双方が知っておくべきポイントが数多く存在します。
本記事では、鬱病による休職の具体的な期間、会社側の対応方法、必要な制度についての概要を解説し、職場復帰や再発防止にも配慮した対応策などを解説します。
本記事は健康経営エキスパートアドバイザーの中島利保さんによる監修を受けています。
目次
鬱病による休職の平均期間は?

鬱病での休職の期間は従業員が直面する症状の重さや個人差によって異なります。ここでは一般的にどのくらいの期間が想定されるのか、その目安を紹介します。
鬱病で休職する期間は、軽度から中等度の場合には数週間から数カ月程度とされることが多いです。一方で、症状が重度の場合には1年以上休職するケースも見られます。実際の休職期間は、主治医の診断や本人の回復具合、そして会社の就業規則や産業医の判断によって左右される部分が大きいでしょう。休職期間を正確に見極めるためには早めに医師の診断を受け、治療方針を明確にすることが重要です。
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鬱病で休職する際の職場側の対応

従業員が鬱病で休職する場合、会社として行うべき対応と手続きをしっかり理解しておくことが重要です。適切なサポートを行うことで、従業員の回復やスムーズな復帰につなげることができます。
最初のステップとして、従業員が診断書を提出できるように周知することや、相談しやすい窓口を用意しておくことが大切です。その後、有給休暇の残日数や会社の休業制度を確認し、休職に入る従業員が制度を正しく利用できるように案内する必要があります。また、従業員の負担を軽減するためには、休職直前に業務引き継ぎを円滑に進めることも欠かせません。会社側が適切に対応すれば、休職者だけでなく職場全体の仕事が円滑に回るメリットもあります。
従業員から診断書を受け取る
鬱病で休職する際には、必ず医師の診断書が必要となります。提出された診断書には、病名や治療期間、配慮すべき事項が記載されているため、企業側としてはそれを正確に把握しましょう。診断内容を踏まえて、従業員に必要なサポートを提案したり、職場での配慮事項を検討することが大切です。
有給休暇の残日数と就業規則を確認
休職に入る前に、まずは従業員の残りの有給休暇を確認することが重要です。有給休暇を消化することで収入を一定程度確保できる場合もあります。また、就業規則にもとづく休職制度がどのように運用されるかを再度確認し、休職期間や給付を受ける条件などを従業員に説明することが大切です。
休職制度について従業員に説明
会社の就業規則にある休職制度は、給与や社会保険などの待遇面に大きく関わるため、分かりやすく情報提供を行う必要があります。特に傷病手当金の申請手続きや、会社が独自で運用している支援制度など、従業員が休職期間中に受け取れる補償やサポートを丁寧に案内しましょう。理解が十分でないまま休職してしまうと、経済的な不安から回復を阻害する恐れがあるため注意が必要です。
以下の内容も説明すると良いでしょう。
- 復帰が難しいとされる場合の解雇事由
- 休業期間と延長の有無
- 休業期間中の給与
- 傷病手当金
- 休職中の社会保険料負担について
- 休職期間中の会社との連絡方法
- 復帰に向けての手続き
後のトラブルに繋がらないよう、しっかり説明しましょう。
休職前に業務を引き継ぐ
休職者が担当している業務を社内で誰がどのように担当するかを早めに決定し、スムーズに引き継ぎを実施します。配慮が必要なケースでは、本人や周囲とのコミュニケーションを慎重に行い、負担の偏りが生じないように計画を立てることが大切です。休職前にある程度業務内容を整理しておくことで、職場全体の混乱や業務の停滞を回避できます。
鬱病の早期発見・診断の重要性
鬱病は初期症状を見逃さず、早期に診断と治療を開始することが、休職期間を短縮し従業員の負担を軽減する重要な鍵となります。
鬱病は、長時間労働や人間関係のトラブルなどから生じる強いストレスが引き金になるケースが多くみられます。最初は気分の落ち込みや意欲の低下といった軽度の症状であっても、そのまま放置すると状態が深刻化して長期休職を余儀なくされる恐れがあります。従業員が早めにメンタル面の不調を相談できる環境を整え、管理職や産業医と連携して必要な診断やサポートにつなげることが、企業にとっても従業員にとっても効果的です。
鬱病で休職する従業員が利用できる給付金と制度

