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健康経営を実現する福利厚生|メリットとサービスを解説
近年、多くの企業が従業員の健康を重視し、積極的に健康経営に取り組む流れが加速しています。健康経営とは、従業員の健康を経営視点で捉え、企業の成長戦略として維持・増進を図ることです。この取り組みにおいて、重要な役割を果たすのが福利厚生です。
本記事では、健康経営の基礎的な内容やメリット、法定福利と法定外福利の違いなどを解説しながら、実際に健康経営を実現している事例も合わせて紹介します。ぜひ自社の健康経営の取り組み、そして福利厚生サービスの導入・強化に役立ててください。
※「健康経営」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。


本記事は健康経営エキスパートアドバイザーの中島利保さんによる監修を受けています。
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目次
健康経営とは
健康経営は、従業員の健康を企業の重要な経営資源と捉え、長期的な視点で社員の健康を定着・向上させる取り組みです。
健康経営の概念は、1990年代にアメリカで「従業員の健康を高めることが企業の収益性向上につながる」という考え方から提唱されました。従来の健康管理には、社会保険や健康診断の実施といった最低限のサポートが中心でしたが、近年は従業員の生活習慣やメンタル支援を重視した包括的な取り組みが求められています。こうした中で経済産業省が推進する健康経営の枠組みが、企業の取り組みに大きく寄与しています。
健康経営の大きな特徴は「経営視点で健康施策を捉える」点にあります。企業が戦略の一環として、健康保持・増進を施策化することで、従業員が心身ともに健やかに働ける環境をつくることができます。結果として、生産性やブランドイメージの向上につながるため、長期的な企業価値の創出にも大きなメリットがあります。
日本では2014年度に「健康経営銘柄」の選定が開始され、2016年度に「健康経営優良法人」認定制度が創設、2017年に初回認定が実施されました。
出典:経済産業省
法定福利と法定外福利の違い
福利厚生には法律で義務づけられた法定福利と、企業が自主的に導入する法定外福利の2種類が存在します。企業が従業員の健康を支援するうえで、まず理解しておきたいのが法定福利と法定外福利の違いです。詳しく見ていきましょう。
法定福利の概要
法定福利は、従業員の生活を最低限保障するために法律で定められた制度です。代表的なものとして健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険があります。これらの制度を企業が適切に運用することで、従業員は万一の事故や疾病時にも必要なサポートを受けられる環境が整います。
法定外福利の概要
法定外福利は企業独自に設定できるため、多岐にわたるサービスや支援策を導入しやすいのが特徴です。例えば、住宅手当や食事補助、レクリエーション費用の補助なども法定外福利に含まれ、近年では総合的な福利厚生サービスを提供する外部企業との提携も増えています。健康経営を推進する企業にとっては、従業員の健康増進につながる施策を自由に企画できる点が大きな魅力といえるでしょう。
健康経営と福利厚生の関係
健康経営を推進する上で欠かせないのが、従業員の健康をサポートするための福利厚生です。両者の関係を整理します。
健康経営において重要なのは、従業員が実際に健康施策の恩恵を感じ、継続的な健康意識を育める環境づくりです。福利厚生はそのための大切な手段であり、企業が用意する制度や支援策を通して従業員が心身をケアできるメリットがあります。例えば健康診断後のフォローアップ相談やメンタルヘルスケアが充実していると、従業員が自分の健康状態を把握し、必要な改善策をとりやすくなります。
また、福利厚生は一度導入して終わりではなく、定期的な見直しが求められます。従業員のライフステージや社会情勢の変化に合わせて制度を柔軟に変えていくことで、その時期に最適な健康支援が可能となります。こうした継続的な運用こそが、企業にとっての健康経営の本質的な成果をもたらします。
健康経営に取り組むメリット

健康経営を導入することで、企業側・従業員側の両方に多くのメリットが期待できます。
健康経営の導入は、単に従業員の健康リスクを低減するだけでなく、企業全体のパフォーマンスを底上げする効果が期待できます。それぞれの効果を詳しく見ていきましょう。
生産性の向上
従業員の心身の不調が解消されることで、業務への集中力やモチベーションが高まります。特にデスクワークが中心の職場では、体調不良やストレスによる生産性低下が目立ちやすいため、健康施策の効果が如実に現れます。結果として、組織全体のパフォーマンスが向上し、イノベーションや売上にも好影響をもたらします。
