20~30代に多い子宮頸がんって? ~ワクチン接種で防げるがん

近年、子宮頸がんワクチンに関する社会制度の変更が続いているため、ニュースやSNSで見る機会も増えているのではないでしょうか。自治体から連絡が届いているご家庭もあるかもしれません。

一方で、以前に子宮頸がんワクチン接種後の副作用がニュースになっていたことを覚えている方も多いと思います。様々な情報が溢れていて混乱しやすい世の中ですので、ここでは子宮頸がんワクチンについてご紹介します。

※本ページの記事は、女性の健康に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

ワクチンでがんを防げるの?

ワクチンは感染症を防ぐもので、がんを防ぐと聞いてもイメージしにくいという方もいると思います。近年、がんワクチンといってがんに対する免疫を直接活性化するワクチンの研究も進んでいるのですが、2022年現在は実用化できると十分に証明されたものはありません。

一方で、がんにはウイルス等の感染が原因となるものがあり、このようながんを予防するワクチンは実現しています。子宮頸がんワクチンはその1つです。

子宮頸がんの95%以上は、ヒトパピローマウイルス(以下HPV)というウイルス感染が原因であることが分かっています。このHPVの多くは性交渉により主に子宮頸部の粘膜に感染します。

HPV感染のほとんどは自然と治りますが、中には感染した状態が続くことで細胞が異常な形に変化した異形成という病変となり、数年から数十年をかけてさらに変化を重ねて、子宮頚がんとなることがあります。子宮頸がんワクチンは、この最初の段階であるHPVの感染を防ぐ効果があり、そこからできる子宮頸がんを防ぐことにつながります。

子宮頸がんワクチンは打った方がいいの?

子宮頸がんは、一般的ながんに比べて20~30代の若い世代でも多く、子宮をとる手術が必要になることや命に関わることもある重大な病気です。
日本では、子宮頸がんの原因の50~70%を防ぐ子宮頸がんワクチンを1万人が接種すると、約70人のがんを防ぎ、約20人の命が助かると試算されています。対して、実際に接種した後に生じた入院相当以上の副反応は、因果関係があるかどうかわからないものや接種後短期間で回復した症状をふくめて、1万人に約6人の割合と報告されています。

2022年4月に子宮頸がんワクチン接種の積極的勧奨が再開となりました。「積極的勧奨」とは、自治体がワクチン接種対象者(小学校6年~高校1年相当の方)やその家庭に接種を促すハガキや予診票等を送るような取り組みのことです。

差し控えになっていた大きな要因は、様々な部位の痛みや手足の動かしにくさ等の多様な症状が副反応として問題となっていたためです。この症状とワクチンとの因果関係はその後も証明されてはいませんが、対処法については検討が進み、「HPVワクチン接種後に生じた症状に対する診療の手引き」が作成されています。また、海外では子宮頸がんワクチンの使用が進み、より具体的な有効性や副反応のデータが積み重なっています。積極的勧奨が再開となったのは、このようなデータも含めて検証が続けられて、ワクチンの有効性が副反応のリスクを上回ると認められたためです。

定期接種対象外の年齢でも公費で接種できる?

子宮頸がんワクチンの積極的勧奨が差し控えられている間はワクチンの接種率が下がっていました。そのため、この期間に定期接種の対象であった誕生日が1997年4月2日から2006年4月1日の方では、3回の接種が完了していない方が多くなっています。このような方には、2025年3月まで公費で接種できる制度があります。

子宮頸がんワクチンは、接種時に既に感染しているHPVを排除する効果はないため、感染のきっかけとなる性交経験がない間に接種することが望ましいとされています。しかし、新しいHPV感染を防ぐことや再感染を防ぐ効果は期待できるため、性交経験に関わらず公費接種の対象者はこの機会に接種を検討されてはいかがでしょうか。また、対象年齢以外の方は自費での接種も可能です。

最後に、ワクチンで防ぎきれない子宮頸がんもありますが、その場合もなるべく早期に発見することで予後はよく、後遺症も少なくなります。20歳を過ぎたら、定期的な子宮頸がん検診の受診もお勧めいたします。

(参考文献)
・日本産婦人科学会. 「子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために」(閲覧日:2022.12.27)
・厚生労働省. 2022年. 「小学校6年~高校1年相当 女の子と保護者の方へ大切なお知らせ(詳細版)」(リーフレット)
・厚生労働省. 「HPVワクチンに関するQ&A」(閲覧日:2022.12.27)

(クレジット)
著作/ヘルスケアテクノロジーズ株式会社
文/医師 加藤卓浩(ヘルスケアテクノロジーズ株式会社所属)