休職する従業員が利用できる公的支援や会社の制度には、どのようなものがあるのでしょうか。給付金をはじめ、主な支援制度を紹介します。
鬱病で休職する場合、多くの従業員は経済的な不安と向き合う必要があります。そこで、労災保険や傷病手当金などの補償制度を正しく活用することが重要です。また、自立支援医療制度をはじめとした行政のサポートを上手に利用することで、医療費の負担を軽減しつつ治療に専念しやすい環境を整えることができます。会社としても、これらの制度の概要や手続き方法を周知し、従業員が必要な情報をスムーズにつかめるようにしておくとよいでしょう。
労災保険
業務中や通勤中のストレス原因が鬱病につながった場合には、労災保険の適用が検討されます。労災保険は、治療費や休業補償など幅広いサポートを受けられる制度ですが、対象となるかどうかの判断には客観的な証拠や診断書の内容が重要です。企業としては、業務との因果関係を適切に調査し、必要であれば申請に必要な資料の準備をサポートすることが求められます。
① 認定基準の対象となる精神障害を発病していること
② 認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か⽉の間に、業務 による強い⼼理的負荷が認められること
③ 業務以外の⼼理的負荷や個体側要因により発病したとは認められない こと
出典:労精神障害の労災補償について|厚生労働省
傷病手当金
健康保険に加入している従業員が一定の条件を満たした場合、給料の2/3程度が支給される傷病手当金は、休職中の生活費を補う重要な給付制度です。申請する際には従業員本人の記入用紙に加え、企業や産業医の記入箇所もあるため、迅速に手続きできるよう社内体制を整えておく必要があります。給付を受けるためには休職期間や何日目から発生するかなど、細かい要件を理解しておくことが欠かせません。
出典:全国健康保険協会 | 傷病手当金
自立支援医療制度
精神疾患の治療を受ける患者の医療費を軽減するのが自立支援医療制度です。適用されると治療費の一部が助成され、長期的な通院やカウンセリングにも精神的・経済的余裕を持って取り組めるようになります。鬱病は特に継続的なケアが重要な疾患であるため、当事者の負担を軽くする制度を周知し、スムーズに申請できるようサポートすることが望ましいでしょう。
出典:厚生労働省 | 自立支援医療制度の概要
職場復帰の際も慎重に
復職は従業員の健康状態や職場環境を踏まえて慎重に進めることが大切です。ここでは、復職プランの立て方やフォローの必要性について解説します。
従業員が鬱病から回復して復職を検討する際には、主治医や産業医との連携が何よりも大事になります。復帰時期や働き方を話し合い、短時間勤務や業務内容の調整といった選択肢を柔軟に用意することで、再発リスクを減らすことができます。また、復職後にも定期的な面談やストレスチェックを実施し、従業員が無理なく働き続けられるようフォローしていく姿勢が重要です。
休職中に心掛ける適切な休養法
休職中は治療を最優先するとともに、適切な休養を心掛けることが回復の鍵になります。心の休め方や日常の過ごし方のポイントを紹介します。
まずは生活リズムを整え、早寝早起きを意識するなど規則正しい生活を送ることが大切です。心身の回復を促すためには適度な運動や気晴らしも効果的ですが、無理をしない範囲で進めることが肝心です。また、家族や友人に相談しながらリラックスできる時間を確保することで、孤独感を和らげながら不安の軽減につなげることもできます。
鬱病の治療方針
鬱病の治療方法は多岐にわたります。薬物療法やカウンセリングなど代表的な治療方針と、会社が理解しておくべきポイントをまとめます。
鬱病の治療では、医師が処方する抗うつ薬などの薬物療法とあわせて、カウンセリングや認知行動療法を取り入れることが一般的です。これらの治療はそれぞれに時間がかかるため、本人が安心して治療を継続できるように会社側が配慮する姿勢が求められます。定期的な通院日やカウンセリングの時間を確保しやすい勤務形態を検討することで、従業員にとっても治療と仕事の両立が容易になるでしょう。
従業員のメンタルヘルスケアに「HELPO」
鬱病による休職者を減らしたい、また、休職している従業員のケアを行いたい経営者や人事労務担当者におすすめなのがヘルスケアアプリ「HELPO(ヘルポ)」です。「HELPO」は、24時間365日、チャットで医療専門チームにいつでも相談できるスマホアプリです。医療専門チームには医師や薬剤師、看護師が在籍しているため、幅広い相談内容に対応できます。
仕事で忙しくてなかなか病院に行けない方でも、いつでも相談したい時に利用できるため従業員の安心感に繋がるでしょう。休職中に不安が襲ってきた時に病院が休みでも、「HELPO」なら相談できます。また、予約なしでオンライン診療も可能です。従業員のメンタルヘルスケアにぜひ導入を検討してみてください。
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休職リスクを見つける!健康管理システム「Well-Gate」
自社でストレスチェック機能も含まれた健康管理システムの導入を進めていきたいとお考えの方には、「健康管理システム「Well-Gate(ウェルゲート)」」の導入もおすすめです。「Well-Gate」は定期健康診断結果やストレスチェック、勤怠情報など従業員のあらゆる健康データを一元管理することが可能です。これにより企業の人事労務担当者の業務効率化を図りながら休職リスクのある従業員を可視化し、早期に適切なフォローアップにつなげることができます。
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まとめ
鬱病による休職を減らすためには、管理職や産業医が連携し、職場におけるメンタルヘルスケアの仕組みを強化することが大切です。例えば、定期的なストレスチェックや面談を実施し、従業員が不調を感じたときに早期にケアを受けられる体制を整えるとよいでしょう。また、社内の風通しを良くし、相談しやすい環境を作ることが、重症化を防ぎ休職数を抑える鍵となります。
職場全体でメンタルヘルスの重要性を理解し、継続的にフォローアップを行う仕組みを作ることで、従業員の健康と企業の生産性を同時に守ることが可能となるでしょう。
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