社員の健康管理は企業の義務!健康管理を行うメリットと6つの施策

企業が従業員の健康管理にしっかりと取り組むことは、法的義務であるだけでなく、人道的・経営的観点からも極めて重要です。健康を維持できる職場環境が整えば、従業員のモチベーションが向上し、生産性や定着率の改善にもつながります。
また、健康経営に積極的な企業姿勢は、社会的評価や企業ブランドの向上にも寄与し、広範なメリットをもたらします。

本記事では、企業が従業員の健康管理に取り組むべき理由、法的な背景、得られるメリット、そして実践的な6つの施策を解説します。

本記事は健康経営エキスパートアドバイザーの中島利保さんによる監修を受けています。

▼従業員の休職リスクを見つける健康管理システム「Well-Gate

WellGateサービスの画像

社員の健康管理は企業の義務である

「安心」のイメージ_笑顔で胸に手を当てる2名の女性と1名の男性

社員の健康を守ることは企業の義務です。企業には、安全配慮義務という法的責任が課されており、従業員の心身の安全と健康を維持するための環境整備が求められます。万一、過労や職場環境の悪化が原因で重大な健康被害が発生した場合、企業が損害賠償を請求されるケースもあり得るため、適切な予防と管理が欠かせません。

また、人道的な側面からも社員の健康は最優先事項といえます。企業活動において、従業員が安心して働ける環境を用意することは、企業責任として当然ながら期待されることです。さらに、健康経営として戦略的に取り組むことで、従業員の働く意欲が高まり、企業全体の生産性や離職率改善など、プラスの効果が表れやすくなります。

安全配慮義務とは

2008年施行の労働契約法の中で、「企業は従業員の生命や身体の安全を確保しながら働けるよう配慮する義務がある」と明確に提示されています。「安全配慮義務」とは、労働契約法第5条に定められている、従業員の生命や身体の危険から保護できる環境を作ることです。安全配慮義務内の4つのポイントについて詳しく解説します。

適正労働条件措置義務

適性労働条件措置義務とは、従業員が過重労働などの原因で心身の健康を害さないよう、労働条件を改善、調整することです。従業員の労働時間や休憩時間、休日数、休憩場所の環境、人員配置などの条件を適正に保つために、必要な対策が企業側に求められています。

特に重視されているのが労働時間の長さです。長時間残業など過剰労働による過労死や自殺が社会問題に発展しています。適正な労働条件を確保、管理することは、企業が最優先で取り組むべき対策のひとつといえるでしょう。

健康管理義務

健康管理義務は、従業員の心身の健康状態を把握するために健康診断を実施する義務を指します。健康診断や人間ドック、メンタルヘルス対策など、従業員の健康状態の把握と健康管理に努めることで、体調不良や疾患の発症、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことが可能です。

企業は、労働安全衛生法に基づき、従業員の定期的な健康診断を実施することが義務付けられています。また、健康診断後は結果に基づき、従業員に対して適切な処置を取ることも重要です。

適正労働義務

適性労働義務は、従業員の年齢や健康状態に配慮し、症状に応じた措置を取る義務です。企業側は従業員個人の持病や病歴、体調状態などを考慮して、労働時間や労働量、就労環境などの適正な措置を実施します。

また、従業員が業務中の何らかの影響を受けて心身の不調を訴えた場合や、持病があると知っていながら、企業が適切に対応しなかった場合、安全配慮義務違反とみなされる可能性が高いでしょう。現状は健康的に問題がなくても、急に体調不良を起こす可能性はゼロではありません。急な事態にも適切な対応ができるよう、社内体制を整えておく必要があります。

看護・治療義務

看護・治療義務は、従業員が病気や怪我をした際に、適切な治療や看護を行う義務です。従業員が業務による不調や怪我、精神的な障害を発症した場合、適切な対処を行うことはもちろん、発症した可能性が疑われる状態にも、対応する必要があります。

従業員の異変にいち早く気づき、悪化しないための対策を適切に講じられるよう、日頃から適度なコミュニケーションを心がけましょう。部下や同僚に少しでも異変が見られる際は、病院を受診するよう促すことも大切です。

こちらの記事もおすすめ:安全衛生委員会とは?目的・設置基準・構成メンバー・審議内容を解説

健康管理が業績向上につながる理由

従業員の健康状態が良好であれば、仕事への集中力やエンゲージメント(仕事への熱意)が高まり、結果として生産性の向上につながります。
一方、健康管理が不十分だと、欠勤・休職・離職のリスクが高まり、業務の停滞や人件費の増加を招きます。健康経営への投資は、こうした「見えにくい損失」を未然に防ぐための施策としても有効です。

