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職場にうつ病の人が出たときに周りの人ができることは?
厚生労働省の「精神疾患を有する総患者数の推移」によると、精神疾患を有する総患者数は2002年に258.4万人だったのに対し、2017年は419.3万人と増加傾向にあります。この結果から見てもわかる通り、今や多くの企業でメンタルヘルスに不調を感じている人が増えています。
メンタルヘルスの不調に対して何も対策しなければ状況はより深刻になり、本人は休職や退職に追い込まれてしまうかもしれません。
一方で、職場でメンタルヘルスに不調を感じる人が出たときに「どのような声掛けをしたら良いかわからない」「どのような対策を行えば良いかわからない」という方もいるでしょう。
そこで本記事では、うつ病をはじめとした心身の不調のサインや職場でできるメンタルヘルスケア、不調を抱えている人に対してできることなどを解説していきます。
目次
職場でのうつ病のサインはどのようなものがある?
職場でうつ病などメンタルヘルスに不調を抱えてしまった人が取る傾向にある行動には、主に以下の3つが挙げられます。
- モチベーションの低下
- 業務効率の低下やミスが目立つようになる
- 遅刻・欠勤、出社拒否など
メンタルヘルス不調の人が取りやすい行動がわかれば、症状がひどくなる前に対応できます。しっかりと症状を把握しておきましょう。
モチベーションの低下
それまでバリバリと働いていたはずの人が、いきなりモチベーションを低下させているような様子が見えた場合には、うつ病などメンタルヘルスが不調になっている可能性があります。また、そこまではっきりとモチベーションが低下しているわけでなくとも、慢性的に意欲の低下が認められるような場合も、メンタルヘルス不調が疑われます。
この状態はただ単に「元気がないだけ」と捉えてしまいがちですが、その状態が長く続くようであれば注意が必要です。
業務効率の低下やミスが目立つようになる
業務効率の低下やミスが目立つようになった場合も、従業員のメンタルヘルスに異常が発生している可能性があります。メンタルヘルス不調により集中力が低下しやすくなるため、注意力が散漫になり、ミスが増えてしまうからです。
計算間違いや誤字脱字、仕事の期日を忘れてしまうといったことが起こります。以前は元気だった人がそのような状態になってしまったら、うつ病などメンタルヘルスの不調が原因になっているかもしれません。
遅刻・欠勤、出社拒否など
今までは元気に出社していた人が、事前の申請や連絡がないまま徐々に遅刻や欠勤を繰り返すようになっていたら、メンタルヘルスに不調を抱えている可能性があります。精神的な不調が出ると、職場に行くことに対して抵抗感が出てしまうため、遅刻や欠勤が増えてしまうのです。
また、出社拒否があった場合もメンタルヘルス不調の可能性が考えられるでしょう。
職場でできるメンタルヘルスケアは?
職場でメンタルヘルスに不調を持つような人が出る前に、会社が配慮した方がよいメンタルヘルスケアの一般的な方法を紹介していきます。
セルフケア
まず、うつ病などメンタルヘルス不調になりそうな人が自身の状況を一刻も早く認識するために、自分で自分をケアするセルフケアが重要です。セルフケアを促すためには、従業員にメンタルヘルスケアに対する正しい知識を身に付けてもらうためのセミナーなどを実施することが有効です。
具体的には、メンタルヘルスケアに関する基礎知識、ストレスへの気付き方やストレスの予防・軽減、ストレスへの対処法、事業所内の相談先に関する情報を伝えるなどが挙げられます。まずは自分でストレスなどに気付き、必要な対処ができるようになってもらいましょう。
ラインによるケア
ラインによるケアとは、職場における管理者が部下のメンタルヘルスの状態を普段から把握し、声掛けをしたり業務内容を見直したりと、早めに不調を察知してケアすることを言います。本人の相談対応はもちろん、職場環境改善に努めることも挙げられます。
また、従業員がメンタルヘルス不調により休職してしまった場合に、復職するのをサポートすることもラインケアのひとつです。管理者は日ごろから周りに気を配り、従業員の不調にいち早く気付けるようにする必要があります。
事業場内産業保健スタッフによるケア
事業場内の産業保健スタッフとは、産業医や衛生管理者、保健師などを指します。従業員のメンタル面のサポートは、職場における管理者だけでなく、企業の中にいる専門家によってケアしてもらうことも重要です。
具体的な内容として、「メンタルヘルスケアについての計画立案」「職場環境の把握や改善」「事業場外資源とのネットワーク形成・窓口」「職場復帰の支援」が挙げられます。事業場内産業保健スタッフは、メンタルヘルスケアの計画に沿ってさまざまな施策を実行します。
事業場外資源によるケア
事業場外にいる医師などの医療専門家によってサポートしてもらうことも、選択肢のひとつとして検討しても良いでしょう。
事業場外資源には、事業外の医療機関だけでなく、地域保健機関や従業員支援プログラム機関、最近ではアプリを使ったサービスなどさまざまなものがあります。事業所内にいる人になかなか相談できない方がいる場合に、効果的な方法です。
事業場外資源によるケアでは、主治医による情報提供や提言を受けることも重要です。この場合、主治医などと職場の人間と連携を取り合うことも必要になります。
職場でうつ病の人が出てしまった場合にできることは?
