人的資本経営とは?概要や背景、具体事例など簡単にご紹介

近年、多くの企業で取り組まれている「人的資本経営」。人的資本経営とは人材を「資本」とみなして投資し、企業の価値を上げる経営手法のことです。言葉は耳にしたことはあるけれど、「意味が理解できていない」「どのような取り組みを実施すれば良いかわからない」「健康経営との違いがわからない」という方もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、人的資本経営の意味や健康経営との違い、導入されるようになった背景、企業事例などを解説します。人的資本経営をサポートするおすすめのツールも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

人的資本経営とは?簡単にご紹介

【POINT】のイメージ_スーツ姿の女性がPOINTマークをしている様子

人的資本経営とは人材を資本と考え投資し、企業価値の向上につなげる経営手法のことです。主に人事や人材管理の領域で用いられる考え方で、企業の成長や競争力の維持・強化のためには、従業員やリーダーたちのスキル、知識、能力、経験など、人的な資本を適切に管理・投資し、最大化することが不可欠であるという考えに基づいています。

企業の成功は技術や資金だけでなく、その中で働く人々の知識や能力に大きく依存しています。そのため、人的資本を価値ある資源として認識する人的資本経営は、会社の価値を上げるために重要な考え方です。

人的資本に対する投資は、教育や研修、健康、福利厚生、キャリアの成長機会の提供など多岐にわたります。また、採用、研修、昇進、配置などの人事戦略も、ビジネスの全体戦略と連動して策定されるべきものだと言えます。

人的資本経営と健康経営の違い

「人的資本経営」と「健康経営」はどちらも組織の中での人々の価値と役割を重視する考え方に基づいていますが、その焦点やアプローチには相違点があります。

人的資本経営は従業員のスキル、知識、能力、経験などの全般的な人的資源を重視しますが、健康経営は従業員の健康状態とそれに関連する活動や取り組みに焦点を当てています。

人的資本経営の取り組みにあげられるのが教育・研修、キャリア開発、評価・報酬システムの最適化などです。一方、健康経営では健康診断の提供、ストレスの軽減プログラム、エクササイズの推奨、栄養の教育などが中心的な取り組みとなります。

人的資本経営の主な目的は、従業員のスキルや知識の最大化、そして組織のパフォーマンスの向上です。一方、健康経営は従業員の健康を維持・向上させ、組織の生産性やパフォーマンスを向上させることが目的になります。

人的資本経営が多くの企業で導入されるようになった背景は?

【WHY】のイメージ_WHY?とプリントされた木製ブロック

人的資本経営が多くの企業で導入されるようになったのはなぜなのでしょう。ここではその理由を解説します。

IT産業の台頭

近年、多くの先進国では、IT産業が発達することで構造の変革が起きました。伝統的な業界でもITを活用した仕組みを構築している企業が増えていることに加え、コロナ禍によるDXの推進などで労働構造の変化は顕著になっています。

変化に対応するためには、従業員一人ひとりのITへの知見とスキルを最大限に活かすことが欠かせません。言い換えると、従業員のITへの理解向上が、企業の競争力の鍵を握っているとも言えます。

仕事に使う技術の進化

ITの進化により情報のアクセスや共有が容易になり、従業員の学習や能力開発の重要性が増しています。また、現代の労働者も給与や福利厚生だけでなく、キャリアの成長や継続的な学習の機会を求めるようになりました。

技術の進化は競合他社との差別化をも困難にしています。人的資本に投資すれば革新的なアイデアによりイノベーションを起こし、差別化につなげられる可能性があります。

企業の社会的責任

企業は利益の追求だけでなく、社会的な責任を果たすことが重要視されるようになりました。人的資本経営にあたる「従業員の福利厚生の充実」や「キャリアのサポート」は企業の社会的責任を果たす取り組みであり、多くの企業で実施されるようになりました。

人的資本経営は企業の将来性を判断する指標の一つとして捉えられており、ステークホルダーからは人的資本経営に関する情報開示を求められています。

人的資本経営の伊藤レポートとは?

【レポート】のイメージ_クリックでまとめられた書類

人的資本経営の伊藤レポートは2020年9月に経済産業省が発表した「人材版伊藤レポート」のことであり、2020年に6回にわたって開催された「持続的な企業価値向上と人的資本に関する研究会」の報告書です。

レポートでは人材戦略に求められる共通要素として、「動的な人財ポートフォリオ」「知・経験のダイバーシティ&インクルージョン」「リスキル・学び直し」「従業員エンゲージメント」「時間や場所にとらわれない働き方」の5つがあげられています。他にも、ステークホルダーや投資家、取締役会などのそれぞれが果たすべき役割など、多方面から人的資本経営の理想的なあり方について紹介しています。

人的資本経営を実践する企業の具体例・事例

人的資本経営を自社に取り組みたいけれど、どのような活動を実施すれば良いかわからない方もいるのではないでしょうか。ここでは、2社の具体的な取り組み事例をご紹介します。

旭化成の事例

旭化成株式会社では、採用・育成に経営戦略と連動した人財ポートフォリオを作成し、それに基づき採用や育成を実施しています。高い専門性を持つ人材を「高度専門職」として位置づけ、その人数を増やしています。「高度専門職」には、「エグゼクティブフェロー」「プリンシパルエキスパート」など区分が分かれており、それぞれに執行役員相当や理事相当などの処遇が与えられます。

また、DX人材育成に向けKPIを設定し、2021年度末までにデジタルプロフェッショナル人材230名という育成目標を達成しました。

花王の事例

花王株式会社では、「人の成長機会の提供」と「良い仕事環境の提供」を人財戦略の2つの柱とし、人材開発や環境設備を進めています。マネジメントを担う社員、グローバルリーダーなど、社員に合わせたさまざまな研修を実施しています。また、経営層と社員の相互理解を深めるため、社員との対話の機会を設けています。

この他、6,000を超える通学・通信教育・eラーニングがあり、自律的に学習できる機会を用意しています。

フレキシブルワークの実現やRPA(パソコン作業を自動化できるツール)・チャットボットの活用など、先端技術の活用により業務の能率化を図っています。

人的資本経営をサポートする「HELPO」

人的資本への投資は、採用、教育、健康、昇進、福利厚生など多岐にわたります。人的資本経営をサポートするツールとしておすすめなのが、ヘルスケアアプリ「HELPO(ヘルポ)」です。HELPOは24時間365日、医療専門チームにいつでもチャット形式で身体や心の不安を相談できるスマホアプリです。

従業員の中には忙しくて病院に行けない方、社内の相談窓口に相談できない問題を抱えている方もいるかもしれません。HELPOなら不安に思った時にいつでも相談できるため、従業員の安心感につながるでしょう。人的資本経営の取り組みを考えている方は、ぜひ導入を検討してみてください。

人的資本経営とは人の可能性を引き出す経営

人的資本経営は「人」に価値があると考え投資し、可能性を引き出す経営です。企業の存続や利益の追求は、従業員の力があってこそ実現するものです。また、人的資本経営は企業の将来性を図る指標とみなされており、投資家からの評価を得るためにも重要になります。人材資本経営に積極的に取り組み、企業の成長・価値向上を目指しましょう。

人的資本経営の取り組みの一つとしておすすめなのが、ヘルスケアアプリ「HELPO」です。いつでも自分の好きな時にスマホアプリで不安に思っていることを医療専門チームに相談できるため、メンタルヘルス不調の未然防止にも役立ちます。気になる方はぜひ導入を検討してみてください。

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