▼従業員の休職リスクを見つける健康管理システム「Well-Gate

WellGateサービスの画像

社員の健康管理を行うメリット

「ステップ」のイメージ_ビルの間を生き生きと歩く男性

ここからは、社員の健康管理を行うことで期待できるメリットを、具体的に紹介していきます。メリットを理解することで、法的な義務という理由以上に社員の健康管理に役立つ対策の導入につながるでしょう。業績アップや事業拡大に欠かせない健康経営の実現に向けて、自社におけるメリットを考えてみましょう。

生産性の向上

従業員の心身の健康維持は、業務での生産性向上につながります。企業全体における健康経営を実践することで、従業員のライフワークバランスが実現され、従業員の仕事に対する活力やモチベーションの向上が期待できます。

社員の健康に配慮された職場は活気に溢れており、従業員が前向きに仕事に取り組めるため、業績アップや利益向上も見込めます。実際に、健康管理に関する取り組みを導入している多くの企業が、労働生産性の向上と業務効率化を目的として挙げています。

休職者の減少と離職率の改善

適切な健康管理が職場に浸透することで、休職者や離職者の減少が期待できます。心身の健康が損なわれてしまうと、一時的な休職や離職の確率が高まり、必要な人材の確保が難しくなるでしょう。近年は、特にメンタルヘルス不調を訴える人が増えており、社会問題としても注目される中、労働環境の改善や整備が特に求められています。

従業員が健康に働ける職場では、業務に対して前向きな姿勢を保てるため、定着率アップにつながります。健康経営を意識した対策の実践により、欠勤率の改善も期待できるでしょう。

こちらの記事もおすすめ:メンタルヘルスとは?意味や具体的な症状など解説 – HELPOマガジン

企業イメージの向上

社員の健康管理への取り組みは、企業のイメージアップに貢献します。従業員の健康に配慮した企業は、外部からも良い印象を持たれ、逆に過酷な労働条件や労働環境の企業はブラック企業というイメージが定着するでしょう。従業員の健康管理に継続的に取り組み、実績を出すことで評価され、企業イメージ向上が図れます。

企業のブランディングや商品・サービスのユーザーへのアピールとしても効果的です。また、人材採用にアピールポイントとして活用できるため、結果的にさらに最適な人材の確保につながります。

経営リスクの軽減

社員の健康管理は、安定した会社経営のためのリスクの軽減にも有効です。社員の健康管理を疎かにした状態で放置したりすると、業務中の事故や過労死が起きる可能性が高まるでしょう。もし労働災害が発生すると、安全配慮義務の履行義務を怠ったとされ、企業側は多額の賠償責任を支払う必要があります。

企業ができる社員の健康管理の6つの取り組み

「ヘルスケア」のイメージ_ハート型の紙を持つ医師

社員の健康管理を実際に進めるために、企業として具体的に取り組める6つの方法を紹介します。

健康管理施策は、一度にすべてを実践しようとすると難しさがあるかもしれません。しかし、継続的に少しずつ改善を進めることで、着実に社員の健康状態を底上げできます。企業の現状を踏まえ、優先度の高いところから導入することで、無理なく成果を得られるでしょう。

長時間労働の削減

長時間労働は、疲労の蓄積やワーク・ライフ・バランスの崩壊を招き、社員のメンタル面にも悪影響を及ぼします。まずは残業時間の上限を明確に設定し、部署や職務ごとに作業量を見直すことが重要です。部門間で協力して業務を分担するなど、余裕ある勤務体制を整えていくことで過労によるトラブルを予防し、健康を守る土台を築きましょう。

また、労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)では、法定労働時間を超える時間外労働や休日勤務は、「時間外・休日労働に関する協定届」を提出する必要があります。36協定に違反している場合は法律違反として懲役や罰則が課せられるため、直ちに改善が必要です。

健康診断の実施

定期的な健康診断は、健康管理の大前提です。社内での健康診断の実施は、企業の義務として労働安全衛生法第66条で定められており、従業員全員が受ける必要があります。
従業員の身体的な健康状態を定期的にチェックすることは、早期発見と予防に欠かせません。法定の健康診断以外にも、オプション検査や人間ドックを取り入れる企業が増えています。受診しやすい日時の設定や、検査結果を受けてのフォローアップ体制を整えることで、社員が安心して健康を維持できる環境を作ることができます。

出典:厚生労働省「労働安全衛生法 第66条」

こちらの記事もおすすめ:会社における健康診断の実施義務と健康管理システムの活用法

ストレスチェックの実施

労働安全衛生法の改正によって、労働者が50人以上の事業場では、年1回のストレスチェック実施が義務付けられています。また、50人未満の小規模事業所についても、ついに法的な義務化が正式に決定され、現時点では、2028年4月ごろの施行が見込まれています。

従業員が感じているストレス要因を可視化することで、組織として早期の対策を打ち出しやすくなります。ストレスチェックの結果をグループ分析すれば、職場風土や業務内容に潜む問題点も把握しやすく、社員を守る取り組みの大きな指針となります。