離職率の低下
健康管理が行き届いている企業では、従業員が安心して長く働ける環境が整備されやすくなります。定期的な健康診断やメンタルサポートを受けられると、従業員は企業から大切にされていると感じ、組織への信頼感も高まります。こうした心理的安全性の確保は離職率の低下だけでなく、社内のコミュニケーション活性化にもつながります。
採用活動でのアピールになる
健康経営に注力している企業は、求職者からの注目度が高まります。就職・転職の際に、企業の健康経営の取り組みを重視する人材も増えており、しっかりした福利厚生や健康支援制度を整えているかは重要なアピールポイントです。結果として、健康意識の高い優秀な人材を惹きつけることができ、企業としての競争力改善にも貢献します。
企業イメージの向上
健康経営に取り組む企業は、社会的に「従業員を大切にしている会社」として評価される傾向にあります。銀行などの金融機関からの融資条件で優遇されるケースや、ステークホルダーからの信頼度向上など、目に見える形でのメリットも得られやすくなります。さらに、企業イメージが高まると商品やサービスに対するブランド価値も上昇し、長期的な事業成長にもプラスに働きます。
健康支援を行う福利厚生の主な種類
健康経営における福利厚生の具体的内容は、運動や食事、メンタルヘルスなど多方面にわたります。
健康経営が注目される中、どのような福利厚生を整備すれば従業員が実際に健康を意識できるのか、悩む企業は少なくありません。従業員の健康は運動、栄養、メンタルヘルスなど多角的なケアが求められるため、幅広い施策を組み合わせることが望まれます。また、各企業の制度設計によって取り組む内容は大きく異なるので、自社の現状分析が第一歩となります。
運動不足の解消
運動不足はデスクワーク中心の職場では深刻な問題となりがちです。企業が行う具体的な福利厚生として、スポーツジム利用費の一部補助や、ヨガ・ストレッチなどの社内プログラム開催が挙げられます。身体を動かす機会を増やすことで筋力向上だけでなく、気分転換やストレス解消効果も期待できるのがメリットです。
食生活・栄養サポート
健康的な食生活を維持するには、栄養バランスの取れた食事を継続的に摂取することが大切です。社食のメニューを健康重視に切り替えたり、栄養士によるカウンセリングを設置したりする企業も少なくありません。日々の食事を整えることで、生活習慣病の予防や体力の増進につながります。
メンタルヘルスケア
メンタルヘルスケアは、企業が従業員の精神的な健康を守るうえで非常に重要な支援策です。ストレスチェックの実施や外部カウンセラーとの連携により、従業員が抱える悩みやストレスを早期に発見し、対処することができます。結果的に、生産性向上や職場の人間関係の改善にも寄与するするため、健康経営には欠かせない取り組みといえるでしょう。
こちらの記事もおすすめ:メンタルヘルスとは?意味や具体的な症状など解説 – HELPOマガジン
禁煙・生活習慣病対策
喫煙習慣や偏った食事など、生活習慣病のリスク要因を改善する福利厚生も見逃せません。例えば禁煙外来への補助や健康指導の実施などによって、従業員が健康リスクを自覚しやすくなります。予防に重きを置いた施策は、長期的には企業の医療費負担削減や欠勤率低下といった効果も期待できます。
健康経営優良法人について

健康経営を推進する企業を可視化する制度として、経済産業省が主導する健康経営優良法人認定制度があります。
この認定制度は、経済産業省が健康経営に取り組む企業を表彰するもので、従業員の健康保持・増進に対する企業の姿勢を社会へアピールする機会にもなります。
健康経営優良法人の概要と要件
健康経営優良法人の概要としては、企業が自社の健康経営に関する方針や目標設定を行い、それを実行・評価する仕組みを持っているかが重視されます。例えば健康診断受診率の向上や禁煙施策の実施率といった定量的な指標をもとに、成果を定期的にチェックすることが求められます。こうしたプロセスを公開することで、社会的な信頼を得るのが狙いです。
認定を目指すメリット
健康経営優良法人認定を目指すことには、企業イメージや信用度の向上以外にもさまざまな恩恵があります。銀行からの融資条件が有利になったり、地方自治体から助成や表彰を受けたりする事例も報告されています。また、健康経営優良法人の認定を取得するプロセス自体が、企業内の健康施策を見直すきっかけとなるため、組織力の底上げにも寄与します。
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健康経営を実現する福利厚生の導入ポイント
効果的に健康経営を進めるためには、導入時にいくつかのポイントを押さえる必要があります。
