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「Well-Being Driven」健康経営への戦略と取り組みをご紹介

ヘルスケアテクノロジーズでは「Well-Being Driven」を人事戦略として掲げ、会社が従業員のWell-Beingを支援し、職場の生産性を高めていくために、さまざまな取り組みを行なっています。今回は健康経営に根ざした戦略と具体的な事例を人事部長の大塚さんから紹介してもらいました。

健康経営推進企業の人事として

── 健康経営推進の戦略として「Well-Being Driven」を掲げていますが、「Well-Being」を選んだ背景を教えてください。

まず、Well-Beingとは単なる健康のみを指すのではなく、「身体的」「精神的」「社会的」において満たされた状態であることを示す言葉です。私たちは、自社プロダクトのヘルスケアアプリ「HELPO(へルポ)」を通じて、医師や看護師、薬剤師による24時間365日の健康医療相談やオンライン診療、オンライン服薬指導といったサービスを社員向けにも福利厚生として提供しており、これらが身体的・精神的な充足に該当します。

加えて、これまで代表の大石から全従業員へ、「自分達のアイデアが社会に実装され、お客様の幸せに繋がるという喜びを増やしていきたい」というメッセージが発信されてきました。これを実現することで、「社会的」に認められ、満たされる状態をつくりたいと考えています。

HELPOという事業アセットを活用し「身体的」「精神的」に満たされた状態の実現と、大石の想いでもある事業の成長による「社会的」な充足を推進していけば、Well-Beingな働き方を実現していけると考え、人事戦略として掲げることに決めました。

── 「Well-Being Driven」の詳細を教えていただけますか?

まず、身体的、精神的、社会的の3つの構成要素をダイバーシティやメンタルヘルス、プロダクトへの愛着、育成など12の大項目へとブレイクダウンしました。

さらにその中から、女性従業員比率や外国人管理職割合、自社プロダクトの利用率に休職率などWell-Being Drivenに欠かせない中項目を選定し、それぞれにKPIを設定しました。また、ヘルスケアテクノロジーズにおける生産性についても定義し、同様にKPIとして設定しています。評価指標を決め、取り組みに対する評価をしやすくし、改善に向けたPDCAを継続的に回していくことでWell-Beingの実現と、生産性向上につなげる設計です。

取り組みはKPIを設定するだけでは終わりません。これらを達成するために具体的な行動に移していく必要があります。そこで役立っているのが、健康経営優良法人の「ブライト500」認定や健康企業宣言の「銀の認定」取得に向けた各種取り組みです。ブライト500や銀の認定取得は、人事だけで達成することが困難です。しかし生産性向上などの様にWell-Being Drivenで設定した項目は認定基準にも紐づけており、人事だけの取り組みということではなく、全社を巻き込んだ取り組みとして機能させ、効果的に達成できる仕組みになっています。

そして、今回の取り組みでは、人事として事業に貢献することを意識しています。生産性向上が業績向上につながることは言うまでもありませんが、事業戦略にも紐づけ、貢献できるようにしています。例えば、従業員がHELPOの活用により、心身ともに健康でいられたという証明は、サービスの信頼性向上にもつながります。特に法人向けサービスの提案先の多くは人事部門です。人事が抱えるペイン(課題)に対し、HELPOを通じてどのようにアプローチできるのか、実績を明確に示していくことで、導入いただける可能性も上がるのではないでしょうか。

健診や職場におけるメンタルヘルス課題へのアプローチ

── 人事が抱えるペインとアプローチが気になります。具体的に伺ってもいいですか?

人事が抱えるペインは、採用や育成、労務など多岐に渡りますが、多くの企業で共通していることとして「40歳未満への保健指導」と「メンタルヘルスの向上」の2つがあります。

まず、定期健康診断で、従業員に有所見が出た場合、40歳以上の従業員には、特定保健指導の実施が健康組合に義務として課されています。銀の認定の認定要件でも特定保健指導の受診率が定められており、比較的取組みがしやすいものです。

一方で、40歳未満の有所見者に対しては、企業が求められていることは「再受診を促すこと(努力義務)」です。対応として対象者にメール等で再受診を促す案内は行われますが、再受診は任意、業務時間外での受診、費用は自己負担といった方針になりがちです。

しかし、これでは40歳未満の有所見者の行動変容に繋がらず、会社としての継続的な支援ともいえないのではないでしょうか。私たちは保健指導に近しい継続的な関与・支援をしたいと考え、HELPOで健康診断結果を共有して、結果に対して継続支援ができる仕組みを導入しました。

HELPOで健康診断結果を共有すると、結果をもとに社内の医師、看護師、保健師、栄養士、薬剤師が行動変容のためのアドバイスを行います。以前は健康診断を受けても、結果の見方がわからず、危機感を持てない方が多かったのですが、結果の見方から改善にむけた方法まで、一人ひとりに合わせたアドバイスが可能なため、健康意識が高まったという声をいただいています。

また、「任意」では行動につながらず、取り組みが推進しないことはよくあるので、有所見者に対しては人事部から直接HELPOの利用を促しています。HELPOには、オンライン診療や病院検索、一般医薬品などの購入ができるHELPOモールもあるので、行動変容に繋がりやすい設計になっています。

人事、HELPO、医療機関が三位一体となって継続的サイクルを回すことで、有所見者自身のリテラシー向上・行動変容を促し、中・長期的に健康でい続けられるよう支援をしています。

 

続いて、メンタルヘルスの取り組みについてですが、従業員が人事にメンタルの相談をするタイミングは、すぐに休職が必要な状態であったり、休職の要望をする場合が少なくありません。初期の段階で相談してもらうことができない原因として、私が感じているポイントは、「匿名性の担保」です。

日本の職場におけるメンタルヘルス施策の多くは匿名ありきで設計されています。それは労働安全衛生法及びメンタルヘルス不調に起因する過去の判例からも明確です。メンタルヘルスは従業員にとってセンシティブな情報であり、実名で会社(上司・人事)に相談することの心理的ハードルはとても高いものです。

例えば、ストレスチェックで高ストレス者判定を受けた方の、産業医面談実施率が低いことは、どこの会社も共通であるのではないでしょうか。メンタル相談は会社にしにくい、匿名ありきで業務設計すべきというマインドセットが必要だと考えました。

そこで、当社ではメンタル相談の一次窓口としてHELPOを活用しています。匿名相談で医療チームによるメンタルケアの実施はもちろん、本人が希望して同意した場合には、匿名から記名に切り替え、産業医や社内外のホットライン、人事など、適切な相談先に誘導することで、メンタルヘルス不調の未病予防に取り組み、休職率を下げられないか検証中です。

また、社内には相談窓口が複数あり、それぞれの用途がわかりづらかったり、そもそも相談窓口の存在すら知らない従業員もいました。窓口を一本化することで相談数が増え、未病予防に繋がるということもわかってきました。

人的資本情報開示へ

──  Well-Being Drivenに関連する今後の取り組みがあれば教えてください。

2023年3月期決算から、上場企業などを対象に人的資本の情報開示が義務化されました。弊社でも Well-Being Drivenの項目を選定する際に、人的資本情報開示の基準も考慮し項目を設定しています。今後、公開に向けて準備を進めていきますが、今回紹介した取り組みなどを通じて、健康・幸福・生産性などの項目でHELPOを活用したことによる数値改善を示していきたいと思います。そして、上場企業やIPOフェーズの会社に対し、結果を示しながらHELPOを紹介していければと考えています。