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経産省の伊藤レポートとは?ROE8%や人的資本経営など要約をお届け
伊藤レポートとは、経済産業省で実施されたプロジェクトをまとめたレポートであり、企業の長期的な成長を目指すための取り組みや指針が報告されています。
「伊藤レポートが複数あり、どれが何を伝えているのかわからない」「伊藤レポートの詳細を知りたい」という方もいるでしょう。そこで本記事では、今までに発表されている伊藤レポートの種類や詳細を解説します。
目次
伊藤レポートとは?誰が書いた?
伊藤レポートとは、会計学者で一橋大学名誉教授の伊藤邦雄氏を座長とした、経済産業省の研究会「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」プロジェクトが、2014年に出した最終報告書のことを言います。
伊藤レポートでは、日本企業の低収益性を持続的に向上し、改善するための大きな方向性・指針が示されています。
伊藤レポート内で述べられた日本企業の課題
日本企業と欧米企業で収益力(稼ぐ力)の代表的な指標である自己資本利益率利益率(ROE) や 売上高営業利益率(ROS)などにほぼ倍の格差があり、その傾向が20年にわたり続いてきた原因を、日本企業の持続的な低収益性にあると見ました。
その結果として日本では長期投資家が育たず、長期投資が育たないことが日本でイノベーションが生まれにくい要因であるとしました。
伊藤レポートの目的の要約。ROE8%が目標?
伊藤レポートで、日本企業は自己資本利益率(ROE)8%以上を最低限目指すべきと述べられています。日本企業で高自己資本利益率化や株主還元方針が広く用いられるようになるなど、伊藤レポートは日本のコーポレートガバナンスの基準に大きな影響を与えています。
企業がROEやROSなどで示される収益力をアップさせ、付加価値の向上を目指すことは、日本経済の好循環や持続的成長につながるとしました。また、収益力や付加価値の向上は、以下のようなプラス効果をもたらすとしています。
- 給与・人材投資の増加
- 研究開発・設備投資のための原資確保
- 企業の資金調達の多様化
- 株式市場を通した年金パフォーマンスの改善
- 税収確保
- 海外からの投資拡大
さまざまな効果が期待できるため、そのための改革を企業が実施し、日本企業全体が持続的な成長を享受できるようにすべきだとしました。
人材版伊藤レポートとは?
人材版伊藤レポートとは、経済産業省が2020年1月から6回にわたって開催した「持続的な企業価値向上と人的資本に関する研究会」が2020年9月に発表した最終報告書です。
「伊藤レポート」とアプローチは異なるものの、日本企業の収益性を改善するために作成されました。人材版伊藤レポートでは、企業は経済戦略と人材戦略を連動させるべきだと結論付けています。
人材版伊藤レポート内で述べられた日本企業の課題
持続的な企業価値の向上を実現するには、「ビジネスモデルや経営戦略と人材戦略が不可欠」だと述べられています。しかし、企業や個人を取り巻く変革のスピードが増しており、「目指すべきビジネスモデルや経営戦略」と「人材・人材戦略」のギャップが大きくなっています。
このギャップをどのように適合させていくかが、日本企業の経営の課題として挙げられました。
人材版伊藤レポートの提言
人材版伊藤レポートの中では、人材マネジメントの目的やアクション、イニシアチブなどの面でどうしていくべきかが提言されています。それぞれの項目における変革の方向性は以下の通りです。
項目 | Not this(従来の考え方) | But this(変革の方向性) |
人材マネジメントの目的 | 人的資源・管理人的資源の管理オペレーション思考コスト | 人的資本・価値創造人的資本の活用・成長クリエーション思考投資 |
アクション | 人事人事諸制度の運用・改善が目的経営戦略と不連動 | 人材戦略持続的な企業価値の向上が目的経営戦略から落とし込んで策定 |
イニシアチブ | 人事部人材関係は人事部門任せ経営戦略との紐づけは不意識 | 経営陣(5C)/取締役会経営陣のイニシアチブで経営戦略と紐づけ取締役会がモニタリング |
ベクトル・方向性 | 内向き雇用コミュニティの同質性が高く人事は囲い込み型 | 積極的対話人材戦略は価値創造のストーリー投資家・従業員に積極的に発信・対話 |
個と組織の関係性 | 相互依存企業は囲い込み、個人も依存硬直的な文化になり、イノベーションが生まれにくい | 個の自律・活性化互いに選び合い、共に成長多様な経験を取り込み、イノベーションにつなげる |
雇用コミュニティ | 囲い込み型終身雇用や年功序列により、囲い込み型のコミュニティ | 選び、選ばれる関係専門性を土台にした多様でオープンなコミュニティ |
(参照:経済産業省「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書~人材版伊藤レポート~」)
人材版伊藤レポート2.0(人的資本経営の伊藤レポート)とは?
