
法人向け
プレゼンティーズムの測定方法は?アブセンティーズムの測定方法もご紹介
プレゼンティーズム(presenteeism)は疾病出勤と訳され、心身の不調が原因で業務効率が低下することを意味します。従業員の休職者や欠勤者は少ないものの、「生産効率が下がっている気がする」「メンタルヘルス不調に陥っている従業員が増えている気がする」と感じる場合は、プレゼンティーズムの測定により現状を把握できます。また、現状の把握ができれば対策も可能です。
しかし、プレゼンティーズムの測定方法がわからない方もいるでしょう。そこで本記事では、プレゼンティーズムの測定方法やアブセンティーズムの測定方法、改善策を解説します。
目次
プレゼンティーズムの測定方法は?

経済産業省の「企業の「健康経営」ガイドブック ~連携・協働による健康づくりのススメ~ (改訂第1版)」によると、プレゼンティーズムの測定方法として、5つの方法があげられています。ここではその方法を解説します。
WHO-HPQ
WHO-HPQは、WHO(世界保健機関)が定義した社員の生産性を測る指標です。「WHO 健康と労働パフォーマンスに関する質問紙」にある設問の回答をもとに評価します。プレゼンティーズムの測定に使われる問いは以下の2つです。
【1】0があなたの仕事において誰でも達成できるような仕事のパフォーマンス、10がもっとも優れた勤務者のパフォーマンスとした0から10までの尺度上で、あなたの仕事と似た仕事において多くの勤務者の普段のパフォーマンスをあなたはどのように評価しますか? 【2】同じ0から10までの尺度上で、過去1-2年のあなたの普段のパフォーマンスをあなたはどのように評価しますか? |
測定は「絶対的プレゼンティーズム」「相対的プレゼンティーズム」の2つの方法で行われ、計算式は以下の通りです。
相対的プレゼンティーズム=【2】÷【1】
絶対的プレゼンティーズム=【2】×10
東大1項目版
東大1項目版は、1つの設問によりプレゼンティーズムを測定する手法で、アンケートの設問数を減らすことを理由に「東京大学ワーキング」によって開発されました。設問は以下の通りです。
病気やけががないときに発揮できる仕事の出来を100%として過去4週間の自身の仕事を評価してください。 |
(引用:東京大学未来ビジョン研究センター「SPQの特徴」)
東大1項目版でのプレゼンティーズムは、「100%-回答値」により算出します。
WLQ
WLQはタフツ大学で開発された手法で、健康問題による仕事上の制約状況、生産性の低下率を測るものです。全部で25問の質問項目があり、以下の4つの尺度で構成されています。
- 時間管理
- 身体活動
- 集中力・対人関係
- 仕事の結果
体調不良により職務遂行ができなかった時間の割合・頻度を5段階(常に支障があった~まったく支障はなかった)、「当てはまらない」の6択から選び、数値を算出します。
WFun
WFun(Wrok Functioning Impairment Scale)は、産業医科大学で開発された手法で、健康問題が原因の労働機能障害の程度を測るものです。7つの設問があり、合計点数をもとに評価されます。点数が高いほど労働機能障害の程度が大きいとみなされ、日本においては、21点以上が中程度以上の労働機能障害があると判断されます。
QQmethod
QQmethodでは、健康問題による何らかの症状の有無を確認します。「有り」の場合は、以下の4つの質問が設定されています。
- 仕事に一番影響をもたらしている健康問題は何か
- 過去3か月の間に、何日症状があったか
- 症状があるときはどの程度の仕事の量があるか(10段階評価)
- 症状があるときはどの程度の仕事の質か(10段階評価)
これらの質問に答えることで、プレゼンティーズムの評価を行います。
アブセンティーズムの測定方法は?
アブセンティーズムとは、心身の体調不良による遅刻や早退、休業している状態を意味します。経済産業省の「企業の「健康経営」ガイドブック ~連携・協働による健康づくりのススメ~ (改訂第1版)」では、以下の3つがあげられています。
- 従業員へのアンケート調査
- 欠勤・休職日数(代替指標)
- 疾病休業者数・日数
ここでは、それぞれの詳細を紹介します。
従業員へのアンケート調査
従業員へのアンケート調査によりアブセンティーズムを測定する方法です。アンケート調査では、「昨年1年間に、自分の病気で何日仕事を休みましたか」との質問内容に自己申告で答えてもらいます。
この質問により、有給休暇を含む休暇の中で「病気が理由になっている休暇日数」を把握できます。ただし、アンケート方法や回収率により、欠損値が出る可能性もあるため注意が必要です。
欠勤・休職日数(代替指標)
特に、有給休暇取得後の欠勤や休職日数は疾病が理由であることも多く、アブセンティーズムの代替指標として利用されます。この場合、病気による有給休暇の日数は含まれないためアブセンティーズムが低く評価される可能性があります。
しかし、企業や組織が持つデータのため欠損値はありません。
疾病休業者数・日数
疾病休業者数・日数もアブセンティーズムの手法の一つです。この数値は人事データを活用して測定します。「疾病休業開始後、有給休暇をのぞいて30日以上の疾病休業の者」、休業開始日、休業終了日、疾病名を把握します。
プレゼンティーズムを改善する方法は?

