従業員がうつ病で休職する際の職場側の対応・気を付けるべきことは?

厚生労働省の「令和3年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、メンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休業した・退職した従業員がいた事業所の割合は、令和2年が9.2%だったのに対し、令和3年は10.1%でした。うつ病などの精神障害で従業員が休職する場合は、慎重な対応が必要です。しかし、うつ病で休職する従業員の「対応がわからない」「休職制度がよく理解できていない」という方もいるでしょう。

そこで本記事では、うつ病などの精神障害で休職する従業員に対する対応や給付金、制度を詳しく解説します。

うつ病による休職の平均期間は?

【休職願】のイメージ_バインダーに挟まれた休職願

厚生労働省の「主治医と産業医の連携に関する有効な手法の提案に関する研究」によると、メンタル不調を理由とした休職である場合、休職の平均期間は107日(約3.5ヶ月)とされています。また、復職後に再休職した場合の休職平均期間は157日(約5ヶ月)と、2回目の休職日数が長くなる傾向にあるようです。

うつ病で休職する際の職場側の対応

【対策】のイメージ_腕を組む男性

うつ病などのメンタル不調で休職する場合の職場側の対応には、以下の4つが挙げられます。

  • 従業員から診断書を受け取る
  • 有給休暇の残日数と就業規則を確認
  • 休職制度について従業員に説明
  • 休職前に業務を引き継ぐ

ここではそれぞれ詳細を解説します。

従業員から診断書を受け取る

うつ病などのメンタル不調で従業員を休職させる場合には、休職が必要かを確認しなければなりません。従業員から上司に、主治医による診断書(病気休業診断書)を提出してもらいましょう。

診断書には「病名」「働くことができない理由」「働くことができない期間」の3つを記載してもらいます。上司は、人事労務管理担当者に診断書の提出があったことを伝えます。

有給休暇の残日数と就業規則を確認

休職する際には、必ず就業規則を確認しましょう。確認する就業規則は「休職開始事由」「休職期間」「休職期間中の給与」「社会保険料の負担」「休職期間中の会社との連絡」「復職する際の手続き」「復職できない場合の手続き」の7つが挙げられます。

企業によっては、働いていない場合に賃金を払う義務がない「ノーワークノーペイ」を原則にしているところもあるでしょう。休職中は無給になってしまうため、有給休暇を消化してから休職に入れるようにすれば、従業員も安心できるはずです。

休職制度について従業員に説明

休職制度の内容を従業員に説明します。

休職とは、ある従業員を労務に従事させることが困難な場合、または不適当な事由が生じた際に、雇用関係を維持したまま一定期間労務への従事を免除・禁止することです。なお、業務外の原因による疾病を理由に従業員が労務を提供できない場合、従業員の債務不履行になります。休職制度は、従業員が労務を提供しないことを一定期間「債務不履行」と扱わず、労務への従事を免除できる制度です。

上記の旨を従業員に説明しましょう。また、以下の内容も説明します。

  • 休業期間と延長の有無
  • 休業期間中の給与
  • 傷病手当金
  • 休職中の社会保険料負担について
  • 休職期間中の会社との連絡方法
  • 復帰に向けての手続き
  • 復帰が難しいとされる場合の解雇事由

後のトラブルに繋がらないよう、しっかり説明しましょう。

休職前に業務を引き継ぐ

休職前に業務を引き継ぐ必要があります。引き継ぎの際は、「従業員の体調に応じて実施する」「引き継ぎの必要が生じた理由を本人の許可なく共有しない」の2点に注意しましょう。

医師から休職の指示を受けている場合は、引き継ぎが長引くことで病気が悪化する恐れもあります。早急に担当者を決め、引き継ぎをスムーズに行いましょう。休職する本人は他の人に病気のことを知られたくない場合もあるため、本人の許可がない限りは口外しないようにしましょう。