こちらの記事もおすすめ:ストレスチェックは50人未満の企業でも義務化?最新動向と対策

健康管理に関して学ぶ機会を設ける

社内研修やセミナーを通じて、従業員が自らの健康管理に主体的に取り組めるようサポートすることも大切です。食事や運動、睡眠の管理方法といった基礎知識だけでなく、ストレスマネジメントや上手な休息方法なども学ぶ場を提供すると効果的です。こうした知識の共有は、社員同士のコミュニケーションを活性化し、より健康的な職場文化を根付かせるきっかけにもなります。

福利厚生サービスの充実

適切な福利厚生は、社員の健康維持とモチベーション向上に大きく貢献します。スポーツジムの利用補助や休暇制度の拡充、健康相談窓口の設置など、さまざまなアプローチで社員が健康を意識しやすい環境を作り出すと良いでしょう。これにより、社員は自らの生活スタイルを見直す機会を得て、心身のバランスを保ちやすくなります。

こちらの記事もおすすめ:良い福利厚生の基準は?従業員にとってあると嬉しい福利厚生

相談窓口を設置する

社内外に相談しやすい窓口を設置することで、社員が抱える健康面や精神面での不安や悩みを早期に察知できます。守秘義務を徹底した専門スタッフや産業医を配置することで、安心して相談できる環境を整えることが重要です。早期に対処すれば深刻化を防ぎ、結果として休職や離職リスクを減らし、従業員満足度の向上も期待できます。

こちらの記事もおすすめ:企業カウンセラーとは?社内カウンセリングの利用率などをご紹介

メンタルヘルスケアの重要性

社員の心の健康を守ることも重要です。うつ病や適応障害などのリスクを未然に防ぐため、メンタルヘルスケアの取り組みを強化しましょう。

メンタルヘルスケアの取り組みは、心身のバランスを維持するうえで不可欠な要素です。定期的なストレスチェックや専用の相談窓口を設けることはもちろん、管理職がメンタル面の知識を持ち、早期に部下をサポートできる体制を作ることが重要です。企業がこうした環境を用意していると、従業員は安心して働くことができ、高いモチベーションを維持しやすくなります。

こちらの記事もおすすめ:メンタルヘルスとは?意味や具体的な症状など解説 – HELPOマガジン

社員の健康管理に「HELPO」「Well-Gate」をご活用ください

社員の健康管理は、企業での取り組みだけでなく個人の意識や対策の実践が欠かせません。食事や運動などの生活習慣を効果的に改善するためには、従業員が自身の健康を見直す必要があります。

従業員の健康を支えるサービスとして、ヘルスケアテクノロジーズが提供している「HELPO(へルポ)」「Well-Gate(ウェルゲート)」紹介します。
「HELPO」は未病と呼ばれる体調が悪くなり始めたときや、ちょっとした身体の不安や不調を医師・看護師・薬剤師などの医療専門チームに24時間365日、気軽に何度でも相談できるオンラインヘルスケアサービスです。
健康医療相談やオンライン診療機能も提供する「HELPO」のようなサービスを活用すれば、社員はいつでもどこでも医療専門家に相談ができるため、体調不良やメンタル面の不安を素早く解消しやすくなります。

「Well-Gate」は定期健康診断結果やストレスチェック、勤怠管理システムから抽出した労働時間のデータ投入が可能など従業員のあらゆる健康データを一元管理することが可能な健康データ管理サービスです。
業務効率化だけでなく、休職リスクの高い従業員を早期に発見できるため、企業側も早めの対策実施により休職・離職者を抑えることが出来ます。

社員の健康を守る、これらの健康管理サービスの導入を検討してみると良いでしょう。

まとめ

「良い職場環境」のイメージ_笑顔で談笑する複数名の男女

社員の健康管理は企業が果たすべき重要な役割であり、経営上のメリットも大きい取り組みです。法的義務とともに、社員の健康と企業の成果向上を両立させる健康管理を進めましょう。

従業員が安心して働ける環境を整えることは、企業としての社会的責任であると同時に、競争力強化にもつながります。健康経営の導入や安全配慮義務の徹底は、労働生産性の向上や離職率の低下など、事業成長に直結するメリットが数多く得られます。ぜひ自社の状況に合わせて健康管理施策を計画・実施し、社員の健康と企業の発展を両立させていきましょう。

ヘルスケアアプリ「HELPO」サービス画像

この記事の監修者:健康経営エキスパートアドバイザー 中島 利保

略歴:看護師および上級心理カウンセラーの資格を持ち、企業での健康管理とメンタルヘルス支援に従事。現在、HELPOの健康相談も担当し、働く人の心身の健康づくりに取り組んでいる。


「サービス紹介をみる」バナー
「アプリを利用する」バナー
「問い合わせする」バナー