従業員が健康的に働けるようになることが、プレゼンティーズムの改善につながります。プレゼンティーズムを改善する方法には、以下の2つがあげられます。
- 生活習慣病などについて啓蒙するセミナーを実施する
- ヘルスケアアプリを導入する
ここではそれぞれの詳細を解説します。
生活習慣病などについて啓蒙するセミナーを実施する
健康維持に必要なセミナーや研修などを実施することで、プレゼンティーズムを改善できます。セミナーや研修の内容には、以下のようなものがあげられます。
- 生活習慣病にかかるパターン
- ストレスへの理解・対処法
- 部下のメンタルヘルス不調の早期発見・アプローチ方法
- 健康的な食事
セミナーや研修により健康を維持するために必要な知識を身につければ、自ら律して生活習慣病を予防したり、部下のケアをしたりできるようになるでしょう。また、セミナーを実施するだけでなく、運動イベントやジムの導入により運動習慣を身につけてもらう方法もあります。
ヘルスケアアプリを導入する
ヘルスケアアプリを導入するのも効果的です。ヘルスケアアプリとは、従業員が自らの健康状態やストレスなどについて、すぐに医師などにチャットで質問できるアプリです。ヘルスケアアプリの導入により心身の不安を気軽に相談できるため、不調改善のために行動しやすくなります。結果的に、プレゼンティーズムの指標なども改善する可能性があるでしょう。
プレゼンティーズムの改善に「HELPO」

会社に出社していても心身の不調を感じている人はどの企業でもいないわけではありません。そうした従業員の方々をケアするためにおすすめのツールが、ヘルスケアアプリ「HELPO(ヘルポ)」です。HELPOは24時間365日、いつでも医療専門チームにチャットで相談できます。医療専門チームには医師や看護師、薬剤師が在籍しているため幅広い質問に対応しています。
従業員の中には「忙しくて病院に通えない」「産業医の面談が受けられない」という方もいるでしょう。HELPOなら心や身体の不安を感じた時、いつでも手軽に相談できるため安心して利用できます。また、相談回数は無制限なので、従業員に気軽に利用してもらえます。相談だけでなく、オンライン診療や薬の処方も行っており、薬はご自宅に配送することが可能です。
従業員の方々の健康増進を考えている方は、ぜひHELPOの導入を検討してみてください。
プレゼンティーズムの測定方法はさまざま
プレゼンティーズムは出勤しているのにも関わらず、心身の不調により効率が下がっている状態を指します。プレゼンティーズムの測定方法はさまざまありますが、測定するだけを目的にしては意味がありません。測定結果をもとに数値を改善していくことが重要です。従業員が健康的に働くためにも、プレゼンティーズムの測定を定期的に行い、改善に努めましょう。
プレゼンティーズムの改善には、ヘルスケアアプリ「HELPO」の導入がおすすめです。HELPOは24時間365日、利用できるツールです。不安に思った時に「いつでも相談できる」と思えるため、従業員の心の安心にもつながるでしょう。ぜひこの機会に、導入を検討してみてください。