従業員のニーズを把握する
健康経営の施策をスムーズに浸透させるためには、まず従業員の声をしっかりと拾い上げる必要があります。アンケートやヒアリングを用いて、どのような健康課題を抱えているか、具体的にどんなサポートを求めているかを把握します。こうした調査を丁寧に行うことで、実際のニーズに即した効果的な福利厚生を構築できるのです。
導入コストと効果のバランス
どんなに優れた健康経営策も、継続的に実施できなければ意味がありません。限られた予算内で最大限の効果を出すためには、企業の財務状況や従業員数、利用想定人数などを考慮しながら施策を選定する必要があります。実際のコストと期待される効果を比較し、投資対効果の高い制度を厳選することが重要です。
効果測定と改善サイクル
健康経営を持続的に推進するためには、導入した施策がどの程度の成果を生んでいるかを定期的に検証し、必要に応じて改善を図ることが大切です。例えば従業員の健康診断データや休職率・離職率の推移をチェックし、施策の修正や追加を行うことで、より効果的な健康経営を追求できます。こうした改善サイクルを回し続けることが、組織に大きな恩恵をもたらすのです。
健康支援を強化した企業事例
ここでは、実際に健康経営として優れた取り組みを行っている企業や事業所の事例を紹介します。いずれも従業員の健康増進と働きやすさの向上を両立させた好例です。
1. 食生活改善の取り組み(味の素グループ)
味の素グループでは、社員食堂にて「MyHealthランチ」などの健康メニューを導入しています。栄養バランスに配慮した食事を提供することで、従業員が日常的に健康的な食習慣を実践できる環境を整えています。これにより、生活習慣病予防と食育を同時に推進しています。
参考:味の素社の社員食堂に潜入!従業員が「自然に健康でいられる」企業の取り組みとは? | ストーリー | 味の素グループ
2. 社員食堂の環境改善(岐阜県の事例)
岐阜県内の事業所給食施設では、栄養士監修メニュー・サラダバー・栄養成分表示を導入するなど、従業員の健康意識を高める工夫をしています。社員が主体的に健康を意識しやすい環境整備は、職場コミュニケーションの活性化にもつながっています。
参考:給食施設_好事例集_2022_03_web用
3. メンタルヘルス支援(複数業種の事例)
厚生労働省の事例集には、IT業界を含む複数の企業で、ストレスチェック後の相談体制や専門家によるカウンセリングを導入している例が掲載されています。従業員のストレスを早期に把握し、必要に応じた支援につなげることで、メンタル不調による休職リスクを軽減する効果が期待されています。
参考:厚生労働省資料より
4. オンライン診療・健康相談の導入(HELPOの活用例)
ある小売業では、24時間365日医療者に健康相談ができるヘルスケアアプリ「HELPO」を福利厚生として導入しました。従業員はスマホから医師・看護師・薬剤師等に気軽に相談でき、必要に応じてオンライン診療につながる導線が整えられています。
健康経営につながる福利厚生に「HELPO」導入がおすすめ!
健康経営をより実践的に進めるために、オンライン診療や健康相談などのサービスを導入する企業も増えています。ここでは前述のヘルスケアアプリ「HELPO(へルポ)」をご紹介します。
HELPOはスマホアプリを通じて、医師・看護師・薬剤師等からなる医療専門チームに相談できる健康医療相談や医師へのオンライン受診が可能なヘルスケアサービスとして注目されています。従業員が時間や場所を選ばずに健康面のサポートを受けられるため、働き方の多様化に対応しやすいのが特徴です。
▼健康経営を推進!ヘルスケアアプリ「HELPO」
企業が契約して従業員に利用を促すことで、メンタル不調や生活習慣病の予防、さらには医療機関への早期受診を後押しすることで従業員の健康増進と健康経営の実行力を高めることが期待できます。
まとめ
従業員の健康を経営視点で捉える健康経営は、企業価値の向上に加え、ブランドイメージの向上や採用優位性の獲得など、数多くのメリットをもたらします。その中でも福利厚生は、法定福利にとどまらず法定外福利をいかに充実させるかがアピールポイントとなり、健康経営の要ともいえる存在です。
健康経営を成功させるためには、福利厚生の導入コストや効果測定などのポイントをしっかり押さえながら、継続的に施策を改善していくことが欠かせません。ぜひ本記事を参考に、自社の健康経営推進と福利厚生の充実に役立てていただければ幸いです。
この記事の監修者:健康経営エキスパートアドバイザー 中島 利保
略歴:看護師および上級心理カウンセラーの資格を持ち、企業での健康管理とメンタルヘルス支援に従事。現在、HELPOの健康相談も担当し、働く人の心身の健康づくりに取り組んでいる。





