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健康経営への取り組みの効果(成果)

前回までの記事の中で、戦略や具体的な取り組みを中心にご紹介しました。(「私たちの健康経営戦略」「私たちの健康経営への取り組み」 )今回は、戦略や取り組みを通じて、企業価値や従業員のパフォーマンスなど、経営観点でどのような効果や成果があったのかをご紹介します。

経営面での健康経営の効果

効果検証の主要な指標として、従業員の満足度や心の健康度を把握するためのESサーベイやパルスサーベイがあります。この指標は中長期で慢性的な状況を把握することに特化していますが、より短期的な状態把握には特化していません。

私たちが日々働く中で、頭痛や腹痛、花粉症など1日単位で発生する体調不良があります。これらの症状を発症しながら仕事をしている状態(プレゼンティーイズム)は、生産性を著しく低下させる要因だと感じており、見逃せない重要な指標であると考えています。

「私たちの健康経営への取り組み」の記事の中で、従業員の健康課題は、食事、運動、メンタルヘルス(睡眠)だとご紹介しました。この健康課題に対し、2022年から2023年にかけて、これらの領域を中心に、生活習慣を総合的に向上させていく施策を実施してきました。従業員一人ひとりの健康リテラシーを向上させ、プレゼンティーイズムを低下させることで、生産性が向上すること、昇格比率や離職率などに相関があるかを測りたいと考えました。

結果は下記表1に示す通り、売上や取引社数などの事業的側面、従業員の生産性、離職率の低下などさまざまな側面で効果が見られました。プレゼンティーイズムについても、2022年は21.3%でしたが、2023年は16.3%と改善しました。

健康課題改善への効果と結果

従業員の健康課題(食事、運動、メンタルヘルス)を、効果的に変革していくには、人事など、一部の担当部署だけで取り組むのは難しいと感じていました。例えば、人事には、ヘルスケアの専門知識がないため、従業員に対して説得力がありません。外部の専門家として産業医の活用も手段としてはありますが、産業医の時間が限られ、高額な費用もかかります。そこで弊社の場合は、社内に在籍する医療従事者を含めたプロジェクトチームを組成し、役割分担しながら推進してきました。

銀の認定や健康経営優良法人の認定取得、健康経営に関わるさまざまな取り組みの実施と検証を繰り返してきました。人事では取り扱いが難しかった、女性特有の課題など、医療職の方々から発信していただくことで、行動変容につなげることができたと感じています。

結果として、表2に示す通り、一定の改善が見られました。健康診断の有所見者に変化は見られなかったものの、特定保健指導を受診する従業員は増えました。課題が残る部分については、引き続き施策の企画実施、効果検証のPDCAを実施していきます。