うつ病で休職する従業員が利用できる給付金と制度

【ポイント】イメージ_男性が人差し指を立てている様子

ここでは、うつ病などのメンタルヘルス不調で休職する従業員が利用できる給付金と制度を詳しく解説します。

労災保険

労災保険とは、従業員が業務上の事由または通勤による病気や怪我・障害、死亡した場合に、従業員やその遺族に保険給付を行う制度です。うつ病などの精神障害の労災認定には、以下の3つの要件を満たす必要があります。

  • 認定基準の対象となる精神障害を発症していること
  • 発症前のおおむね6ヶ月以内に、業務による強い心理的負担が認められたこと
  • 業務以外の心理的負担や個体側要因による発病だとは言えないこと

個体側要因には、アルコール依存症や精神障害の既往歴などが挙げられます。

傷病手当金

傷病手当金とは、病気休業中に健康保険から支給される手当金のことです。傷病手当金の支給を受けるには、以下4つの要件を満たす必要があります。

  • 業務外の病気や怪我による療養中であること
  • 医師によって労務不能であると診断されていること
  • 療養のために連続3日を除いて4日以上、仕事を休んでいること
  • 休職中の給与が支払われないこと

自立支援医療制度

自立支援医療制度とは、心身障害の治療にかかる医療費の自己負担額を軽減できる制度のことです。公的医療保険による医療費の自己負担は、小学生以上~70歳未満の方は通常3割ですが、自立支援医療制度の適用により、1割まで軽減できます。

うつ病などの精神障害の場合、継続的に通院が必要になるため従業員の負担も大きくなります。休職する従業員には、自立支援医療制度が申請できる旨を伝えると良いでしょう。

職場復帰の際も慎重に

従業員が職場復帰する際は、「従業員の職場復帰に対する意見」「職場環境の評価」などの情報を集め、復帰が可能か否かについて総合的に判断する必要があります。医師からの診断書で復帰の判断がしにくい場合は、産業医が主治医の意見を確認(従業員の同意が必要)すると良いでしょう。

試し出勤のように、休職者の復職をスムーズに進められるよう徐々に復帰させるのが一般的です。また、復職に向けたリワークプログラムを案内し、復職できるよう支援する方法もあります。

うつ病の治療方針

うつ病の治療には、「休養」「薬物療法」「相談・精神療法・心理療法」の3つの柱があります。その中でも重要なのが「休養」です。うつ病を含むメンタルヘルス不調は、頭を酷使し、心身が疲れ切っている状態です。休養により働きを制限させることで、自然治癒力を発揮できます。

休職して治療する以外にも、仕事量を制限して働きながら治療することも可能ですが、いずれにしても活動量を減らす必要があります。

従業員のメンタルヘルスケアに「HELPO」

うつ病による休職者を減らしたい、また、休職している従業員のケアを行いたい経営者や人事労務担当者におすすめなのがヘルスケアアプリ「HELPO(ヘルポ)」です。「HELPO」は、24時間365日、チャットで医療専門チームにいつでも相談できるスマホアプリです。医療専門チームには医師や薬剤師、看護師が在籍しているため、幅広い相談内容に対応できます。

仕事で忙しくてなかなか病院に行けない方でも、いつでも相談したい時に利用できるため従業員の安心感に繋がるでしょう。休職中に不安が襲ってきた時に病院が休みでも、「HELPO」なら相談できます。また、予約なしでオンライン診療も可能です。従業員のメンタルヘルスケアにぜひ導入を検討してみてください。

うつ病で休職する従業員を減らしましょう

うつ病など精神疾患で休職する従業員への対応は、慎重に行わないと病状を悪化させる可能性もあるため注意が必要です。休職開始までに就業規則を確認し、従業員に利用できる給付金や制度などを案内しましょう。また、復帰の際は試し出勤などで段階的に復帰させるなど、慎重に行わなければなりません。うつ病で休職する従業員が出てしまうこともありますが、少しでも減らせるよう、職場環境の改善やメンタルヘルスケアなどの対策を行うのがおすすめです。

従業員のメンタルヘルスケアを行いたいなら「HELPO」を利用してみてはいかがでしょうか。働いている従業員はもちろん、休職中の従業員も利用できるサービスです。気になる方は、ぜひ導入を検討してみてください。

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