職場でうつ病など、メンタルヘルスの不調を抱える人が出てしまった場合にできることを解説していきます。
メンタルヘルス不調の人に対して取ってはいけない行動もあるため、しっかりと把握しておきましょう。
話を聞く
従業員がいつもと違う様子を見せていたら、とにかく本人の話を傾聴することが大切です。
否定することもなく、本人を理解しようと寄り添いましょう。ついアドバイスや助言をしたくなるかもしれませんが、ただ受け止めることを意識することが大切です。
また、無理に話しかけるのではなく、自然と話すよう心がけるのが重要です。コミュニケーションの強要はおすすめできません。
自然に話せる雰囲気を作るためにも、普段からさりげなく声掛けしておく必要があるでしょう。
励まさない
「頑張って」「君には期待している」などの励ます言葉は言ってはいけません。メンタルヘルスに不調がある場合、本人は頑張りたくても頑張れない状態にあり、余計に本人を追い込んでしまうかもしれないからです。また、無理に気分転換をさせようとして、何か特別なこともしないようにしましょう。
「いつになったら治るの」などと聞くのも良くありません。本人が焦ってしまい、治るのが遅れてしまう可能性があります。
職場でうつ病になった従業員が相談できるHELPO
職場で従業員がうつ病などのメンタルヘルス不調を発症してしまった場合には、いつでも相談できるヘルスケアアプリ「HELPO(ヘルポ)」の利用がおすすめです。HELPOは「事業場外資源のケア」として利用できるサービスです。
スマホアプリから医師や看護師、薬剤師の在籍する医療専門チームに、チャットを利用して24時間365日いつでも相談できます。専門医療チームに相談できるだけでなく、オンライン診療も可能です。HELPOは会社にいる時以外にも、在宅や現場など勤務体系に関わらず相談できるため、従業員の安心感にも繋がるでしょう。また、発症する前に早めに対処できれば休職や退職が必要な状態にならずに済みます。
いつでも気兼ねなく相談できるHELPOを導入し、従業員の健康をサポートしてはいかがでしょうか。
職場でうつ病の従業員が出ないように
厚生労働省の「うつ病を知っていますか?」によると、生涯に約15人に1人、過去12ヶ月間には約50人に1人がうつ病を経験しているそうです。うつ病までいかなくとも、メンタルヘルスに不調を感じる人はもっと多いと考えられます。
職場でうつ病などメンタルヘルス不調を抱える人が出ないよう、また、出た場合にもスムーズに適切な対処ができるよう、セルフケアやラインケア、事業場内外のスタッフによるケアを行っていくことは重要です。早めに対処できればうつ病の発症を防げます。いつでも相談できる場があれば、従業員の安心感や健康維持に繋がるでしょう。
従業員のメンタルヘルスを健康的に保つために、社外の相談窓口のひとつとしてHELPOの導入を検討してみてください。