「人材版伊藤レポート2.0」は、2020年に発表された「人材版伊藤レポート」に次いで作成された報告書のことです。このレポートは、人的資本経営の具体化の取り組みに焦点を置いています。
「人材版伊藤レポート」ではパラダイム変化のための問題提起をしたものの具体的な事例がなかったため、企業からも質問を多く受けていました。実践的にガイドするようなアイデアや施策を提示するべく、「人材版伊藤レポート2.0」が作成されています。
人材版伊藤レポート2.0内で述べられた日本企業の課題
人材版伊藤レポート2.0の焦点は「人的資本経営」です。人的資本情報の開示に向け、国内外で環境整備の動きが進んでいる中で、人的資本経営を実現させていくには具体的に何を実施すれば良いのか、という課題意識で作られました。
人材版伊藤レポート2.0の提言
人的資本経営を実践するための取り組みの方向性として、以下の8つが挙げられています。
取り組み | 内容 |
経営戦略と人材戦略を連動させるための取組 | CHROの設置全社的経営課題の抽出など |
「As is – To be ギャップ」の定量把握のための取組 | 人事情報基盤の整備定量把握する項目の一覧化など |
企業文化への定着のための取組 | 企業理念・企業の存在意義・企業文化の定義CEO・CHROと社員の対話の場の設置など |
動的な人材ポートフォリオ計画の策定と運用 | 学生の採用・選考戦略の開示博士人材等の専門人材の積極的な採用など |
知・経験のダイバーシティ&インクルージョンのための取組 | キャリア採用や外国人の比率・定着・能力発揮のモニタリング課長やマネージャーによるマネジメント方針の共有 |
リスキル・学び直しのための取組 | リスキルと処遇や報酬の連動社外での学習機会の戦略的提供など |
社員エンゲージメントを高めるための取組 | 社員エンゲージメントレベルの把握社内のできるだけ広いポジションの公募制化など |
時間や場所にとらわれない働き方を進めるための取組 | リモートワークを円滑化するための、業務のデジタル化の推進リアルワークの意義の再定義・リモートワークとの組み合わせ |
(参照:経済産業省「人的資本経営の実現に向けた検討会報告書~ 人材版伊藤レポート2.0~ 」)
伊藤レポート3.0とは?
サステナビリティは世界的に広がっており、企業活動の持続性にも大きな影響を与えています。企業にとって長期的・持続的な価値創造を実現するためにも、サステナビリティへの対応は重要であり、「社会のサステナビリティ」と「企業のサステナビリティ」を同期化させるSX(サステナビリティトランスフォーメーション)実現に向けて、「伊藤レポート3.0」が発表されました。
SX実現の具体的な取り組みとして「社会のサステナビリティを踏まえた目指す姿の明確化」「目指す姿の明確化や目指す姿に基づく長期価値創造を実現するための戦略の構築」「長期価値創造を実効的に推進するためのKPI・ガバナンスと、実質的な対話を通じた更なる磨き上げ」などが挙げられています。
人的資本経営を推進するなら「HELPO」
「人材版伊藤レポート2.0」では、人的資本経営について述べられています。人的資本経営は、人材を「資本」と捉えて投資し、持続的な企業価値の向上につなげる経営のことであり、従業員が心地よく働くための施策も重要になります。
人的資本経営を推進したいと考えている経営者や人事労務担当者におすすめなのが、ヘルスケアアプリ「HELPO(ヘルポ)」です。「HELPO」は24時間365日、いつでも医者や看護師、薬剤師がいる医療専門チームにチャットできます。スマホで手軽に利用でき、不安がある時にすぐ相談できるため、従業員の安心感にもつながるでしょう。また、オンライン診療もできるため、健康維持に役立てられます。人的資本経営を行いたいと考えている方は、ぜひ導入を検討してみてください。
伊藤レポートとは人的資本経営などに関するレポート
伊藤レポートとは、経済産業省で行われたプロジェクトをまとめた報告書であり、企業が長期的に成長し続けるための指針が示されています。サステナビリティや人的資本経営、SX実現への具体的な取り組みについて書かれています。
人的資本経営は、企業が長く成長し続けるために欠かせない経営方法です。人的資本経営の施策の一つには、従業員の健康維持が挙げられます。従業員の健康を維持したいなら、ヘルスケアアプリ「HELPO」の利用がおすすめです。ぜひこの機会に、導入を検討してみてください。